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意外と地味な最新・高額マンションの販売センター。モデルルームでひと味違った方向性示す

櫻井幸雄住宅評論家
10億円台の住戸もあるマンションの販売センター。控えめなたたずまいだ。筆者撮影

 大京が最上位ブランド「リジェ」のマンションを復活させ、1月11日、そのモデルルームが報道陣に公開された。

 大京が「リジェ」ブランドのマンションを販売するのは、首都圏では21年ぶりという。私の記憶に残っているのは「リジェ奥沢エスト」で、調べてみると2002年の完成だった。それ以前には「リジェ岡本」が2001年に完成だった。久しぶりであることは間違いない。

 20数年前、世田谷区内で分譲された「リジェ」は130平米〜200平米の大型住戸をそろえ、総戸数が20戸前後の低層マンションだった。都内・高級物件に当時求められていた「低層」「小規模」「特大住戸」という条件を満たしていたわけだ。

 その最新版は「リジェ代々木上原テラス」。渋谷区内で、小田急線の代々木上原駅を最寄りとする住宅ゾーンに建設されるマンションである。代々木上原エリアの場合、高級住宅地として知られるのは、小田急線から見上げる丘の上。住所でいえば渋谷区西原だ。かつて徳川家の一族が所有していたことから「徳川山」と呼ばれてきた場所であり、その後は敷地の大きな一戸建てが集まっていた。

 その邸宅街の一画に建設される「リジェ代々木上原テラス」は、地上3階地下2階で全12戸の規模。住戸は約85平米〜約214平米の2LDKと3LDKとなる。販売価格は約85平米の住戸で2億円台以上、最高価格は10億円台という。堂々たる都心超高額マンションである。

 「そんな高額マンション、誰が買うのか」という声が出るだろうし、「中国人が現金を持って買いに来る」というような話もでてくる水準……ただし、世界的にマネーロンダリングに対する監視が厳しくなっている現在、億単位のお金を国外に持ち出し、日本に持ち込む外国人などいないし、マンションの販売センターにも現れない。

 だから、「リジェ代々木上原テラス」の販売センターは無防備だ。数億円のキャッシュを持ち込む購入者がいるとは想定していない。そして、最高価格10億円台という超高額マンションのわりに、販売センターは地味な印象を受ける。

 実際、「リジェ代々木上原テラス」の商品企画には、昨今の都心超高額マンションとは異なる方向性があった。モデルルームから想像される購入者像を描いてみた。

浴室、キッチンから見えてくる真のターゲット

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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