ブラジル料理「シュラスコ」はサッカーワールドカップのブラジル代表を超えられるか?
シュラスコはブラジルのバーベキュー
シュラスコ(ブラジルではシュハスコと発音される)という料理をご存知でしょうか。
シュラスコはブラジルのバーベキューで、牛を中心として、豚、羊、鶏といった肉やソーセージ、タマネギやパイナップル、チーズなどを長い鉄串に刺して焼く料理です。サービススタッフが各テーブルを周り、好きなものを好きなだけサーブしてくれるスタイルが一般的で、本場ブラジルでも同じように好きなだけ食べられます。
日本におけるシュラスコの系譜
日本ではどのようにシュラスコが発展してきたのか、主なシュラスコレストランを振り返ってみましょう。
- 1991「バッカーナ」(渋谷)
- 1994「バルバッコア・グリル」(表参道)
- 1994「サバス東京」(外苑前、「コパ東京」へリニューアル)
- 2000頃「アカラジェトロピカーナ」(六本木、2008/09閉店)
- 2002/09「コパ東京」(外苑前、2007/04閉店)
- 2005/07「トゥッカーノ」(渋谷)
- 2005/06「トラヴェソグリル」(横浜中華街)
- 2006/06「キ ボン」(浅草)
- 2007/04「バルバッコア・クラシコ」(東京)
- 2007/10「コパ」(成増)
- 2008/02「カリオカ バイ ルイ ラモス」(外苑前)
- 2010/04「シューマイガス」(川崎)
- 2011/09「バッカーナ」(銀座)
- 2013/11「バルバッコア・グリル」(渋谷)
- 2014/04「リオ グランデ グリル」(六本木、横浜)
1991年以前にもシュラスコレストランはあったようですが、影響力や存在感を考えると、大きなムーブメントを巻き起こした「バッカーナ」が、日本におけるシュラスコレストランの幕開けであると考えてよいでしょう。
もともと景気が悪いと真っ先に切り詰められるのは外食である上に、シュラスコレストランは単価も比較的高くあまり馴染みがない料理なので、不景気の時にはオープンが控えられます。しかし、景気が回復し始めた2005年あたりから少しずつ新しいシュラスコレストランがオープンしています。
六本木と横浜に同時オープン
そのような状況の中で、「バルバッコア」(バルバッコア・グリル、バルバッコア・クラシコ)は1994年という早い時期からオープンし、関西を含めて4店舗も展開するに至り、安定した人気を誇るシュラスコレストランに成長しています。メディア露出も多いので、バルバッコアで初めてシュラスコを食べたという人は少なくないでしょう。
バルバッコアを運営する「ワンダーテーブル」は「鍋ぞう」「六蔵」「オービカ」「ロウリーズ」などの有名ブランドを擁しており、売上高100億円規模のレストラングループです。
そのワンダーテーブルよりも規模が大きく、マーケットイン志向をもとに市場のニーズに適った店舗を開発しているレストラングループ「クリエイト・レストランツ・ホールディングス」が、2014年4月23日に、六本木と横浜の2つのロケーション同時にシュラスコレストラン「リオ グランデ グリル」(RIO GRANDE GRILL)をグランドオープンするということで、注目されています。
※「リオ グランデ グリル」を実際に運営するのは「クリエイト・レストランツ・ホールディングス」の完全子会社である「クリエイト・レストランツ」
※オープンは2014年4月16日で、グランドオープンまではメディアや関係者向けの営業
134ものブランドを展開し、2013年度の売上高が371億円、外食産業で31位というクリエイト・レストランツ・ホールディングスがオープンする「リオ グランデ グリル」は、どういったシュラスコレストランなのでしょうか。
オープンキッチンでみせる
これまでのシュラスコは客が見えないところで焼かれることがほとんどでしたが、2013年11月にオープンした渋谷の「バルバッコア・グリル」がオープンキッチンを採用し、よりダイナミックに進化させました。
クリエイト・レストランツの第一ダイニング事業部 事業部長 原田尚彦氏が「他のシュラスコレストランも参考にしながら、独自の強みをだしている」と言う通り、六本木の「リオ グランデ グリル」でもオープンキッチンを採用していますが、エントランスからも見える場所に設け、全面ガラス張りにして最大限の注目を引くようにしています。
定番メニューに加えて黒毛和牛や魚介類も
ピッカーニャと呼ばれる牛イチボ肉とアウカトラと呼ばれる牛ランプ肉はシュラスコの定番です。他では見掛けられない黒毛和牛のランプ肉も用意しているところから、質にもこだわっていると言えるでしょう。また「魚介類も充実させている」と原田氏が補足したように、海老や帆立があることは珍しいです。
意志を表示するプレート
シュラスコのサーブは頻繁に回ってくるので、その度に食べるか食べないかを伝えるのは少し面倒です。そのため、本場ブラジルと同じように、多くのシュラスコレストランでは「食べる」「食べない」の意志を表示するプレートやカードが用意されています。こういったギミック的な要素も、シュラスコが面白いと思わせる要素になっているのでしょう。
サラダーも充実
シュラスコだけではなく、ヤシの新芽であるパルミットやビーツなど30以上のアイテムがあるサラダバー、豆を煮込んだブラジルのソウルフードであるフェイジョアーダやフェイジョン、チーズのパンであるポンデケージョ、挽肉のコロッケであるキビなどの温菜も置かれています。
シュラスコレストランでは一般的にサラダバーが充実しており、ブッフェ形式になっていることが多いです。店舗数が少ないながらも、日本においてシュラスコレストランが生き残ることができた理由は、独自のスタイルで豪快に肉を食べられることはもちろん、サラダバーが魅力的だったことも大きいでしょう。
シュラスコが再びムーブメントを巻き起こすことはできるのか
クリエイト・レストランツ・ホールディングスはマルチブランド・マルチロケーション戦略を掲げていますが、同じ日に同じブランドを2店舗もオープンするのは稀なことです。原田氏が「色々なブランドを展開しているが、もっと新しい業態を開発していかなければならない」として、シュラスコレストランを選んでオープンするに至ったのも、焼肉やステーキや鉄板焼といった他の「肉ジャンル」とは異なる魅力がシュラスコにあると判断したからでしょう。日本人は寿司をカウンター越しに握ったり、肉や魚を目の前の鉄板で焼いたりする対面式サービスを好むので、テーブルを回ってサーブするシュラスコも好むはずです。
2014年6月から始まるサッカーワールドカップ開催地であるブラジルへの関心が高まり、2013年10月版「ぐるなび旬ワード」ではシュラスコが取り上げられています。加えて、昨今の肉ブームはシュラスコにとっては追い風となるはずです。
ブラジル料理であるシュラスコが注目され、再びムーブメントを巻き起こすことはできるのでしょうか。大手ブックメーカーで優勝オッズ1番人気のブラジル代表がワールドカップで優勝するのと同じくらい、その可能性は高いかも知れません。
情報
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