『ウーバーイーツ』の配達人になってわかったシェアリングエコノミーのプラットフォーマービジネスモデル
KNNポール神田です。
最近、巷でよく見かける緑の大きなバッグを背負ってシェア電動バイクで配達している『UBER EATS(ウーバーイーツ)』の人たち。
しかし、実際に料理を注文すると配達料金380円〜で配達してくれる。
しかし、どう考えてみても、380円でドライバーと電動シェアバイクの費用は賄えそうにはない…。
さっそく気になり、ウェブでドライバー登録し、東京・恵比寿のサポートセンターに、配達人の登録をしに行ってみた。
https://www.uber.com/a/signup/drive/deliver/
https://www.uber.com/ja-JP/drive/tokyo/contact/
面接は、とってもカジュアルでフレンドリー。応募者も老若男女さまざま…。スマートフォンを持っていて自転車に乗れれば可能だ。在留許可のある外国人も多かった。
UBER EATSの知人ドライバーから紹介コードをもらい(※50回配達で3万円が紹介者に渡される※6万円に変更!)、銀行口座と本人確認書類、写真を撮影し、あの緑の大きなバッグを8000円の保証金を払い(※売上から天引き1週間に2,000円づつ)そして、ドコモの電動シェアバイクを月額4,000円で借りる契約をしてみた。20日間稼働すると1日あたり200円のシェアバイクのコスト計算だ。
バッグは返却すると8,000円の保証金が返却されるが、初月の初期コストの損益分岐点は1万2000円だ。
■UBER EATSの配達人は、時間無制限の電動シェアバイク利用が可能
登録センターに行き、約1週間程度で、ドコモの電動シェアバイクのUBER用のアカウントが作成できた。
最初はとまどったが、サポートに電話しセットアップが完了。
ドコモサポート電話 0120-116-819
SUICAの交通カードをかざすだけで、電動シェアバイクの鍵が解錠され、24時間内いつでも無制限で利用できるようになった。
1日200円程度のコストで使い放題、電池がなくなれば、ステーションで他のバイクに乗り換えることも可能である。これはUBER EATSのドライバーならではの特権といえよう。
シェアバイクは、便利そうだが30分単位での利用料金がとっても気になっていた。しかし、一度利用してみると家の近くのコンビニのステーションから他の区のステーションへと乗り捨てできる、バスや電車よりも安価になったりする。東京都では9つの区のステーションで返却できる。家の近くにステーションがあれば自分で自転車を所有するより便利かもしれない。
東京都内9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区)において、9区すべてのポートで貸出・返却することが可能
https://docomo-cycle.jp/tokyo-project/
また、UBER EATSの配達人の場合、スマートフォンさえあれば、近所でなくても自転車を借り、知らない地区でも働くことができる。東京近郊から電車に乗り、東京都内9区でシェアバイクを借り、UBER EATSで配達している人も多いという…。
■アプリを立ち上げると、仕事がはじまる『オンデマンドワーク』
UBER EATSの一番ユニークなところは、アプリで『出発』を選ぶと、業務がその瞬間から、開始となることだ。昼時や3時のおやつタイムは新宿区は、けっこう忙しい…。生業としての『ワーク』ではなく、本業の合間の隙間に気分転換で天気の良い日に太陽を浴びて、街を疾走するのはフィットネスクラブの中でバイクを漕ぐよりも健康的だ。しかもフィットネスクラブは会費を払うが、こちらは一件あたりオカネがもらえて運動ができる。運動してオカネがもらえて晩ごはん代くらいになり、気分転換になる。
最初の配達の数件は、さすがに緊張した…。生まれてはじめておこなったアルバイトのあの感覚だ。あの目立ちすぎるバッグも注目されるかと思えば以外にスルーされて驚く。近所の人は驚くが(笑)。
アプリを立ち上げて、数分でオーダーが入る…。まずは引取り店舗が指示されて、レストランにピックアップに向かう。マクドナルドだった…。行列に並ぶことなく、受け取りカウンターに行くと、スマートフォンに示されたナンバーを告げると、できたセットを渡される。それをバッグに詰め、スマートフォンから、受け取り終了を打ち込み、客先への配達開始を押す。配達先がマップに示されそちらへ向かう…。なんだか、これには、妙な既視感がある。そうか!UBER EATSは、オカネがもらえるポケモンGOだった!昼間のポカポカ陽気に電動シェアバイクで『公道フィットネス』を疾走するのは新たなアクティビティとなった。
マクドナルドの袋とドリンクを詰め込み、2km先の注文主のところへと向かう。赤信号で必ず止まり、青信号で走る。右折はもちろん二段階右折だ。緑の大きなカバンを背負っているので交通違反にならないように運転は自然と慎重になる。また、行き交うUBER EATSのドライバーさんともあいさつをする。なんなんだこの同胞意識は(笑)! 路地に入ると、こんなところに銭湯があったのかとか、新たな自分の街の再発見に気づく…。電車やタクシーでは気づかない街の姿を再発見できる。また、日常の生活ではありえない行く先を自分で考えずに、お客さんの空腹の欲求デマンドにあわせて走るのは面白い!郵便とか宅配でなく、先方は30分以内にお腹の欲求を満たそうとして、固唾を飲んで待ってくださっているのだ。
■UBER EATSの配達人のギャラは?
レストランにピックアップが終わると、これで基本料金の(a)受け取り料金300円が入手できる。そして、アプリで受け取りをチェックし、次は配達だ。事前にレストランからの距離は、わかっているが、方角を初めて知ることとなる。(c)距離料金1kmあたり150円だ。2kmだと300円、3kmだと450円とタクシー料金のように増えていく。これがUBERの特徴だ。一方、マレーシアでのGRABタクシーなどでは、届け先の方向もわかるので、オーダーをとって逆方向の配達だったなんてことはない。マレーシアではUBERは撤退し、GRABに譲渡された。
さて、実際に注文したお客様にも、UBER EATSのドライバーが自分のところへ向かっていることがわかるので、自宅を知られたくない女性などは、わざわざ表まで迎えに来ていくれていることが多い。
GPSがたまにズレることもあるが、マンションの角にとてもキレイな女性が立っていればそれがお客様だ。男性の場合は、マンションのドア口まで運ぶことが多い。それで(b)受け渡し料金170円がはいる。そして、その基本料金の総額からサービス手数料35%が差し引かれて支払い金額が決まる。最低でも、(a)受け取り料金300円 (b)受け渡し料金170円 (c)距離料金150円=合計620円
そこからサービス手数料35%(217円)を引かれ、最低料金は403円となる。
2km〜3km圏が多いので、平均単価は500円前後となるだろう。1時間で2件とすると時給1000円ということになるが、気分転換で運動不足を解消して時給がもらえるのは、単なるブルーカラーワークとはまったく違う。天気の良いお昼と3時のおやつ時間だけしか配達しないと決めているので、曇天や雨の日や夜間も動けば、良いお小遣いになるのではないだろうか?ドライブ中にいろいろと考えることができる。机上で考えるよりも、このわざわざ新大久保のジャージャー麺を早稲田で食べる人はどんな生活をしているんだろうとか…。そのうち、これらの宅配が人々の貪欲な胃袋と接続したビッグデータだということがわかる。UBER EATSのついでに、ドラッグストアでも書店でもスマートフォンでもなんでもオンデマンドで物流できそうな社会がイメージできる。シェアリングエコノミーのビジネスを考え、リサーチし実践する一番良い方法は、自分がその歯車になってみることだ。クアラルンプールでもAirbnbを長期運用し、スーパーホストになってみてわかったノウハウがコンサルティング業務に活きている。また2019年はヨーロッパ方面へ進出を念頭に入れているのも自分でとにかくやってみてわかったことが多いいからだ。とにかく新しいサービスは、自分で手足を動かしてみることによって見えてくることが多い。
しかし、そう、このUBER EATSの最初の宅配は、最初は380円〜だとすると、UBERは一体どうやって儲けているのか?
■UBER EATS の儲かりの仕組みは三方からの手数料だった!
これが一番肝心なことだが、UBER EATSをオーダーするお客さんからすると、配達料380円からしか見えてこないが、実はUBER EATSはレストラン側からも35%をいただいていたのであった。そして、ドライバーからも35%をシステム利用料として取得している。このレストラン、宅配ドライバー、お客さまの各地域での三者のバランスのとれた成長が必要なのだ。
レストラン側にしては、店舗内でなくデリバリーのパッケージを用意するだけで売上が向上する。実質パッキングさえすれば、ほとんどサービスの手間はかからない。飲食コストが3割としても6.5割で販売できれば、3.5割の売上が残る。UBER EATSで店側の売上は向上するのだ。デリバリー用のメニューに絞り込むこともできる。
■UBER EATSの利益構造
【A】レストラン から売価 35%
【B】宅配ドライバー から売上 35% (距離によってコストは変動)
【C】ユーザー 売価+配達料380円〜 (時間帯や天候、需供、距離によって変動)
参考 レストランの売価 1000円の場合
【A】レストランの売価 1000円の場合 35%、 UBER EATS 350円
【C】ユーザー 配達料380円 UBER EATS 380円
【A】+【C】 UBER EATS730円
【B】 宅配ドライバー 675円 35% ドライバー 500円 UBER EATS 175円
【A】+【C】ー【B】 UBER EATS 730円ー(675円ー175円)= 230円
UBER EATSは、すべての人から利益をとっている。ドライバーにも支払うだけでなく35%のチャージバックをとっているところが秀逸だ。要はシステム手数料だ。
レストランが多すぎても困る、ドライバーが多すぎても、お客様が多すぎても、この成長をAIが判断し、人件費をアップしたりボーナスとして、需要の高まる時期には、給与を1.5倍(ブースト)とか、一日の回数をこなすと10配達で2000円ボーナス(クエスト)みたいなインセンティブがうまく設けられているのだ。それは天候やいろんなパラメータからのAIによる需給予測の上に成立している。いろんな上司の下で働くよりも、AIによって指示され、自分の意思だけで働くというのは人間にとってストレスがないのかもしれない。人間にとって最大のストレスは人間にあったのかと悟りの境地でもある。
まとユニークなのが、相互評価だ。レストランはドライバーを評価し、お客様もドライバーを評価する。その逆にドライバーもレストランを評価し、お客様も評価できる。『5つ星』のサービスをめざそうとすると、宅配ドライバーも心地の良いドライバーになってくる。自分も評価されているとすると、荷物の受け取りくらいは、真摯で明るい元気の良い態度となってくることだろう。自分が前向きで明るいと相手も心地よいものだ。それによって5つ星をもらうと、AIが仕事の質をあげてくれ、結果として、良い仕事を回してくれる。人間よりも良いのが上司の判断ではなく、AIが総合的に判断し、他者も相互評価できているところだろう。自分が嫌な気持ちになる時は、相手も嫌な気持ちになるところだ。自分の気持ちがネガティブになるような要因は何だったのかを内省することもできる。シェアリングエコノミーはサービスの本質を追求している。
また、現在はUBER EATSは、ドライバーを増やしたい時期でもあるので、ドライバーの紹介キャンペーンをやっている。クーポンコードをもらい登録し、その人が50件の配達を達成すると、3万円の報酬が紹介した人に渡される。1件あたりなんと600円のインセンティブになる。これは、UBER EATS側が、1件あたり、300円づつに折半し、双方に渡すほうが、日本的には、紹介しやすい友達紹介の仕組みになりそうだ。
地区によっても違うが、レストランが多く、お昼よりも遅めのほうが宅配ニーズがあり、15時くらいにはタピオカのおやつニーズがあり、夕方の家族向けと22時くらいの夜食ニーズと、同じ宅配一つでも、さまざまなビッグデータの片鱗を眺めることができた。だまされたと思って、一度自分でバイクを漕いでみることをおすすめしたい。
※ドライバー不足なのか、紹介料金が6万円にアップされている。食えないマルチやネットワークビジネスの人も動きだしそうな価格だ。
本来のアフィリエイトであれば、紹介する側と紹介された側にもインセンティブがあるべきだ。紹介した側だけが高報酬だと、ネットワーク・ビジネス系の人が、規定の50回だけデリバリーすることもありえる。6万円の報奨だと、1回あたりの配送に1200円のオプションがつくことになる…。それでも短期的にはドライバー不足は解消するかもしれない…。
メールだけの招待ではなくfacebookやtwitterのシェアボタンも搭載された。
UBER EATSのドライバーさんの公式動画
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