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結局、結婚は「愛なのか?金なのか?」未婚と既婚の男女年代別の意識の違い

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

ふたつの二択質問

記事を読む前に、まず次のふたつの質問の回答を選んでいただきたい。答えは二択である。

①結婚は、「愛か、金か、どっちが大事」か?

②世の中、「愛か、金か、どっちが大事」か?

それぞれ回答の組み合わせは4つになる。

A「結婚=愛・世の中=金」

B「結婚=金・世の中=金」

C「結婚=愛・世の中=愛」

D「結婚=金・世の中=愛」

さて、あなたはどのタイプだったろうか。

4つのタイプが、男女別・年代別・未既婚別に違いがあるかどうかを調査しているのでご紹介したい。

未婚男女の結果は?

まずは、未婚男女から。

男女とも、各年代とも、そもそも「世の中=愛」の割合が圧倒的に少ない。世知辛いことだが、「世の中は金」なのである。

しかし、その前提の上でも微妙に違うのは「結婚は愛か、金か」の意識である。

未婚男性は若いほど「結婚は金」だと考えている。だからこそ、「金がないから結婚できない」という思考に陥るのかもしれない。一方、未婚女性は、正反対に若いほど「結婚は愛」と考えている。そして、年を重ねるごとに、男は「結婚は愛」派が増え、女は逆に「結婚は金」派が増える。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

これは、こういう解釈ができる。

20代未婚男性に「結婚が愛」派が極端に少ないのは、そもそも結婚以前に恋愛も経験していない人が多いからかもしれない。一度も恋愛経験のない20代未婚男性は3割弱いる

生まれてから一度も恋愛相手がいたことのない「生涯未恋率」は男女それぞれ何%か?

また、こういう解釈もできる。

若い頃「結婚は金だという男」と「結婚は愛だという女」が結婚していき、年をとるとその割合が減っていく。いつまでも「結婚は愛だという男」と「結婚は金だという女」が生涯未婚への道を突き進むということではないだろうか。

もちろん、加齢の途中で価値観が変わることもあるだろうが、そういう仮説が成り立つ。

既婚男女の結果は?

では、既婚男女の方はどうだろう。

既婚男女の方も各年代とも、「世の中=金」派が圧倒的なのは未婚男女と一緒である。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

既婚男性はそれほど年代による差異はない。40代既婚男性だけが「結婚は金」意識が突出しているが、これは子どもの学費などの問題に苦労しているからだろうか。未婚者の方で「結婚は金」派の男の方が若くして結婚しているのではないか、という仮説を立てたが、20代は多少割合が高いものの、未婚男性ほど際立ってはいない。

一方、既婚女性の方は、はっきりと年代別の違いが明確に出た。若い既婚女性ほど「結婚は愛」派が多く、年を取るごとに「結婚は金」派になっていくようだ。

写真:イメージマート

結局、結婚とは「愛か、金か」

女性は未既婚関係なく、年代とともに「金が大事」になるようだが、逆にいえば、若いうちに「結婚は愛だ」と考えている方から結婚していくことも見て取れる。

男の方は、全体では「愛か、金か」がほぼ半々で拮抗しているが、唯一、20代だけが未婚は「結婚は金」派が多く、既婚は「結婚は愛」派が多い。

つまり、男女とも大抵「世の中は金次第」とは考えているものの、自分の結婚に関しては「愛が大事」という方が結婚している。当たり前かもしれないが。

未婚男性で「結婚は金だ」と思う人ほど、実は「金がないから結婚できない」という呪縛に自らを追い込んでしまっているのかもしれない。若いうちは、金よりも愛が大事なのである。

事実、初婚男性の年収のボリュームゾーンは300万円台であり、決して「金がないから結婚できない」というわけではない。

むしろ、中年以降になってからは「金」が物を言う。40代過ぎてもいつまでも「やっぱ、結婚は愛が大事だよね~」というおじさんはお呼びではないということだ。

写真:イメージマート

結婚している男女は、若いうちに「愛」で結婚する。それは間違いないだろう。言い方を変えれば、「所詮世の中金次第ってわかってるけど、結婚する時くらい愛を信じたい」って人が結婚していくのだろう。しかし、そうして愛で結婚したものの、年と共に急激に「やっぱり金が大事だよね」になるのは既婚女性である。

結婚とは愛で始まるが、続けるためには金が必要なのだ。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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