予算はその国の顔に当たり、未来の姿をも映し出す。政府は22日、今年度の当初予算から1兆1200億円余りの大幅増となる来年度防衛予算案を閣議決定した。総額は7兆9496億円に及び、10年連続で過去最高額を更新した。来年度は、昨年末に策定され、5年間で総額約43兆円を投じる政府の防衛力整備計画の2年目に当たる。日本は防衛力の抜本的な強化を加速している。この国の行く末を左右する防衛予算の目玉事業をまとめてみた。

▼イージス・アショアの代替となるイージス・システム搭載艦2隻の取得のため、関連経費を含めて約4546億円が計上された。

▼いずも型護衛艦の「いずも」と「かが」にステルス戦闘機F35Bを搭載できるよう、軽空母化改修費424億円が計上された。

▼航空自衛隊F2戦闘機の後継となる次期戦闘機開発の関連費用730億円が確保された。機体やエンジンの設計などが引き続き行われる。

▼ゲームチェンジャーとして注目を集めるレールガンや高出力レーザーシステムなど最先端技術の研究開発にも予算が計上された。

言わずもがなではあるが、予算の源泉は国民の血税だ。特に防衛予算は、国民の生命と財産を守る国防という観点から大変重要なだけに、ケタ違いの多額の公金が使われる。国の財政事情が厳しさを増す中、とりわけ今年はインボイス導入など税の話題に事欠かず、日本漢字能力検定協会が12日に発表した「今年の漢字」でも「税」が選ばれた。物価高で庶民生活が苦しくなる中、国民から十分な納得感が得られるよう、防衛予算の費用対効果や財源、そして、国防の在り方を国会などで真っ向から真摯に議論していただきたいものだ。