飲食店が飲料にも工夫を求められるいま、触れておきたい日本のカクテル古典
いざというときに立ち返ることのできる古典がある。飲食に限らず、それこそが積み重ねた文化の強みでもある。
このところ大正・昭和初期の料理家・秋穂敬子について、資料をさらっている。
著書「美味しく廉く手軽に出来る日本支那西洋家庭料理」のレシピの網羅性とレシピ数については前回、ひとしきり驚いた(レシピ数610、和洋中の料理のほか、和菓子・洋菓子も網羅するなど2人の共著とはいえ、芯を食ったレシピが大量に掲載されている)。
今回は、秋穂敬子をさらに掘り下げていきたい。
明治の文明開化を経て、さまざまな料理本が出版されるようになってきたが、明治後期から大正時代あたりには、一冊あたりのレシピ数がグッと増えてくる。国内の料理人の知見の蓄積もあったのだろうし、海外の訳書なども出版されるようになった。
ただ、「美味しく廉く手軽に出来る日本支那西洋家庭料理」のように、数百という数のレシピを1人、2人の著者が書き起こすケースはあまりない(「天皇の料理番」としてしられる秋山徳蔵は「仏蘭西料理全書」という2000ページを超える、フランス料理の辞書を記しているが、こちらはあくまで辞典であり、レシピ集ではない)。
そうして考えると秋穂敬子のレシピに対する執念は強烈だ。先の「美味しく廉く手軽に出来る日本支那西洋家庭料理」の他にも、飲料についても、一冊で600を超えるレシピに、ジャンル総論、主な素材について解説を加えた本を出版している。
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