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【泉佐野市】Meets初!『泉州』特集号もう読んだ?出版社を「逆取材」外から見た 意外な街のイメージ

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

書き手の筆致やシャッター音、被取材者の息づかいまでも感じるホットな情報誌『Meets Regional(ミーツ・リージョナル)』(以下、ミーツ)。

臨場感あふれる誌面は、まるで “とある街” のショートムービーを観ているかのようで ページをめくる手が止まらない。
京阪神の街と人の “今”を切り取り、圧倒的な取材力でリアルを伝える。
泥臭さすら感じる嘘偽りのないその姿勢こそが、創刊から30年以上 愛され続ける理由なのではないかと思う。
かくいうわたしも『ミーツ』ラヴァ―のひとり。初の「泉州」特集号が出たのだからじっとしてはいられない。大阪市西区にあるミーツ・リージョナル編集室 編集長 松尾 修平さんと編集部のすあまあかりさんに話を聞いた。

松尾編集長(左)とすあまあかりさん(右)
松尾編集長(左)とすあまあかりさん(右)

:8月30日発行の『ミーツ』10月号は「堺・岸和田・泉州」特集ですが、“泉州”は初ですか? なぜ“泉州エリア”に注目されたのですか?

すあま:わたしが フェスとかレゲエのフリーイベントとかが好きでよく泉州に遊びに行ってたんです。

松尾:南大阪は以前からやりたいなぁというのはあったんですけどSAVVYとかMOOK本で特集や別冊が出てたんです。それはそれで、リアクションもあったけど女性誌だからカフェとかが多かったんですよね。地元に根づいた飲み屋さんとかもあるよねってなって、2020年に「堺特集」をやったんです。コロナ禍で取材できないお店とかもあったけどすごく好評だったんですよ。
最近になって、彼女の「泉州がオモロイ」という企画書が編集会議でおもしろいと盛り上がり。じゃあ前に堺は一回やってるし、泉州のレゲエやストリートっぽいシーンもおもしろいよね! ってところからそれを軸に特集を企画しました。
泉州(泉南市・泉佐野市)を特集するのは初めてですね。弊誌の副編集長は岸和田出身で南大阪のノリとか街の肌感も分かるし、最新動向は すあまが集約してたので新しい特集ができると思いました。

:レゲエやスケボー文化については、わたし自身がそういったカルチャーに触れてこなかったから知らないことが多くて驚きました。90年半ばにオープンした「りんくうパパラ」に巨大な室内パークがあったことも初めて知りました!
言われてみれば5、6年前まではやんちゃそうな子が無許可でセクション(街中の縁石、斜面などを模したコース)を設置して滑ってましたね。そういう光景をみなくなったなぁと思ったら次々にパークがオープンしてて。知ってるだけでも担当エリアに4カ所はありますね。今、パークで滑っている人たちも『ミーツ』10月号でその文化を学んで、これからも街のスケートシーンを盛り上げていってほしいですね。

:「大和川を越えるのは国境を越えるような感覚」と書かれてましたね(笑)。

田舎感はありましたか?

すあま:田舎感かなぁ。田舎感はないですね。

松尾:なんかちょっと海外っぽい。別の国みたいな(笑)。

:海があるから? やっぱりそういったカルチャーがそう思わせるんですか?

すあま:田舎に行ってる感覚はないですね。遊ぶところがいっぱいあるから。「アメ村」に行く感覚と一緒ではあるけど、なんだろな…現地(ジャマイカ)のヒリヒリ感もある(笑)。

:え! すごくのんびりした街ですよ!

すあま:あー、思いました! それも感じました。そういった意味でもノリとかが海外っぽいなと。時間の感覚とか。

:すごく情に厚い街ですよ。

松尾:愛が深すぎてケンカもするでしょ(笑)

:いやいやいや…どこかでケンカしてました?(笑)

外から見た街のイメージと地域で暮らしている者の感覚はすこし違う気がしますね。泉佐野市は海側ばかりがフィーチャーされるけど、古い町並みなんかも残っていて、旧市街地の「さの町場」では古民家を活用して月イチマーケットなんかも開催されてるんですよ。

男里川付近に突如現れるジャマイカンフードのお店だとか、レゲエカフェだとか、“点在する外国” を不思議がっている地域の方は多いと思うんですよね。『ミーツ』10月号でその謎が明らかになるのはスゴイことですよ。あと、泉佐野市に世界最大級のレゲエクラブ「ジョグリン・リング・シティ」があったことも知りませんでした! 30年前ですよね?

「ジョグリン・リンク・シティ」(出典:Facebook「ディスコクラブ資料館」)
「ジョグリン・リンク・シティ」(出典:Facebook「ディスコクラブ資料館」)

すあま:地元のプレーヤーの方たちと話をしてわたしも知ったんです。なんか海外のレゲエミュージシャンたちがそこに大集結してたとか。めちゃくちゃ広い “箱” だったそうですよ。

:取材する“前”と“後”とで泉州のイメージって変わりましたか?

すあま:そうですね。スケートボードシーンの話を聞いて、なんかこう若い子たちの意見をちゃんと聞いてくれる街というか、行政と街の距離感が近いのかなぁ。

「ナス洋装店」さんで、市長に覆面かぶせた商品が売られていて(笑)。

「ナス洋装店」(泉佐野市栄町) ち、千代松市長!!
「ナス洋装店」(泉佐野市栄町) ち、千代松市長!!

フツウなら怒られそうなのに、視察に来られた市長がおもしろがって買ってくれたと言ってて、なんかめっちゃいいなぁって。若い子たちがおもしろがってやってることをちゃんと認めてくれる大人がいっぱいいるんだろうなぁって思いました。

:活気のある街の特徴ってなんでしょうか? そういう街は住民の意識も違いますか?

松尾:横のつながりがある街は活気ありますよね。泉州もコミュニティがあるからいいと思う。この辺(大阪市西区)でも飲食店の中に「村長」みたいな人がいて、その人が“やる”と言ったらみんなが動くとか、そういうコミュニティがあるところが元気やなぁと思ったりしますね。
あと次号(10月1日発売)が「大阪・西成区。」特集なんですよ。西成は旅行客とかを受け入れている街で最近めちゃめちゃ変わってきてて。聞くところによると外国人観光客のリピーターとか知り合いから聞いて来たという人がすごく多いらしいんです。それってなんか西成って良くも悪くも全国からいろんな人が来ていて、ふだん生活しづらい人もくるようなところだけど、でも全部受け入れている風土というのがあるんやなぁって。で、別に外国人が来ようが、しゃべれなくても全然OK。おいでおいでみたいな街の雰囲気はあるなぁって。それが外国人は心地いいし、地元の人とコミュニケーションをとって大阪の街に溶け込めてる。西成ってなんか今スゴイ「観光地」として注目されてるんですよ。

:西成から学ぶことが多そうですね。
泉佐野市は地元愛が強い人が多いんですよ。

すあま:そうそう、先ほどの「ナス洋装店」のオーナーさんも、市内のショップで働いてたけど地元に帰ろうと思って地元で店をはじめたみたいですけど、水なすを模したような服をいっぱい作ったりだとかすごくおもしろいなぁって。個人店がスゴく元気でいいなぁと思いました。

「ヨッシャ食堂」(掲載店)さん行かれましたか?

松尾:あー、別のスタッフが行ってますねー。
:朝4時からやってるんですけど、なかなかこういうお店って市内にはないですよね?

松尾:ないですよ~。 気になりますね

:魚も美味しくて惣菜の数もスゴイんですよ。いっぱい食べても1000円ちょっと。ぜひまた足を運んでみてくださいね。

あと気になったのが、住所、電話番号、営業時間が非公開のお店! どうやって行くんですか(笑)。そもそも掲載OKなんですか?

松尾:あれはGOMAさん(泉南市出身のアーティスト)の紹介だから(笑)。掲載? 
OK、OK。許可もとって取材にも行ってるんですけど、本当はダメ(取材NG)なんだと思う。口コミで行くことが多いですね。ふだん取材を受けていない店に常連さんの紹介で行くとか。知り合いの紹介だから取材設けてくれるっていうお店もあったりします。

:読者のみなさんはたどり着けるかわからないけど、“超”地元密着型の海鮮居酒屋らしいです。ぜひ探してみて!

泉佐野市はスパイスカレーのお店も増えていて「カレーの街」になりつつあるんです。最近では「spaice curry やまとうみ。」さんとか「スパイスカレーフラミンゴ」さんとか。

すあま:「spaice curry やまとうみ。」さん知ってます! 堺市在住のカメラマンがいて、よく食べに行くって言ってました! 美味しいって。

:「魚介系和だしスパイスカレー」なんですよ~。

松尾:いいっすね~。

:最後の質問になりますが、掲載店ってどうやってピックアップしてるんですか?

松尾:編集部員だったり、ライターさんだったり、カメラマンさんだったりが必ず足を運ぶようにしてるんですよ。誰かが必ず行って、“おもしろい!”とか“ここはいいなぁ”というところを紹介するようにしています。7、8人(編集部員)の好みで作ってるようなところがあるからある意味偏ってますね(笑)。

:おもしろい! って感性もそれぞれってことですよね?

松尾:そうですねー。なので、今回はすあまが班長をやりましたけど、基本は班長というかデスクを決めて、その者が特集骨子(こっし)を作るんですね。それを会議にかけて内容をブラッシュアップさせてから担当分けをして各企画担当がよーいドン! で記事制作に動き出します。

:関西万博もありますし、インバウンドを受け入れる街として次はぜひ『泉佐野』特集を期待しています! 

松尾:あ~、はい(笑)

わたしたちの街はジャマイカ⁈


「外から見た街」のイメージは意外にもジャマイカ(!)。映画「ボブ・マーリー ONE LOVE」で見た光景とは結びつかないけれど「愛と平和」をうたっているあたりも似ているのだとしたら最高にイカシテル。今回の取材でもうひとつ感じたことがある。それはこの街は「自由」だということ。中にいるとその恩恵に気づかないこともあるけれど、チャレンジしやすい「人に寛容な街」だということを外からしっかり感じとってくれていたことがうれしかった。ちょっとだけ、街の進むべき未来が見えたような、そんな一日だった。

One Love、『ミーツ』× 泉州。

松尾編集長、すあまあかりさん、今日は本当にありがとうございました! 

『ミーツ』10月号 絶賛発売中。わたしたちの街のお店や近隣の魅力あふれるお店も多数掲載。みなさんもぜひ読んで出かけてみてくださいね!

【基本情報】
『Meets Regional(ミーツ・リージョナル)』10月「堺・岸和田・泉州。」特集号(8月30日発行)
京阪神エルマガジン社公式HP(外部リンク)
取材協力 株式会社 京阪神エルマガジン社 ミーツ・リージョナル編集室
編集長 松尾 修平 様、すあまあかり 様
*記事内容は取材当時のものです。

ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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