『マイナ免許証』をとおりこして『スマートフォン』に『運転免許情報』は搭載はできなかったのか?
KNNポール神田です。
2024年10月29日火曜日、閣議決定で『マイナ免許証』が2025年3月24日から運用開始されることとなった。
■運転免許証情報を『マイナンバーカード』のICにチップに記録しただけのものが『マイナ免許証』
警察庁によると、『マイイナンバーカード』の持つICチップに
『運転免許証番号』『有効期限』『免許の種類』『眼鏡が必要などの条件』『顔写真などの情報』を書き込むことによって『マイナ免許証』として『マイナンバーカード』が使えるようになる。
なので、『マイナ免許証』という物理的なものは存在せずに、『マイナンバーカード』の見た目がそのままであるものが残るだけだ。
参考:https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000279591
参考: https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/4441e7acee0c627dfdc6562689d39188869408bb
メリットはアナログ運転免許証の2,850円の更新料が2,100円と750円安くなることや、安全講習がオンラインで200円で自宅でうけられる。また、引っ越しや結婚などの住所氏名変更は、自治体だけで警察に行く必要がないといわれてもあまりピンとこない人のほうが多いだろう。
むしろ、運転免許の情報を『マイナンバーカード』に、ただ書き込むだけの『マイナ免許証』は無償化としても良かったのではないだろうか?
利用者側のベネフィットは、紛失リスクを考えると恐ろしく低いからだ…。
マイナンバーカードをなくした段階で、運転免許証もなくしたこととなるので、まずはマイナンバーカードの再発行と運転免許の再発行の双方が出てくる。そう、マイナンバーカードの受け取りも自治体での、事前予約の受取り制となっているからだ。マイナ免許から450円割高、アナログ免許から100円割高の2,950円の免許とマイナ免許証のハイブリッドを選びたくなる。
これだけで、運転免許証の常時携行は必要となくなり、紛失リスクにも『保険』としてのアナログの『運転免許証』は確保できている。
■『健康保険証』と比較してメリットが少ない『マイナ免許証』
『マイナ免許証』は、『健康保険証』のマイナンバー化と比較して政府や行政側のメリットが少ないのが、今回の、現行方式、マイナ免許方式、ハイブリッド方式の中途半端な運用に見えてくる。
『マイナ免許証』に切り替えるメリットがほとんど感じられないからだ。そして、何よりも運転免許証の期限のほうがマイナンバーカードよりも早く更新時期がやってくるからだ。
運転免許証が手元にあれば目視で更新時期がわかる。一般で3年、準優良やゴールドでも5年なので、『マイナ免許証』になった場合、『マイナンバーカード』は10年だが、『電子証明書(公的個人認証)』は5年ごとに更新が必要なので、運転免許証のほうが有効期限が短くなる。それが明記されたものが手元にないのはかなり不安になる。都道府県の交通安全協会に入会し、事前通知ハガキで教えてもらえるという方法もあるが…。心もとない。
むしろ、こちらのほうは、『マイナポータル』で対応してもらいたいものだ。
また、『マイナポータル』であれば、現在は主要のAndroid端末では対応しており、『電子証明書機能』と搭載する『スマホ用電子証明書搭載サービス』が2023年5月11日から可能となっている
マイナポータルにログインする歳に、スマートフォンのNFCで毎回、『マイナンバーカード』を取り出してかざす必要がなくなったので、画期的だった。
万一、『マイナンバーカード』を紛失した時にも、すぐに、こちらで『マイナンバーカード』の再発行の申請をしやすくすることは努力次第でできることだろう。
iPhoneでの対応は、2025年の春、Android端末ですでに実現しているマイナンバーカードのICチップに格納されている『電子証明書』に加え、マイナンバーカードの『券面記載事項』が加わるので、iPhoneだけで『本人確認や年齢確認、住所確認』『国家資格』『各種証明書』などを掲示することができるようになる。むしろ、こちらにも『マイナ免許証』を搭載できれば、iPhoneやAndroid端末ひとつで自動車やバイクを運転できるようになると人気となるはずだ。
筆者の場合、健康保険証はほとんど持ち歩かないけど、運転免許証は毎日持ち歩いているからこそ、スマートフォンに搭載できれば普及しやすいのではないだろうか?
『マイナ免許証』という『マイナンバーカード』に書き込むだけからもう少し進化せて、『マイナポータル』での活用を考え、『スマートフォン免許証』としたほうが、いつでもスマートフォンでの『券面記載事項』の確認機能で運転免許証情報にアクセスさせれば良いのだ。警察にはリアルタイムのQRコードを発行して、読み取ってもらって自分の運転免許証情報にアクセスさせれば、本人と連絡のとれるスマートフォンとクラウドによる本人確認と免許証情報で多要素の本人確認がとれるようになることだろう。
すでに、デジタル庁でも誰もが、パスワードなしで、マイナンバーカードから券面情報が読み取れる『マイナンバーカード対面確認アプリ』を配布しているのでニセモノの『マイナンバーカード』で騙されることはほぼなくなってきている。
参考:https://services.digital.go.jp/mynumbercard-check-app/
■『マイナ免許証』の展開アイデア
自動車を運転している人にとて、誰もがありうるシーンを想定してみよう。
2025年3月24日移行に、『マイナ免許証』とは名ばかりの『運転免許証情報』を書き込まれただけの『マイナンバーカード』だけでクルマを運転しているとし、一時停止の場所を間違えて、停止せずに、おまわりさんに停められたとする。
運転免許証を見せてください。『マイナ免許証』となった『マイナンバーカード』を見せる。この段階で、おまわりさんは、ICをスキャンする。運転免許証もICカード化されているので2007年から同様の確認方法ですむ。注意だけなら、運転免許の目視で済むが、『マイナ免許』となるとICカードをスキャンする必要がでてくる。
注意だけでも面倒くさい。万一、違反であれば、従来の『運転免許証』であれば、目視で確認しながら『青切符』を手書きで書き写され、拇印を青キップでもらう。夜間であっても、懐中電灯ひとつで『青切符』はおまわりさんによって作成される。ネットも電波も不要だ。
しかし、『マイナンバーカード』の『マイナ免許証』であれば、ICカードを読み取ったデバイスから読み取るためには、クラウドにアクセスできる環境が必要だ。
また、せっかくの情報があっても、すんなりと青切符が『モバイルプリンター』から出力されればよいが、おそらく手書きでの対応となると、手間ひまが増えるだけだ。おそらく来年の3月24日移行も、このままの形態で運用されるのだろう。
しかし、ここは、警察側のシステムも『マイナ免許証』での対応で、モバイルプリンターなどの全員へ導入で、個別の銀行の振込ナンバーやQRコードも発行し、『拇印』ではなくタブレットデバイスなどで、デジタルサインで対応すればデジタルによる合理化は実現するだろう。期限がすぎるたびに振込票を発行するのではなく、更新して利息も取ればよいのだ。
むしろ、反則金が『マイナ免許証』となった『マイナンバーカード』を提示することで警察側の事務処理もかなり合理化できるので、10%安くなるなどの利用者ベネフィットも考えるべきではないだろうか?
また、海外での運転の歳に必要な『国際運転免許証』などの申し込みを『マイナンバー』からできるようにするのはどうだろう?発行から1年間の有効で、2,350円の発行手数料。これも24時間受付申請可能で支払いも先に終わらせ、引取りにだけいけばよいとする。これだけでも申請する側も発行する側もかなり合理化できるだろう。
そして、さらに『国際運転免許証』とするならば、『パスポート番号との紐づけ、住所、氏名、アルファベット化、誕生日の西暦化』も『マイナンバーカード』のICチップの空き領域に書き込めるようにすれば、個人の証明だけでなく、海外渡航ビザの申請にも使えるようにもなる。
参考: https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html
当然、ひとつの法律を変えるだけで大変なことは百も承知だが、任意のはずの『マイナンバーカード』を普及させることが目的ではなく、政府が日本国民に発行した『マイナンバー』を搭載した『スマートフォン』ですべてが解決できるようにしてはじめて国民のマイナンバー構想が実現するのではないだろうか?
そのためには、いまいちど、国民に対して、
マイナンバー、マイナンバーカード、マイナポータルの違いの丁寧な説明が要求されている。
参考: https://digital-gov.note.jp/n/nddf8756b9d17