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頭の悪い社会人がコンサルタントに影響されて持ち出す都合のいい2つの理論

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

■やらない言い訳をするときに持ち出す2つの理論

社会人が勉強する上で、私がとても重要だと思っていることがある。それは、勉強時間を確保することだ。

おそらく、多くの人は反論するだろう。何より痛いところを突かれたからだ。

痛いところを突かれた人が反論するパターンは、だいたい次の2つの理論を持ち出す。

(1)まずは目的を決めるのが先だ理論

(2)すればいいってもんじゃない理論

こういった理論を口にするのは、だいたいがコンサルタント思考が強い人だ。私もコンサルタントだから、コンサルタント仲間がよく言っているシーンを目にする。

「投資をするのはいいけど、何のために投資をするのか。まず目的を決めるのが先です」

「量をこなすことも大事ですが、大量に行動すればいいってもんじゃないです」

もしあなたが、こういった言い分を耳にしたら、ぜひ気を付けてもらいたい。

こういうことを口にするコンサルタントに限って、裏では真逆のことをしている。コンサルタント業界には「Quick&Dirty」という言葉がある。

「泥臭く、早く」

「完璧でなくていいから、素早く」

という考え方だ。とくにトップコンサルタントは際立っている。思い立ったらスピーディーに動き、高速に仮説検証する。こうしたほうが早く成果を出せるし、目的なんて後付けでやってくることも知っているからだ。

大量行動と高速回転がクセになっているのだ。

■何はともあれ「時間確保」が最優先

社会人にとっての勉強もそうだ。

「まずは何のために勉強するのか、勉強する目的を決めることが先だよね」

なんて言ってないで、勉強することを目的とすればいい。目的をはっきりさせようとすると、いつまで経っても勉強できない。そもそもの勉強時間を増やすこともできない。

目的も大事だが、手段に目を向けるべきときもある。

「すればいいってもんじゃない理論」も、よく言われる。

「時間をかければいいってもんじゃないよね」

「量をこなせばいいってもんじゃないよね」

私が「まずは勉強時間の確保だ」と主張すれば、確実にこう反論されるだろう。

しかし、そんな都合のいい理論を持ち出してやらない言い訳をし続けるのはやめよう。とにかく時間をかける。大量にやるのだ。

社会人が勉強する上で最も重要なのは、何はともあれ時間の確保なのである。

■ロミンガーの法則「70:20:10」

「ゼロ勉強社会人」を卒業するためには、中身はともかく、まずしっかりと勉強時間を確保しなければならない。

そして松下幸之助が提唱した「ダム経営」と同じように「ダム勉強」を意識しよう。身につけた知識やノウハウをダムのように蓄積すべきなのだ。

どんなに時代が変化しても、余裕のある仕事人生を送るためだ。

それでは、どれぐらいの勉強時間を確保すべきなのだろうか? その問いに答えるため、人材教育にまつわる有名な法則を用いて考えてみたい。その法則とは「ロミンガーの法則」である。

「ロミンガーの法則」とは「70:20:10の法則」とも呼ばれている。名前の通り、人の成長に影響をもたらすのは以下の3種類。

・業務体験(70%)

・他者からの薫陶(20%)

・研修/読書(10%)

年間の労働時間を一人当たり2000時間としよう。そうすると「70:20:10の法則」で分解すれば、

・業務体験 → 1400時間

・他者からの薫陶 → 400時間

・研修/読書 → 200時間

となる。ここで気になるのが200時間の「研修/読書」である。みずから特別に意識して確保すべき勉強時間のことである。この時間を月平均16~17時間を作らなければならない計算だ。1日平均にすると30~60分ほど。

現在、社会人の平均勉強時間は1日13分と言われているため、3~5倍には増やす必要がある、ということだ。

■お勧めするのは「仕事中勉強法」

とはいえ、こういった時間を就労時間外に確保できるかというと、なかなか難しいはずだ。資格試験対策のためなら、半年や1年ほど一時的に頑張ることはできる。

しかし10年も20年もコンスタントに月16時間も就労時間外で勉強し続けられるかというと、

「そこまでできない」

「やれる自信がない」

と受け止める人が大半だと思う。

年齢を重ねることによって、子育て、親の介護、いろいろなライフイベントが目白押しである。

「必要だとはわかっているが、現実的に難しい」

と思っている人ばかりであろう。

そこで、私が考案した「仕事中勉強法」をお勧めしたい。就労時間内に本気で執り行う勉強法だ(本気でやる事がポイント)。

だからといって、目先の仕事はそっちのけで、隠れて勉強することではない。会社に貢献するためはもちろんのこと、将来の自分のためにも仕事をしながらしっかりめに勉強するのだ。

・会議でファシリテーションする際、「メタ思考」をトレーニングしよう

このように決めたら、何冊も「メタ思考」の本を読んで知識を身につけ、会議中に実践しながらこの技術を体得するのである。

・エクセルで表を作成するときは、「ズームイン思考」を勉強する

・お客様の提案時には「MECE」のスキルを鍛える

このように仕事を利用しながら、ガリ勉するのだ。仕事が終わったあとに勉強するのではない。就労時間内だからダラダラ勉強している余裕がない。自然と集中できるから「ガリ勉」になるのだ。

ぜひ試してもらいたい。

<参考記事>

驚くほど知識が手に入る読書勉強法――「水平読書」徹底解説(約7000字)

トップコンサルタント最大の武器「仮説思考」を極める「ズームイン/ズームアウト」の技術

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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