相手に喜んでもらう行動が自分自身を苦しめていませんか?その要因と対処法を心療内科医が解説
自分の行動で、人に喜んでもらえるとうれしいですよね!
でも、自分を犠牲にしてまで、喜んでもらおうとしていませんか?
もし、そうだとしたら、自分では意識していないかもしれませんが、「他人を喜ばせなければならない」と思っているのかもしれません。
今回は、このように私たちの考えや行動に影響している「他人を喜ばせなければならない」というメッセージに気づいて、うまく対処する方法について、心療内科医が解説します。
人生に影響を与えているメッセージ
私たちの考えや行動は、生まれ育った環境で出会った人たち(親など)からのメッセージに影響されています。
以前の記事では、「頑張らなければならない(一生懸命努力せよ)」や「完璧にやらなければならない(完全であれ)」のドライバーについて解説しましたが、今回は「喜ばせなければならない(喜ばせよ)」について解説します。
「喜ばせなければならない」のドライバーとは?
「自分はどうでもいいけど、相手が喜んでいることがうれしい」、「周りの人が楽しんでいないと落ち着かない」という人は、もしかしたら無意識に「相手が喜んでいることで自分には価値があるんだ」、「相手が喜んでいないと自分には価値がない」と思っているかもしれません。
そのように思う理由は、無意識のうちに「(他人を)喜ばせなければならない」のドライバーがあるからです。
「(他人を)喜ばせなければならない」のドライバーがある人は、他人を喜ばせることや楽しませることを優先して、自分のことを後回しにしたり、自分を犠牲にしたりしてまで他人を喜ばせるようになり、自分自身は疲れ切ってしまい、疲れや痛みがあっても無理をして行動するようになります。
このようなタイプの人は、注意が必要です!
相手を喜ばせることの原因、メリット、デメリット
原因
小さい頃から自分の気持ちをおさえて、我慢して、周りの人に気をつかったり、親切にしたりすることで、相手が喜んでもらったり、楽しんでもらったりした経験が原因になることがあります。
メリット
周囲の人たちからの印象がよかったり、人間関係がうまくいったり、学校や職場で人気者になったり、ムードメーカーになったりというプラスの面があります。
デメリット
自分がきつくてつらい状況でも、他人の世話をしたり、他人に尽くしたりすることが止められなくなる場合があります。
実際に、疲れや痛みで日常生活に支障が出てきていても、他人のために動いて疲れや痛みが改善しない状態が続いていた患者さんをこれまでにたくさん診てきました。
他人を喜ばせることで、体調が悪くなっている時の対処法
周りの人たちを喜ばせようと、他人のために時間を費やして、睡眠時間が短くなって、体調が悪くなっている時には、この「喜ばせなければならない」のドライバーが自分自身に悪影響を及ぼしている可能性があります。
その場合には、そのドライバーを和らげるために、以下のことを実践してみましょう!
- 「そんなに他人を喜ばせなくてもいいよ」と、そのままの自分を許してみましょう!
- 人のためにやってあげる必要がないものには、それほど時間とエネルギーを注がないようにしましょう!
- 必要以上に周りの人に気をつかったり、親切にしたりしないで、自分が楽でいられるようにして、しっかりと休息や睡眠をとるようにしましょう!
まとめ
「喜ばせなければならない」というドライバーが自分の考えや行動に影響を与え、学校や職場で人気者になったり、ムードメーカーになったりするなど、プラスに働くことが多くあります。
でも、どんな時でも他人を喜ばせる行動をしていて、体調を崩しているのであれば、この「喜ばせなければならない」というドライバーが自分自身にマイナスに働いている可能性があります。
そのようなタイプの人は、相手に喜んでもらう行動を控えて、「喜ばせなければならない」のドライバーを和らげるために、「そんなに他人を喜ばせなくてもいいよ」と自分自身を許すようにしましょう!