嵐は『アラフェス2020』の一晩でどれだけ稼いだのか?映画『鬼滅の刃』のなんと3ヶ月分!
KNNポール神田です。
ジャニーズ事務所所属の国民的アイドルグループの『嵐』が、2020年11月3日(火曜日祝日:文化の日)、無観客状態で、国立競技場でのライブ(一部録画)『アラフェス 2020 at 国立競技場』をおこなった。
■『アラフェス2020』コロナでなかったら…売上は8億円だった
本来であれば、ファンを集め新しくなった国立競技場でのライブでは、8万人収容で約1万円程度の入場料、つまり、チケットだけで、8億円の売上を叩きだす。
2018〜19年のドームツアー(5大ドーム)では、237万5,000人を動員。9,000円分のチケットでは213億7,500万円の売上。
全50公演だったので、1ドーム公演あたり、4万7,500人で1ドームあたりの売上は4億2,750万円だった。
■既存の概念をくつがえす1,000万人『オンライン配信』
■一晩で、ドーム公演130回分!564億円のチケット売上!
1,000万人(日本の人口の1/12)は、さすがにないとしても、純粋に1部で100万人としても4,800円なので、単純計算で、48億円。同じく2部もファンクラブが100万人の参加で48億円、つまりファンクラブ動員だけで最大96億円と100億円近くなる。
1,000万人で計算すると残りの、800万人は一般チケットで5,800円なので、464億円の追加となる。
つまりチケット収入だけで最大でも、合計564億円と推定することができる。
昨年の全50ドーム公演で、213億7,500万円なので、単純計算では、2.6倍の規模となる。つまり、ドーム公演の130回分をたったの一日でレコードした事といえる。いや、130回のドーム公演を仕込んで撤収するコストと一回で終わるのではコストでは雲泥の差だ。今回の『オンラインライブ』は世界史上最大の利益率の高い『オンラインライブ』となったことだろう。
これは、今後のエンターテインメントの業界の可能性を大きく変えたことだろう。そう、ドームライブを何度もやるのではなく、数回のドームライブを『オンライン配信』することによって、ドームのキャパシティに左右されなくなり、利益率を最大化することができる。
いや、無観客でやるならば、観客なしでできることも考えられる。
むしろ今年12月で活動が止まる嵐ならば、ロシアから宇宙ロケットへからの宇宙空間からの『オンライン・ライブ』や、飛行機からパラシュートで急降下しながらや、アマゾンの奥地や、オーロラの下や、南極でもいろんな場所からの中継オンラインライブが可能となる。そうなれば演出規模は、無限大だ。大自然の中に、映画のセットのような巨大舞台を設営することも可能で、誰もいまだ見たことのない演出も可能となる。
■11月6日(金)7(土)8(日)リピート配信が決定!
さらにリピート配信も決定で、期間限定で視聴のチャンスがなかった人にもリーチできるようになった。
追加6公演が、コストほぼゼロで開催されるのだ。
https://online.johnnys-net.jp/s/jno/page/ARAFES2020_repeat
当然、不法な画面キャプチャや録画を防止する意味でも、追加公演で視聴できるのは一番良い判断だろう。
無理をしてスケジュールを空けたのにという方もいるが、追加公演というのはきわめて突然行われる性格のものだ。
そして、『オンラインライブ』の追加公演というのは、客数の入りを心配しなくてすむのだ。アーティストやタレントもその間他のことができるということで、さらなら売上を稼ぐことができる。
■演出費用のコストも壮大だ 想定 ▲45億円
『アラフェス2020』費用の部 ここからは現実的なコストのハナシだ。
国立競技場のレンタル料金は、実演日が3,150万円。
事前、リハや録画演出をふくめても1億円で十分だ。むしろ、それよりも高価なのが、ジャニーズの演出費用だ。
キャノン砲(キャノン砲テープ打ち)等も、コンサートなどで何発も発射。一発30万円と言われる。
筆者も『セグウェイ』をジャニーズ・イベントで使ってもらっていた立場でもあるので、そのあたりの演出にかけるジャニーズのコストのかけ方はよくわかっているつもりだ。また、無観客でありながらも警備も1万人規模ということで、それだけでも1億円。
国立競技場のレンタルと警備をいれても2億円…安いものだ。しかしだ…。
出演者 135人 嵐は別ものとして、一人100万円奮発しても…1.35億円 やすい!
制作スタッフ1800人 一人50万円あげても…9億円 ちょっと高くなってきた!
ステージ演出 この規模となると30億円MAXで精一杯、やってちょうだいくらいか…かなりアバウトになってきたが…。
つまりコストは、国立のレンタル警備もあわせても、45億円くらいだったのではないだろうか?
コロナでなければ、国立で生の嵐がチケットで、1公演あたり8億円しか稼げないところへ、45億円もの出費コストをかけてやることは絶対にありえない。しかし、『オンラインライブ』ではコストを最大化して実現することができるのだ。
これはもう、21世紀のコロナ禍が生んだ、無観客という名のまったく『新たなエンターテインメント』と言えるだろう。
さらに、ジャニーズでのグッズ売上もそれに拍車をかける。たとえば、総合計1,000万人のファンが3,000円づつ買っていても、極端なハナシ、300億円のグッズ収入を生むのだ。グッズ原価を50%と見ても+150億円だ。
一晩のエンタメ公演で、564億円+150億円 合計で、714億円の最大収益と考えることができる。
つまり、714億円を一晩で稼いだと計算できるだろう。
映画「鬼滅の刃」興行3日目で46億円、10日間で100億円突破…。『鬼滅』を1日10億円としても、『アラフェス1日は、鬼滅の2.5ヶ月分』ともいえるだろう。
変動費の45億円をさっ引いても、売上総利益は669億円だ。そこから固定費としての『嵐』メンバーのギャラや他のジャニーズのコスト一人10億あげても、▲50億円でも619億円の一晩の利益は残る。
今までの嵐のグループ活動の総売り上げは、年間214億円だったことを考えると、ここでも1日で嵐の約3年分のグループ活動売上に当たるのだ。
今回は、特別賞与と退職金としても、さらに10億円づつ50億円あげても、全く問題なさそうに思う。
■今後も『嵐』のファンクラブは継続発表!
ジャニーズ事務所のファンクラブ会員数が支える年間4000円のファンクラブ年会費
ジャニーズの最大のビジネスモデルは、実は、テレビでも、広告でもなくレコードCD類でもない。ライブ公演&グッズとファンクラブだ。
嵐のファンクラブは300万人となり、大阪都構想で議論された『大阪市』の全員(269万人)が嵐のファンクラブメンバーだと例えることができるほどだ。つまり、日本人口の2.5%は嵐のファンクラブメンバーとなる。
入会金1,000円で年会費4,000円。年間収益は、『嵐』のファンクラブだけで、年間120億円があり、それが来年も続くので、半数が残っても60億円の売上が維持されることとなった。※退会者も含む。
今回は、特別賞与と退職金としても,嵐のメンバーに、さらに10億円づつ50億円あげても、全く問題なさそうに思う。
しかし、嵐のメンバーが一人30億円づつ、一気に報酬をもらったらどうなのか…。事務所とは、業務委託契約らしいので、個人で源泉徴収されると10%の3億円はとられ、さらに住民税や保険料が最大級となる。むしろ、嵐のメンバーは個人事務所などではなく、個別に法人を設立し、30億円くらいの赤字を出す事業をやったほうが良い。もしくは、孫正義氏のように、資産管理団体や公益財団法人を作るべきだ。当然、作っているものとは思うが…。え!何もしていないって?
ジャニーズ事務所に今、一番必要なのは、メンバーのファイナンスの教育制度ではないだろうか?
きっと『嵐』と一緒に学ぶファイナンス講座のようなオンラインサロンがあれば、日本中のファイナンス知識が一気に向上するはずだと思う。
むしろ、レコード、CD、テレビ、雑誌、そして、ファンクラブとライブ運営、グッズというビジネスモデルを築いてきたジャニー喜多川氏が、この『アラフェス2020』の『オンライン・ライブ』の売上を見ていたら、絶対に『ユー、スタジアムでなくて、宇宙でやっちゃいなよ!』ときっというはずだろう…。
■ジャニー喜多川氏がなきあとのガバナンスは株式上場
このところ、ジャニーズの不祥事やタレントの退所もあい続いている。謝罪会見でも、事務所の代表者が顔を出さないというブラックな同族企業は見たことがない。
実際のファンクラブ運営やグッズ製造販売などもすべて関係会社で固められている。
健全な企業であれば、こうはならなかったはずだ。すべて、非上場会社でありながら、若年層のタレントを親御さんから預かり、エンタメの労役を学業時代からきわめて多忙に斡旋している…。
もはや現代においては、厳しい『芸能』の世界においてもブラックボックス化は許されない。業務改善も内部告発がなければ調査にも入れない。
ファンのために利益を還元し、さらに世代を超えたファンを生み続ける為のアイドル製造会社は、そろそろ社会の公器としての株式上場を果たし、売上を透明化し、事務所に、貢献してきたアーティストへ生涯に渡る株主配当という現代的なスキームも必要な頃ではないだろうか?
ジャニーズのファンクラブメンバーが、タレントを守る株主の立場で支えたら、きっと最強の『組織』が立ち上がるとも思う。
もはや、令和時代は、『顔』のみえないジャニーズ運営の時代ではないのだ。
■関連コラム
□『無観客ライブ』のほうが『ライブ』よりも儲かるコロナ時代~2020年オンラインライブの勃興の年~
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20201029-00205146/
□ジャニーズ事務所の本格的なネット活動解禁の2018年
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20180822-00093947/
□ジャニーズ神話のタブーがネットで解禁される時
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20170929-00076338/
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https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20160114-00053416/
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https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20151223-00052737/