上陸25周年シュラスコを広めたバルバッコアの日本だけにしかない3つの特徴とは?
バルバッコアが日本で25周年の節目
<グルメの注目 食通でなくとも知っておきたい9つの話題 2019年>で述べたように、今年はブラジルの食に注目しています。
ブラジルのグルメといえば、ブラジルが世界の中でもトップ5の消費量を誇る牛肉を用いたシュラスコではないでしょうか。
シュラスコとは、牛肉を始めとして豚肉や鶏肉などを串に刺して焼いた料理のことです。
ブラジルを代表する料理ですが、実はこの日本で2019年が大きな節目となっています。
なぜならば、日本のシュラスコに多大な影響を与えたバルバッコアが今年で25周年を迎えるからです。
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日本のバルバッコア
1991年に「バッカーナ」が渋谷にオープンしたことをもって、日本のシュラスコ文化の嚆矢とします。
バブルが崩壊した後、当時では珍しかった牛肉を好きなだけ食べられるシステムが、シュラスコの人気に火を点けました。しかしやがて勢いは収束していき、「バッカーナ」も閉店してしまいました(現在は銀座などで再オープン)。
バルバッコアは1990年にブラジルのサンパウロで誕生し、日本では1994年6月30日に「バルバッコア 青山店」が開業しました。
表参道という華やかな立地とシックで高級な雰囲気、定評のあるサービスやテーブルを回ってサーブするパフォーマンス、牛はもちろん、 豚、 鶏、 パイナップルやクッピン(瘤付きのブラジル牛)など、 約15種類のシュラスコ料理を好きなだけ食べられることから、他との差別化が図られ、人気を保ち続けたのです。
当初は出店に慎重なようにみえましたが、オープンから10年以上が経ち、シュラスコが本格的に定着すると以下のように展開していきました。
- 2005年10月27日開店
バルバッコア・ステーキハウス お台場店(2008年2月15日閉店)
- 2007年4月27日
バルバッコア クラシコ 丸の内店
- 2007年12月13日
バルバッコア 心斎橋店
- 2013年11月11日
バルバッコア 渋谷店
- 2014年9月17日
バルバッコア 新宿店
- 2014年12月12日
バルバッコア 六本木ヒルズ店
- 2015年4月16日
バルバッコア 梅田店
- 2015年12月7日
バルバッコア 高輪店
メディアでもよく紹介されるので、日本においてシュラスコといえば「バルバッコア 青山店」を思い浮かべる人も多いと思いますが、まさにバルバッコアがシュラスコを広めたといって過言ではありません。
改めてその功績を振り返ってみましょう。
充実したシュラスコとサラダバー
バルバッコアでは、シュラスコで最も重要となる肉類が充実しています。
他のシュラスコレストランでは、全部で10種類に満たないところもありますが、バルバッコアでは、以下のように15種類程度のシュラスコが用意されているのです。
- ピッカーニャ(イチボ)
- コステラ・デ・ボイ(ショートリブ)
- クッピン(コブ肉)
- コントラ・フィレ(サーロイン)
- アルカトラ(ランプ)
- フラウジィニャ(カイノミ)
- ガーリックステーキ
- ペッパーステーキ
- 豚肩ロース
- ローストチキン
- ラムレッグ
- ソーセージ
- ローストオニオン
- 焼きチーズ
- 焼きパイナップル
※日や時間帯によって異なる
そして、充実しているのはシュラスコだけはありません。バルバッコアがここまで人気になったのは、サラダバーの魅力も大きいでしょう。
グリーンリーフ、トレヴィス、トマト、ブロッコリー、ポテトサラダ、タマゴサラダなど40種類以上のアイテム数を誇り、オリーブオイルやビネガー、ソルトといったコンディメント類も数多く揃えられています。
肉をたくさん食べられるだけではなく、野菜もしっかりと食べられ、栄養的な観点からも、食味の観点からも、バランスがとれているのです。
ヤシの新芽であるパルミット、ビーツ、キャッサバは開業時から置かれており、近年のブームによって、アサイーも提供されるようになりました。バルバッコアでこういった珍しい食材を知ったという人も少なくないでしょう。
ブラジルの国民食であるフェイジョアーダ(黒豆と肉の煮込み料理)やカイピリーニャ(サトウキビを原料にしたカッシャーサ(蒸留酒)をベースにして作られるブラジルの代表的なカクテル)も提供されており、ブラジルの食文化を存分に体験できます。
日本だけの取り組み
バルバッコアは、 ブラジルのサンパウロで誕生し、世界で展開していますが、日本だけの取り組みも行われており、これも魅力のひとつを構成しています。
シュラスコを焼く機械はシュラスケーロと呼ばれますが、日本のバルバッコアで使用しているシュラスケーロは、独自に改良されているのです。一気に900度という高温になり、外はカリッと中はジューシーに焼けるので、最大限にシュラスコの美味を楽しむことができます。
肉に付けるソース「モーリョ」は、トマトやみじん切りしたタマネギなどが入ったビネガーソースですが、醤油ベースの「和風モーリョ」を独自で生み出し、提供しています。シュラスコは岩塩で味付けされているのでそのままでもおいしいですが、ソースをかけるとだいぶ食味が変わるので、日本ならではのソースがあるのは面白いところでしょう。
フェジョアーダはブラジルの国民食ですが、実はブラジル店では提供していません。しかし、日本ではブラジルの食文化をより知ってもらうために、全店でサラダバーに置いてあります。
25周年プロモーションの紹介
バルバッコアでは記念するべき25周年を盛り上げるためのキャンペーンも行われています。
- 短角牛フェア
2019年7月1日~3日のディナー
- カイピリーニャ
2019年7月1日~
- 「Create My Salad~私のサラダ~」フォト投稿キャンペーン
2019年7月1日~9月30日
バルバッコアを運営するワンダーテーブルが2015年10月から岩手県山形町で肥育している日本短角牛を用いたディナーが開催されます。
和牛の頭数を比べてみれば、いかに日本短角牛が希少であるかが分かるでしょう。
流通している和牛のうち90%以上は黒毛和牛であり、日本短角牛は僅か0.5%程度です。日本短角牛は赤身肉がおいしいので、シュラスコにも非常によく合うでしょう。
ブラジルの代表的なカクテルであり、バルバッコアのシグネチャーカクテルでもあるカイピリーニャが創業当時のレシピに復刻します。フレッシュなライムを丸ごと1個使用したり、価格が同じままで容量がこれまでの1.5倍となったり、専用コースターも使われたりするなど、カイピャリーニャに対する思いが伝わってくるでしょう。
バルバッコアのサラダバーをより楽しんでもらおうと、Instagramを通じたキャンペーンが行われています。バルバッコアの公式アカウントをフォローして、サラダの写真をハッシュタグつきで投稿すれば、抽選で食事券が当たったり、ノベルティグッズがもらえたりするので、オリジナルサラダを作るのにも気合が入りそうです。
今後の展望
バルバッコア創始者であるアデマール・スギサルジ・ド・カルモ氏は、25周年を迎えた日本のバルバッコアに次のような祝辞を贈っています。
バルバッコアはブラジルのみならず世界中で、グルメなお客様を満足させるクオリティとサービスを築いてきました。 その高い品質を日本に浸透させる事が出来たのは、皆さんの目標への固い決意と努力があったからこそです。
ワンダーテーブルの代表取締役社長を務める秋元巳智雄氏は次のように述べます。
2000年代に入り、青山店のある表参道は街自体が大きく変わっていきました。大きな企業が撤退し、その跡地にルイ・ヴィトンやプラダ、グッチなど世界的なハイエンドブランドが立ち並び、表参道ヒルズができ、高級商業地域になり、まさしく、バルバッコアのコンセプトに街がぴたりとはまるようになってきました。バルバッコアは街の変化に合わせるかのように益々繁盛店になり、予約の取れないレストランになっていきました。
最近ではシュラスコと検索すると、バルバッコア以外の店舗が多数出てきます。ただ、我々はシュラスコの競合店を競合とはとらえず、バルバッコアはオンリーワンであると考え、中身のブラッシュアップを日々行い、常に選ばれるお店を目指していきたいと考えています。
今では海外から多くのステーキハウスも上陸し、日本における肉ブームも成熟していますが、1990年代にオープンし、お肉をがっつりと食べるシュラスコがここまで浸透するとは思いませんでした。
秋元氏とカルモ氏が述べたことを合わせて考えてみると、オンリーワンであると考えてブラッシュアップしていき、その結果、グルメなゲストを満足させるクオリティとサービスを築けてきたからこそ、バルバッコアは日本でシュラスコレストランとしての地位を不動のものにできたのではないでしょうか。
親日国であるブラジルのシュラスコがますます日本で発展していくにあたり、バルバッコアには引き続き目が離せません。