今絶対に食べておくべき 京都の醤油ラーメン「先進派」3軒
「伝統と革新」が共存する京都のラーメン
京都は古くからラーメン文化が根付く、知る人ぞ知る「ラーメンの都」だ。戦後の屋台から続く人気の老舗がいくつもある一方で、革新的で個性的なラーメンを提供する店も年々増え続けている。京都のラーメン文化は「伝統と革新」の両方を兼ね備えた、全国でも稀有な存在と言えるだろう。
飲食業には厳しいコロナ禍ではあるが、観光都市である京都には観光客が戻り始めており、新しいラーメンを提供する新店も続々と登場している。インバウンド需要が高く、戦前からラーメンが愛されてきた場所であり、なおかつ日本料理をはじめとする出汁文化が根付いている京都という街とラーメンの親和性は高い。
老舗のラーメン店は常に行列を作るほどの人気を誇り、中堅店もレベルも高い店が競い合っており、全国的にみてもラーメンの競争が激しい街が京都だ。生半可なラーメンでは生き残れないという、京都特有のラーメンマーケットの厳しさ。さらにラーメンへの意識が高い外国人観光客を満足させ得るラーメンと空間作りへのモチベーションが、京都のラーメンを革新的で斬新なラーメンに進化させている原動力だ。
鶏の深い旨味あふれるスープ『麺屋 坂本』
烏丸沿い鞍馬口に2019年オープンした『麺屋 坂本』(京都府京都市上京区上御霊中町456-6)は、数々の人気店で経験を積んだ店主が独立して開業した店。当初は昔ながらの中華そばを提供していたがメニューを刷新し、現在は清湯系醤油ラーメンを中心にしたメニューで人気を博している。
スープは国産銘柄鶏の丸鶏がベースになっており、鶏の旨味がギュッと凝縮されたもの。そこに鰹節や鯖節、煮干、羅臼昆布などをブレンドして、甘めの醤油ダレと鶏油に合わせている。麺は東京の老舗製麺所『浅草開化楼』から取り寄せた細麺で、しっかりと茹できったしなやかな食感がスープともマッチ。京都の清湯醤油系ラーメンシーンを牽引する一杯だ。
異空間で味わうヴィーガンラーメン『Vegan Ramen UZU KYOTO』
京町家をリノベーションしたスタイリッシュな佇まいの店が、2020年にオープンした『Vegan Ramen UZU KYOTO』(京都府京都市中京区梅之木町146)。京都らしさのある通り庭を想起させる通路を抜けると、薄暗いモノトーンの部屋がお出迎え。正面にはスクリーンが配され、そこには墨絵をイメージした映像が投影されている。そして席に着くとピンスポットが自分のテーブルだけを照らし出す異空間。
このラーメン店とは思えない異空間を演出したのは、デジタルアート制作集団『teamLab(チームラボ)』によるもの。ラーメンは動物系素材不使用のヴィーガン対応。羅臼昆布や椎茸、野菜などの旨味と力強い醤油ダレとしなやかな食感の自家製麺でインパクトのある一杯を生み出している。壁面いっぱいの「空書」と呼ばれる映像作品を眺めながら、鏡やテーブルに反射した映像に包まれる中でラーメンを味わうという新たな体験が出来る。
力強く旨味香るスープと自家製麺『Nippon Ramen 凛 KYOTO』
京都の台所として知られる「錦市場」に程近い場所に、2022年オープンしたばかりの新店が『Nippon Ramen 凛 KYOTO』(京都府京都市中京区阪東屋町653-1)。札幌の人気店『Japanese Ramen Noodle Lab Q』が手掛ける新プロジェクトで、東京駅構内に続く2店舗目、関西エリア初出店となる。
凛という店名に相応しいビジュアルのラーメンは、日本全国の厳選素材を惜しげもなく使用した一杯。比内地鶏や名古屋コーチンなどの地鶏をベースに、羅臼や礼文島の昆布、宗田節を加えたスープは、力強い旨味と香りにあふれたもの。店内で打つ自家製麺は北海道産の小麦粉数種類に、香川産の小麦をブレンドしたもの。麺をすするたびに、スープの旨味と香りが口いっぱいに広がっていく。
今回ご紹介した3軒は、いずれもオープンして数年しか経っていない店ばかりだが、非常にクオリティの高いラーメンを提供して人気を博している。京都の今のラーメンシーンを語る上では欠かせない店ばかりなので、ぜひ足を運んで頂きたい。
※写真は筆者によるものです。
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