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ジャニーズ事務所の本格的なネット活動解禁の2018年

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。

ジャニーズ事務所とネット上の動きがこのところ大きく変化してきている。

元SMAPのメンバーの事務所、独立組がネットでの活動を積極的におこなっていることも、影響しているのかもしれないが、それだけではどうやらなさそうだ。2018年3月21日よりYouTubeでもジャニーズJr.チャンネルの公式動画がスタートしていたが、ジャニーズ事務所の大御所である木村拓哉氏もネット露出が解禁となった。

木村拓哉のネット解禁

このところネットでの露出が解禁となったのが木村拓哉氏

1995年からの23年間にもおよぶラジオ番組 TOKYO FMの『木村拓哉のWhat's UP SMAP!』

しかし、今までウェブサイトには木村さんの顔はどこにもなかった。

https://www.tfm.co.jp/what-s/

SMAP の名前がとれ、新番組として『木村拓哉のFLOW』が2018年8月よりはじまった。

https://www.tfm.co.jp/flow/

ウェブサイトには木村さんの顔がしっかりと露出している。

当然、ラジオの番組は、radiko で聞くことができる。

こちらでも木村さんの顔が登場している。

http://radiko.jp/#!/ts/FMT/20180826113000

今までは、ジャニーズ事務所のタレントが雑誌の表紙になっても、電子版では白抜きになるなどの飯櫃な対応だったにもかかわらずだ…。

ジャニーズ事務所タレントが表紙の雑誌の電子版 出典:週刊朝日
ジャニーズ事務所タレントが表紙の雑誌の電子版 出典:週刊朝日

Gyao!がスポンサーになることによっての動画公開

2018年8月から新しくなった『木村拓哉のFlow』の番組提供がネット動画の『GYAO!』である。当然、ネット動画での関わりが生まれるようになったのだ。そして、ラジオ収録後の動画が流れるようになった…。

2018年8月5日 ネット映像解禁 木村さ~~ん! #1

https://gyao.yahoo.co.jp/player/09247/v00002/v0000000000000000015/

普通に考えると、何もウェブで視聴できるのは珍しいことではないのだが、ジャニーズ事務所の不文律のNGが壊れたことは、ある意味、日本の芸能界ではようやく『ベルリンの壁』が崩壊したくらいのインパクトがある。

映画のプロモーションもウェブ公開

木村拓哉 特別インタビュー 映画「検察側の罪人」2018年8月24日全国公開

https://gyao.yahoo.co.jp/player/11273/v00002/v0000000000000000012/

LINE live でも公開

映画「検察側の人」 夏の納涼 試写会舞台挨拶中を配信!

https://linliv.ee/g0lyLZV/co/ot/sh/pl

ジャニーズ事務所のウェブでも動画が…

https://www.johnnys-net.jp/page?id=jfcMovie

東宝のYouTubeチャンネルでも…

紙とウェブとSNSの逆転現象が原因?

ジャニーズ事務所はネットはNGはすでに過去のこと

YouTube公式ジャニーズJr.チャンネル チャンネル登録者数 31万4700人

https://www.youtube.com/channel/UC1cHlPIE-kqiPvpyYz2O8rQ/videos

ジャニー喜多川さんのコメントとして、この言葉を3年前に掲載した…。

「事務所のタレントを育ててくれたのは、テレビであり紙媒体だ。特に毎週、毎月、紙媒体の表紙を飾らせていただくことによって所属タレントは認知されてきた。しかしインターネットの媒体では、それらが勝手にコピーされてしまい、紙媒体さんの売上をないがしろにしてしまったからだ」という理由で「紙媒体を守る為に」全面NGになってしまったという。

出典:表紙に顔がない電子雑誌のパッケージ的意義を問う

もはや、紙媒体の売上をないがしろにしてしまうのは、ウェブ媒体ではなくなってしまった。むしろ、新聞をとらなくなる人が主流となり、テレビを見ない層も増えている。雑誌を楽しみにという人も少なくなった。可処分時間の大半がウェブやSNSなどの「スマートフォン」に依存する時代だからこそ、ジャニーズ事務所と言えども、ネット媒体を無視できなくなったのは、当然の理由である。

ラジオやテレビ、新聞、雑誌、というのは、メディア媒体の伝達するハードウェアのハナシである。むしろ、インターネットはそのすべてに関わるメディアであり、ハードウェアの媒体を意味することではない。

スマートスピーカーから木村拓哉さんがAIで語りかけてくれる時代も到来するだろうし、VRでタレントと一緒に旅番組に参加する時間も生まれてくることだろう。あらたな技術発見がネットとつながり、あらたなエンタメと融合していき、あらたな金脈やビジネスモデルへと派生していくことだろう。

2018年、ジャニーズ事務所のネット解禁は、「違法コピー保護」の観点ではなく、あらたなビジネス機会の増大につながる気がする。かなり遅まきだったが…。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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