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【インタビューの全貌を紹介】メーガン&ハリー、オプラに語る2:子供の人種差別と、英連邦での役割編

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
2019年初の南アフリカ公式訪問。国際アクション・エイドを訪問(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

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2、子供の人種差別と、英連邦での役割編

メーガンさんの孤独の問題で、2019年の南アフリカ訪問のことが語られる。

メーガンさんは大歓迎で迎えられ、大変な人気を博した。

この際に、ITV局のレポーター、トム・ブラッドビーがメーガンさんに「大丈夫ですか(Are you OK ?)」と聞いたことがある。このテレビ局は、今回イギリスでインタビューを放映したところだ。

舞台となった南アフリカは、人種差別の歴史と切っても切り離せない歴史がある。長いこと大英帝国の支配下にあった同地では、悪名高い「アパルトヘイト(人種隔離政策)」が敷かれていた。白人と有色人種を制度として差別していたのだ(ちなみに日本人は「名誉白人」だった)。1961年に南アフリカ共和国となり、英連邦を脱退するまで続いた。

メーガンさんは、「裏で起きていることはとても現実的なこと」であるという。

オプラさんは、この「大丈夫ですか」という言葉が、どうしてこれほど心を打つのか(神経に触れる)のか、と言っている。

メーガン:私たちの仕事は、常に笑顔でいることでした。それで、レポーターが私に「大丈夫?」と尋ねたとき、おそらく、誰にも起こったことがないことを感じていたと思います、私は大丈夫ではなかったこと、そして、私は本当に苦しんでいたと。そして、私は長い間このことを知っていて、本当に長い間、機構に助けを求めていました。

オプラ:何のための助けですか。

メーガン:私たちがオーストラリア・ツアーから帰ってきた後、それは南アフリカ訪問の1年前だったんですが、私たちは、物事が本当に変わり始めたのはいつか、私たちは保護されていないことに私が気づいたときのはいつかを話し合いました。それは私が妊娠している間。特に、私たちにずっと起こっている現実がどのようなものであるかを、私は理解し始めたんです。

オプラ:どのような保護を望んでいたのに受けられなかったと感じているのですか。

メーガン:つまり、彼らが誰にとっても極めて馬鹿げた話を記録に残して、否定してくれるということです。超人為的で取るに足らないようなことについて、言っています。でも、ケイトを泣かせたという話は、本当の意味での人格攻撃の始まりだったと思います。彼らはそれが真実でないことを知っていた。そして私は、もし彼らがそのようなものを殺そうとしないのであれば、私たちはどうすればいいのだろうと考えました。

ここから話は、アーチー君への話となっていく。メーガンさんは、自分に対しての人種差別は話さず、子供に対する差別を語っていく。

メーガン:それとは別に、閉ざされたドアの背後で何が起きていたかというと、私が妊娠していたことを私たちは知っていました。今ではアーチーで、男の子だとわかっています。当時は何も知りませんでした。

その時、彼らは彼を王子や王女にしたくないと言っていました。性別もわからない時で、それでプロトコルは変わってくるのでしょうけど、警護(セキュリティ)が受けられないと言っていました。

オプラ:何ですって? どういう意味。

メーガン:彼は警護を受けられないことになっていました。これは私たちの妊娠の最後の数カ月間ずっと続きました。「ちょっと待ってください」です。

オプラ:あなたの息子、そしてハリー王子の息子は警護を受けられないだろうということですか。

メーガン:その通りです。

オプラ:でも、それはどういうことでしょうか。

メーガン:どういう? それはこういう感じです。

「No, no, no。彼が王子にならないのなら、それは、まあ、OKです、ええ、彼は安全である必要があります、私たちは彼を王子や王女にするなと言っているのではありません、何であれ・・・」

「でも、称号が警護に影響を与えると言うなら、クリックベイト(バナー広告のような、ネット上のリンクのこと)やタブロイドの餌というこのモンスター・マシンを、私たちが周りに作ったわけではありません。あなた方がそれを許してきてしまったのよ。だから、私たちの息子は安全でなければならないの」

オプラ:それで、彼らはどのようにあなたに説明するのですか。あなたの息子、孫、女王の曾孫は・・・王子にならないのでしょうか。彼らはどのようにあなたにそれを伝えましたか。そして、どんな理由をつけたのでしょうか。そして「だから・・・あなたは保護を必要としない」と。

メーガン:説明はありませんでした。見解はないのです。つまり、それはもうひとつの要素で・・・。

オプラ:誰がそういうのですか。

メーガン:私はハリーに多くのことを聞きましたが、他の部分は家族のメンバーの会話を通してです。彼らはこの決定は適切だと感じているようだと思いました。

オプラ:称号は・・・アーチーが王子と呼ばれるのは、あなたにとって重要でしたか。

メーガン:彼が安全になることを意味するのなら、もちろんです。このようなものを取り巻く壮大さは、私が個人的には愛着を持っていないものです。私はウェイトレスで、女優、王女、公爵夫人でした。私は常にただのメーガンでした。そうでしょう? ですから、私にとっては、私は自分が誰であるかははっきりしています。そして、私がもつ最も重要な称号は母親です。

でも、息子が安全ではないという考えや、この家族で初めての有色人種が、他の孫と同じように称号を得られないという考えもあります・・・。あの会話で、もうひとつの話は、慣習があるというのです。ジョージ5世だったかジョージ6世だったか忘れましたが、君主の孫になると、つまりハリーの父親が国王になれば、自動的にアーチーと私たちの次の赤ちゃんが、どうなるのであっても、王子か王女になるのだと。

オプラ:つまり、あなたにとって、それは保護と安全のためのものであり、称号が世界にとってどのような意味を持つかは、さほど重要ではないのですね。

メーガン:称号はとてもとても大きな要素ですが、でも、つまり・・・。

オプラ:称号を持つことで、安全と保護が得られるということですね?

メーガン:ええ、でも、それを奪う権利は彼らにはありません。

オプラ:ええ。

メーガン:そうでしょう? 慣習についても、私が妊娠している間に、彼らはアーチーのために慣習を変えたいと言っていました。でも、どうして?

オプラ:答えは得ましたか。

メーガン:いいえ。

オプラ:今でも答えを得ていないのですか。

メーガン:得ていません。

オプラ:世界では、私たちはいろいろ読んだり聞いたりしましたが、アーチーに王子の称号を与えたくなかったのは、あなたとハリーだということでした。つまり、それは事実ではないということですね?

メーガン:真実ではありません。それは私たちが決めることではありませんよね。称号に付随するもの、良いものも悪いものも、私は多くのことを明確にしていても、です。私の経験からは、多くの苦痛がありますが。私は自分の子供に苦痛を与えたくはありませんが、それは彼らが生まれながらにして持っている権利であり、選択するべきものです。

メーガンさんは、一部の人が非難するように、王室の慣例にまったく無知というわけではないことがわかる。子供は、国王の曾孫だから称号の権利はないが、チャールズ皇太子が王位につけば、変わる慣習があると知っている。

それならば、なぜそれほど称号にこだわるのかは、わかりにくい。子供の安全のためと言うのはわかるのだけど。「生まれながらにしてもっている権利」というのも、正直言ってよくわからない。

国王の孫ですら、王子や王女という称号が与えられないことはある。女王の三男エドワード王子の一女一男は、王女王子の称号は与えられていない。

これは「王子夫妻が望んだから」と言われているが、平民出身のソフィ妃が冷遇されてきたことを考えると、貴賎結婚とみなされたからという、公然の秘密にも似た疑いがある。メーガンさんの発言は、「親がアーチー君には称号を与えたくない」という麗しい体裁をとっていたが、やはり差別を隠すために王室はそういうことをするのだという、証言にもなった。メーガンさんへの扱いも、平民だからという要素があるのではないか。

一方で、「彼らはアーチーのために慣習を変えたいと言っていました」は謎の言葉として残る。

さらに、多くの人が感じる疑問を、オプラさんはメーガンさんに突っ込んで聞く。そして話は人種問題に発展してゆく。

オプラ:OK。私には、あなたとハリーが、何年も伝統の一部だった写真を撮らないと決めたときから、物事が変わり始めたように私には感じられます。 

メーガン:私たちは写真を撮るように頼まれたわけではありません。それもスピンの一部で、本当にダメージを受けました。私は「彼らに本当のことを言ってくれませんか。彼に称号を与えないこと、私たちは彼の安全を守りたいこと、彼が王子でないならば、それは伝統の一部ではないことを世界に向けて言ってくれませんか。人々に伝えさえすれば、理解してもらえるのではないでしょうか」と。でも、でも、彼らはそんなことはしないでしょうね。

オプラ:でも、あなたたちは・・・二人とも明らかに、その伝統の一部であることを認識していましたよね? そして、その伝統の一部になりたくない特別な理由があったのでしょうか。多くの人は、あなた方二人が「私たちは私たちのやり方で物事を進めていきます。私たちは別の方法でやります」と言っていると解釈したと思います。

メーガン:全然そうではありません。つまり、何が本当に大変だったかというと・・・写真、舞台裏で何が起こっていたかを知ってしまったことです。それをとりまく恐怖心が大きかったのです。赤ちゃんの安全が確保されていないことを知りながら、彼らに赤ちゃんを差し出さなければならないことが、私はとても怖かったのです。

オプラ:なぜ彼らがアーチーを王子にしたくなかったのか、あなたはきっとそのことについてハリーと何度か話をして、あなたなりの疑いをもっているに違いありません。彼らは何を考えていたのでしょう。あなたはなぜだと思いますか。彼の人種(race)せいだと思いますか。

メーガン:・・・・・・・。

オプラ:負担の大きい質問なのはわかっています。でも・・・。 

メーガン:でも、正直にお答えします。私が妊娠していた月々の間、すべてこの同じ時期に、私たちは、「子供には警護が与えられず、称号も与えられないだろう」という会話と、「子供が生まれたときに肌がどれくらい黒いという懸念や会話を並行して行っているのです。

オプラ:何ですって? 誰があなたとその会話をしているのですが。何を? 会話があったと・・・ちょっと待ってください、待って。

メーガン:それについて、いくつか会話があったんです。

オプラ:あなたとの会話ですか。

メーガン:ハリーとです。

オプラ:あなたの赤ちゃんがどれくらい暗い色をしているのかと?

メーガン:可能性として。それがどのような意味を持つのか、どのように見えるのか。

オプラ:ふうううう。誰がその会話をしたのか、私には言わないのですね。

メーガン:それは彼らに大きなダメージを与えると思います。

オプラ:そうですか。OK。では、どうやって会合をもっていたのですか。

メーガン:ハリーから聞いた話なんです。それは家族が彼と交わした会話です。

オプラ:ワオ(Whoa)。

メーガン:区分化の会話(compartmentalised conversations)なのだとわかるのは、本当に辛いことでした。

オプラ:なぜなら、彼らは、もし子供が褐色すぎると問題になると心配していたから、それが問題だと? そういう意味なのですか。

メーガン:理由はわかりませんでしたが、でももしあなたがそう考えているのであれば、それは間違いないことのように感じますが、理解するのはとても辛いことでした。

メーガンさんは、子供に称号が与えられないのは、人種差別だと言っている(ただ自分で「差別だ!」と叫ぶ方法はとっていない)。

ここで、先ほど出てきた「彼らはアーチーのために慣習を変えたいと言っていました」の意味がわかるようになってくる。文脈で推測すると、メーガンさんは子供が白人じゃないから「国王の孫には称号を与える」という慣習すら、変えられようとしていると示唆したいのだと思う。

「区分化」と訳した「compartmentalised」という単語は、直訳すると「コンパートメント化」である。コンパートメントとは、仕切られた区画のことで、列車など、公けの施設でも密室状態になれる部屋のイメージである。プライバシーを守るだけではなく、昔は身分や人種が混ざらないようにする作用があった。

ここからメーガンさんは、大変視野の広い話を展開する。英連邦(the Commonwealth / コモンウェルス)の話に及んでいくのだ。

英連邦とは、ほとんどが旧大英帝国の植民地だった国々で、ゆるやかにつながる政治連合体である。現在54カ国ある(ほとんどが島)。

この中には、英連邦王国の16カ国も含まれている。こちらは、カナダ・オーストラリア・ジャマイカ・パブアニューギニアなど、英国王を国家元首としてもつ国である。英国王が任命した総督が、現地で国王代理をつとめているが、実際の政治は現地の議員たちによって決められるという。

英連邦の長は、英国王・エリザベス女王である。

メーガン:特に、英連邦は君主制の大変大きな部分を占めていて、私は英連邦の国であるカナダに7年間住んでいました。しかし、ハリーと私が一緒になって初めて、英連邦を旅行するようにはなったんです。英連邦の60パーセントから70パーセントは有色の人たちだと思いますよ。

オプラ:ええ、ええ。

メーガン:私は有色の女性として、また有色の少女として育ったので、表現することがいかに重要かを知っています。私のように見える人が特定の地位にいるのを見たいと思う気持ちがわかります。

オプラ:はっきりわかりますよ。

メーガン:アーチーさえもです。私たちは本を読みましたが、ある本の一節に『それを見ることができれば、それになることができる(If you can see it, you can be it.)』というものがあります。

「君はそれになることができる!」、私はよくこのことを考えます。特に若い女の子たちのことを考えていますが、大人の女性や男性であってもです。私たちの時代に英連邦で私が彼らに会うとき、彼らのように見える人で、この地位にある人を見ることができるということは、彼らにとっていかに意味があることなのかを考えています。

(上記で「人」と訳したが、ここで使われているのはsomeoneで「重要人物」とも訳せる)。 

私は、それが付加的な恩恵として、今日の世界の反映として見られないことが、理解できませんでした。 どんな時でも、特に今、言うべきです。「この家族の中で、あなたのように見える人、ましてやその中に生まれた人を見ることができるなんて、いかに包括的なことなのだろう」と。

◎続き メーガン&ハリー、オプラに語る3:自殺願望編

◎参考記事:ハリー王子とメーガンさんは、インタビューで王室の人種差別に触れるのか。英連邦王国の危機?

◎参考記事(Yahoo Japan 2018年5月月間MVA受賞記事)ヘンリー王子はなぜメーガン・マークルさんを選んだのか。オバマ前大統領夫妻との関係は。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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