OpenAI 検索機能をそなえたプロトタイプ『 #SearchGPT 』を発表
KNNポール神田です。
レッドオーシャンで超激戦区の生成AI戦国時代。
ついに、ChatGPTを提供する、OpenAIが、Googleの独占状態だった『検索市場』へ『SearchGPT』(プロトタイプ)で参入することを2024年7月26日(金曜日)発表した。あくまでも一時的なプロトタイプであり、将来的には『ChatGPT』に組み込むためのテストとしての公開だ。
https://openai.com/index/searchgpt-prototype/
■少人数のユーザーとパブリッシャーにのみ公開の『プロトタイプ』
OpenAIによると、SearchGPTは、AIモデルの強さとウェブからの情報を組み合わせることで、明確で関連性の高い情報源で、迅速かつタイムリーな回答を提供するように設計された新しい検索機能のプロトタイプであるという。
『私たちは、明確で関連性の高いソースから迅速かつタイムリーな回答を提供する新しい AI 検索機能の暫定プロトタイプである SearchGPT をテストしています。
私たちはフィードバックを得るために少数のユーザーグループでローンチし、その経験を ChatGPT に統合する予定です 』
https://chatgpt.com/search
たくさんのフィードバックを得るために、少人数のユーザーとパブリッシャーに公開し、このプロトタイプは一時的なもので、将来的にはこれらの機能のベストを直接ChatGPTに統合する予定だという。
プロトタイプを試してみたい方は、『ウェイティングリスト』への登録を促している。
■すでに検索型生成AIといえば、『Perplexity』
生成AIといえば、2022年11月に『ChatGPT』がデビューした頃から、『ハルシネーション(幻覚)』と戦ってきた短いながらも長い歴史がある。
その中でも、『Perplexity.ai』は、当初から幻覚を見ながらも、学習してきた情報のリソース先である『URL』を提示してくれるので、確認作業をすることができる。何よりも、日本語で海外の情報も探してくれる(内部的には英語で検索)ので、Googleでは検索できなかった情報にもアクセスできる機会を与えてくれた。
□『ある意味ChatGPT のAI超え、Perplexity.ai(パープレキシティ) 6つのポイント』https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e0a58e3bdc75fce2a082259b35a608b1455b32b6
そして、月間20ドルの、『Perplexity Pro』が登場し、ソフトバンクの全ユーザーが1年間無料で使えるというキャンペーンを開始した。これは、Perplexityにとってもソフトバンク全ユーザーが、使ってもらえられば、解約せずに残るユーザーがいることを見越してのキャンペーンとしてありだろう。
『OpenAI』と2023年の8月に『サービス開発の協業(何のためなのかよくわからないが…)』をしている『楽天』が『楽天モバイル』で同様に月間20ドルの『ChatGPT Plus』を同様に1年間無料にしてもよいはずだろう。
■『検索』といえばGoogleの生成AI 『Gemini』なのでは?
しかし、『検索』での生成AIといえば、Googleの『Bard(バード)』から改められた、『Gemini(ジェミニ)』が存在している。現在のGeminiは1.5のProとそれをコンパクトに『蒸留』した『Gemini 1.5 Flash』がある。
そして、有料はGemini 1.5Proのエンジン利用の『 Gemini Advanced』としてGoogleスイーツである『Google One』との2TBとのストレージとの抱き抱えで月額2900円から、利用できる料金体系となっている。
また、『Gemini』もGmailやGoogle Docsなどとの連携で使えるのも、『Google WorkSpace』との抱きかかえを必要とする戦略を取っている。こちらは、月単位だと1,130円からのスタートだ。
現在のGoogleは、筆者には、一時期のマイクロソフト同様に、複雑怪奇なネーミングとさらにカオス化する料金体系のドロ沼にはまりこんでいるような気がしてならない。
それは、Googleが検索における無限の広告による『メディアビジネス』から、サブスクリプション課金による、Apple型の『データストレージビジネス』にも、軸足を移しながら、同時に『生成AI』による『Pro課金ビジネス』を展開しているからだ。
それぞれのプロダクトを研究開発している部門と、ビジネス・マーケティング部門が完全に分離してしまっている『社内課題』が蔓延している図式のようである。
いくら巨大な企業になっても、軸足が『何屋』であるのかはとても重要だ。
横バイ状態だった『Microsoft』が『クラウド屋』にのれん替えしてすべて変身することができたことが、すべてを物語っている。
誰がどう考えても『検索』では、王者Googleとしての経験と知見とデータがあるのに、『OpenAI』や『Perplexity』に手を焼いてしまうのか…。それは、一重に巨大になりすぎて、意思決定が統一できないところにあるような気がしてならない。
既存ビジネスが最強に盤石すぎて、新たな新規の事業として『検索ビジネス』を再構築できないジレンマに陥っているようだ。
■OpenAIとの人員237倍、評価額11.75倍の差は?
ここで、数字でOpenAIとGoogle、Alphabetを比較してみよう。
OpenAIが2023年の『お家騒動』の時でも770名。
一方、Googleは 2023年で、世界18万2,500名と、OpenAIのなんと237倍もの規模である。
OpenAIの時価評価額は800億ドル『12兆円』(2024年12月)と破竹の勢いである。それでも上場企業のGoogleの時価総額は9,447億ドル『141兆円』(2024年7月)と11.75倍の差がある。
そして、OpenAIは先月(2024年6月)、2年近く不在だったCFO職に『サラ・フライヤー氏を最高財務責任者』CPO職に『ケビン・ワイル最高製品責任者』を招聘した。サラ・フライヤー氏は、ネクストドアやウォルマートSlack、ケビン・ワイル氏はTwitterやInstagram、人工衛星画像サービス会社の経験を持つ。
これは、OpenAIは、非営利団体をバックグラウンドにして創業された異質の企業ではあるが、上場するタイミングを見据えてのストックオプションでの招聘だったのではないだろうか?
OpenAIとのGoogleの人員237倍、評価額11.75倍の差は? OpenAIの上場で大きく変化する可能性を秘めている。
守りを固めるGoogleと、攻めに転じる、OpenAIという構図で、AI戦国時代のまだまだ、鼻の差の黎明期が続く2024年の折り返し地点である。