東北楽天ゴールデンイーグルスの“藤田組”―藤田一也、福山博之、岡島豪郎―の開幕
いよいよプロ野球の2017年シーズンが開幕する。開幕戦の相手がオリックス・バファローズである東北楽天ゴールデンイーグルスは、前々日に大阪に乗り込んだ。毎年1月の自主トレをともにする“藤田組”の3人も、開幕前最後の練習に汗を流した。
そんな3人に開幕を翌日に控えた3月30日、今季に懸ける意気込みを聞いた。
■藤田一也 選手
オープン戦では芳しい数字は残せなかった(14試合、打率・216)。本人も「状態はよくなかった」と振り返る。移動も大変であったし、「体がきつかった。いつも以上に体がしんどかった」と語る。
さらにラストから2戦目の中日ドラゴンズ戦で右足甲に自打球を当ててしまい、その炎症はまだ完治していない。
しかし開幕を迎えるにあたって藤田選手は「もう一回スタートなんで、気持ちを切り換えてやりたい」と前を向く。
その根底には、このオフの自主トレからしっかりと走り込んできた自負がある。「もう一回、足回りをしっかりやろうって考えてやってきた。(松井)稼頭央さんもあそこまでできるのは、走れるから。走れなくなると衰えも早いから」。その考えを念頭に置き、ランメニューに時間を割いてきた。
また「疲れの波はバッティングに影響するから、その波を小さくしたい。それに去年はケガで離脱して悔いが残った。そういうこともないようにしたい」と、コンディショニングにもより神経を使う。
仙台を発つ前日の夕飯は、「結婚してから毎年ずっと、開幕前日に嫁が用意してくれる」という恒例の鯛の尾頭付きとお赤飯だった。きっちりと開幕前の“儀式”を済ませてきた。
「終わってみて、最後にいいシーズンやったなと思えるように、しっかりと1軍で結果出したい」。そう表情を引き締めたあと、こう付け加えた。「バッティングは“怪我の功名”になるかも。痛みがあるから、右足をソ~ッと着いているのが、案外いいかも(笑)」。どんなときも明るくポジティブな藤田選手らしく、マイナスもプラスにするべく笑いを誘った。
もちろん、早く治るに越したことはない。「日にち薬」とは言うが一日も早く治し、チームの勝利に貢献することを誓っていた。
■福山博之 投手
福山投手はオープン戦では5試合、5イニングスに投げて被安打12、失点6。防御率は10.80だった。しかしこちらもまったく意に介していない。「結果はクソ悪いですよね」と笑い飛ばす。それは「ボール自体は悪くない」という手応えがあるからだ。
「まぁ、しっかり投げきれてなかったかなというところはあったけど、体がどうとかないし、不安はまったくないです」と頼もしい。「やってきたことをしっかりマウンドで出せれば」と、準備に抜かりはない。
与田剛ピッチングコーチも「サブ(福山投手の愛称)に関しては、まったく心配していない。1年トータルで見ているからね。もちろん、オープン戦で結果が出なかったことをヨシとしているわけじゃないけど、打たれてもそれを修正できない若手じゃないから。昨日のブルペンもよかったし、ちょっとした微調整だけ。まぁ、ボールに関してはまだまだ高いレベルを目指していけるだけのものはもっているしね」と心配どころか、さらなるレベルアップを確信している。
ただ与田コーチが心配するのは故障だ。「昨年も60~65試合以内にしたかったんだけど…。ケガをさせないようにオレたちが気づいてやらないとな。どこでも投げられるのはアイツのバリエーションの多さ。チームにとっては本当にありがたい存在だから」。
開幕前日にする決めごとも儀式もなく、「緊張というより楽しみ。ちょっと不安もあるけど。でもすぐに寝つけます!」と、あくまでも自然体の福山投手だ。ケガなく、目標である70試合登板を達成してほしい。
■岡島豪郎 選手
岡島選手もオープン戦は16試合の出場で打率・194と振るわなかったが、「全然気にしてないです」と満面の笑みで返してきた。
というのも現在、状態の良さを実感しているからだ。そしてさらに良くなる兆しも感じている。
きっかけは昨年の「ヒット集」だった。それまで今年の映像ばかり見ていたが、オープン戦の途中でふと昨年の自身のヒットを集めた映像を見てみたところ、気づかなかったところに目がいった。
「右手がね、こう…」とバットを握りながら説明してくれる。右手首のところで折れて内側に入っている様を見せ、「寝てたんです。それをヘッドを立てるようにしたら、それまでファウルフライになったり差されていたりしたのに、打球の質が変わってきたんです!」と嬉しそうに語ってくれた。
「いや、そんな絶好調とか書かないでくださいよ(笑)」とは言うものの、感じている手応えは確かなもののようだ。
そういえば自主トレのとき、「今年は考えすぎないようにする。いい意味でいい加減に」と話していたが、「やっぱね~、考えるね」と明かす。しかしそこは「ややこしく考えないように。いかにシンプルに考えるか、ですね」と切り替えているようだ。
開幕前夜は多少なりとも「眠れなくなったりもする」と、なかなかデリケートだが、音楽を聴き眠りにつくという。
「変わったことをやることもないし、やるつもりもない。とにかくチャンスをもらえたら結果を出せるよう、それだけ!」ややこしく考えず、シンプルに結果を求めていくだけだ。
■京都の“応援団”
1月の自主トレで使用している京都市内の球場のスタッフのみなさんも、3人の活躍を楽しみにしている。新聞記事のチェックはもちろんのこと、ネットでの記事を見つけるとプリントアウトして回覧する。3人の話題は決して見逃さないよう、アンテナを張り巡らせているのだ。活躍した3人をまた1月に笑顔で迎え、讃えることを楽しみに待っているという。
2017年のペナントレースは今日、開幕する。
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