「マイナ保険証」なくても大丈夫、12月2日からも #専門家のまとめ
2024年12月2日からマイナ保険証の本格的な運用が始まる。これまでもマイナンバーカードを健康保険証として利用することができたが、この日以降、健康保険証の新たな発行がなくなり、不安を感じる人もいて、マイナンバーカードは義務ではないのに実質的な強制という批判も多い。マイナンバーカードを持っていない人はどうなるのか、まとめてみた。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
マイナンバー(個人番号)は、マイナンバー法により2015年10月1日以降、住民票を持っている全住民に市区町村から通知された12桁の番号のことだ。マイナンバーは特定個人情報にあたり、マイナンバーの利用範囲は、社会保障、税、災害対策、国家資格の取得、公金受取口座登録制度などに限定されている。
マイナンバーカードは、マイナンバーを持っている住民が申請すると市区町村が交付するプラスチック製のカードで、ICチップが搭載され、自分のマイナンバーはマイナンバーカードの裏面に記載されている。また、マイナンバーカードは身分証明書としての機能が付けられ、本人確認(資格確認)ができるようになっている。
このように、マイナンバーとマイナンバーカードは別のもので、マイナンバーが全住民に自動的に割り振られる一方、マイナンバーカードは自分で申請する必要があるが、その作成は義務ではなく、マイナンバーカードを持っている人も持っていない人もいる。
マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるように登録したもので、当然だがマイナンバーカードを持っていなければ利用できない。
そして、マイナンバーカードのオンラインによる資格確認の機能を健康保険証に紐付けたものがマイナ保険証で、保険証としてマイナンバーを使うことはない。自分がマイナ保険証に登録しているかどうかは、マイナポータルで確認することが可能だ。
この変更については、あらかじめ健康保険組合などの保険者から資格情報のお知らせ(A4の紙製)が届く。この資格情報のお知らせは、マイナ保険証でオンラインにアクセスできない場合などに使用するが、後述する資格確認書とは全く違うものなので注意が必要だ。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、2023年6月9日公布のマイナンバー法等の一部改正により定められた。この施行期日が2024年12月2日で、この日以降、従来の健康保険証の新規の発行を停止し、マイナ保険証を基本とする運用に切り換える。
そして、マイナンバーカードによるオンラインでの資格確認ができない人については、発行済みの健康保険証を1年間(最長で2025年12月1日まで)、使うことができる。これまでの発行済みの健康保険証の有効期間は、1年の間に有効期間が切れる場合は有効期間までだ。
この有効期間は、自分が持っている健康保険組合などが交付した保険証に書いてある。ただ、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者は多くの場合、2025年7月か8月までが有効期間のはずだ。
このため、従来の健康保険証は2024年12月2日以降、退職時などの回収は不要となり、自分で破棄することもできる。
だが、これまでの健康保険証は、安易に捨てたりしないようにしたい。なぜなら、マイナ保険証を紛失したり、日常的に持ち歩きたくない人にとって、まだ健康保険証として使用することができるからだ。
また、マイナンバーカードを持っていない人、持っていても健康保険証として登録していない人、マイナ保険証の登録を解除した人、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限切れの人などは、申請しなくても市区町村や各健康保険組合から職権により全ての人に無償で交付される資格確認書を健康保険証として使うことができる。
この資格確認書の有効期間は、5年以内で保険者が設定(更新あり)し、様式は保険者によって異なる。カード型で紙製やプラスチック製のものが多くなりそうだという。資格確認書が送付されるのは、現行の保険証の有効期間が切れる前に行われる。
つまり、12月2日以降、マイナ保険証を持っていない人も現行の健康保険証を使え(最長で2025年12月1日まで)、市区町村や健康保険組合から交付される資格確認書があれば、それ以降も医療機関などを受診することができる。
高額医療の限度額適用認定証の発行手続きや高齢受給者証の提示が不要になるなどのマイナ保険証のメリットはないが、これまでの健康保険証はしばらくの間、また資格確認書は5年以内の期間、これまでの保険証と同じように使える。