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絶対に食べておかねばならない 京都のラーメン「老舗」3軒

山路力也フードジャーナリスト
京都は古くからラーメン文化が根付いている街だ。

京都のラーメンはかなりワイルド

老舗のメニューは至ってシンプル。
老舗のメニューは至ってシンプル。

 京都は古くからラーメン文化が根付く、知る人ぞ知る「ラーメンの都」だ。戦前の屋台から続く人気の老舗がいくつもある一方で、革新的で唯一無二のラーメンを提供する新進気鋭の店も増え続けている。京都のラーメン文化は、伝統と革新の両方を兼ね備えた全国でも稀有な存在と言えるだろう。

 あっさりとした透明なスープの、いわゆる「京風ラーメン」は京都に存在しない。京都で古くから愛されるラーメンの多くは、味付けが強くスープも濃厚なものが多い。本当の京都ラーメンを知るためには、まず基本中の基本とも言うべき老舗から食べ歩きを始めて欲しい。どの店も半世紀以上愛されている店ながら、いずれも行列が出来る人気店ばかりだ。

京都ラーメンの草分け的存在『新福菜館 本店』(1938年創業)

見た目よりもあっさりとして食べやすい味わいの『新福菜館 本店』。
見た目よりもあっさりとして食べやすい味わいの『新福菜館 本店』。

 1938(昭和13)年、中国浙江省出身の徐永俤氏が京都駅近くで屋台として創業。店舗を構えたのは1945(昭和20)年と、京都ラーメンの草分け的存在として知られているのが『新福菜館 本店』(京都府京都市下京区東塩小路向畑町569)。京都府内外にも多くの暖簾分け店があり、東京にも2015年より進出している。

 鶏ガラと豚骨をベースにした真っ黒なスープは、油分がほとんどなく見た目よりもあっさりとして食べやすいのが特徴。麺はしっかりと茹で切った中太のストレート麺。薄切りのチャーシューがたっぷり乗り、九条ネギや細モヤシのシャキシャキとした食感も楽しい。醤油ダレとラードが香るヤキメシも新福菜館では欠かせない一品だ。

京都屈指の老舗行列店『本家第一旭 本店』(1947年創業)

昼夜を問わず店の前に行列が出来る『本家第一旭 本店』。
昼夜を問わず店の前に行列が出来る『本家第一旭 本店』。

『本家第一旭 本店』(京都府京都市下京区東塩小路向畑町845)は、洋食店『旭食堂』として1947(昭和22)年に創業。京都駅から程近い「高倉跨線橋」(たかばし)の北側、『新福菜館 本店』の隣り合わせの場所にある。昼夜を問わず店の前に長い行列が出来る京都屈指の老舗行列店。系列店や暖簾分け店も数多く、東京にも2018年より進出している。

 豚骨ベースの清湯スープは醤油のキレと優しい甘みのある味わいで、加水率の低い中太ストレート麺との絡みも良い。自慢のチャーシューは脂身の少ない経産豚を使用することで、噛み締めるごとに肉の旨味が広がる。九条ネギが甘めのスープを引き締める良いアクセントになっている。老若男女を問わないバランス型のラーメンは、外国人観光客などにも人気が高い。

京都背脂ラーメンの嚆矢『中華そば ますたに 北白川本店』(1947年創業)

京都背脂ラーメンの元祖『中華そば ますたに 北白川本店』。
京都背脂ラーメンの元祖『中華そば ますたに 北白川本店』。

 銀閣寺に程近い白川疏水沿いに佇む、ノスタルジックな雰囲気の老舗が『中華そば ますたに 北白川本店』(京都府京都市左京区北白川久保田町26)。屋台としての創業は1947(昭和22)年で、店舗の開業は1949(昭和24)年。本店は当時の雰囲気のまま今も営業を続けている。現在は京都駅ビル内に支店を構えるほか、東京にも暖簾分け店がある。

 京都ラーメンの系統の一つである背脂醤油ラーメンの元祖。スープは鶏ガラやモミジに大量の背脂を炊き上げた白濁スープ。仕上げには背脂をたっぷりと振りかけるが、見た目ほどのしつこさはない。隠し味の一味ペーストによって、食べ進めるほどに味わいが引き締まっていく。

 今回ご紹介した3軒は、いずれも京都のラーメンを語る上で欠かせない名店ばかり。流行のラーメンを追いかけるだけではなく、ぜひ長年愛され続けている味も食べてみて欲しい。京都ラーメンの食べ歩きがさらに楽しくなることだろう。

※写真は筆者によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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