Yahoo!ニュース

完璧にやることで疲れていませんか?その原因と対処法を心療内科医が解説

中途半端は嫌いで、完璧にやりたいと思うことはありませんか?
もし、そうだとしたら、自分では意識していないかもしれませんが、何に対しても「完璧にやらなければならない」と思っているのかもしれません。
今回は、このように私たちの考えや行動に影響している「完璧にやらなければならない」というメッセージに気づいて、うまく対処する方法について、心療内科医が解説します。

人生に影響を与えているメッセージ

私たちの考えや行動は、生まれ育った環境で出会った人たち(親など)からのメッセージに影響されています。
人生に影響を与えているメッセージの一つに、ドライバー(人の行動を駆り立てるメッセージ)と呼ばれるものがあります。
日本でドライバー(Driver)と言えば、運転手や工具のドライバーをイメージしますが、ここでは活動に勢いを与える「推進力」や「原動力」といった意味で用いています。
ほめられてきたことの悪影響とは?その理由と対処法を心療内科医が解説

人の行動を駆り立てるメッセージであるドライバーにはいくつかあります。
前回の記事では、「頑張らなければならない」というドライバーについて解説しました。
今回は、「完璧にやらなければならない」というドライバーについて解説します。

「完璧にやらなければならない」理由

「中途半端では気が済まない」、「完璧でないと落ち着かない」という人は、もしかしたら「完璧にできない自分はダメな人間だ」と無意識に思っているかもしれません。
そのように思う理由は、無意識のうちに「完璧にやらなければならない」というドライバーがあるからです。
「完璧にやらなければならない」のドライバーがある人は、何をするにしても完全にやっておかないと落ち着かないため、完璧主義になりがちです。

完璧にやることの原因、メリット、デメリット

原因

例えば、小さい頃から周囲の大人に「ちゃんとやりなさい」と言われたり、完璧にやるとほめられたり、ちょっとしたミスで叱られたりしたことが原因になったりします。

メリット

学生の頃はテストで満点が取れたり、大人になっても仕事で周りから高い評価を受けることが多かったりというプラスの面があります。

デメリット

なにをしても「完璧じゃない」と不安になったり、“完璧にできていない”と思って「完璧にできていない自分は価値がない人間だ」と思ったりします。
また、他人に対しても完璧であることを期待するけど、その人が完璧でないとその人のことを悪く言ったり、嫌いになったりして、対人関係で悩むことがあります。

完璧にやりすぎて体調が悪くなっている時の3つの対処法

周りの人たちの期待に応えようと、何事にも完璧を求めて頑張って、勉強する時間や働く時間が長くなり、睡眠時間が減って、体調が悪くなっている時には、この「完璧にやらなければならない」のドライバーが自分自身に悪影響を及ぼしている可能性があります。
その場合には、そのドライバーを和らげるために、以下のことを実践してみましょう!

  • 「完璧にやらなくてもいいよ」とそのままの自分を許す
  • 完璧にやる必要がないものには、それほど時間とエネルギーを注がないようにする
  • 他人に対してもあまり完璧を求めるのではなく、「他人も完璧にやらなくてもいい」と完璧でない他人を許す

まとめ

「完璧にやらなければならない」というドライバーが自分の考えや行動に影響を与え、学校の成績がよかったり、仕事で評価されたりして、プラスに働くことが多くあります。
でも、何事にも完璧を求めて頑張って、体調を崩しているのであれば、この「完璧にやらなければならない」というドライバーが自分自身にマイナスに働いている可能性があります。
その場合には、そのドライバーを和らげるために、「完璧にやらなくてもいいよ」と自分自身や他人を許すようにしましょう!

心療内科専門医・総合内科専門医のよっしーです。心療内科医として20年以上、大学病院で15年以上患者さんを診察してきました。大学では教授として研究や学生の教育も行っています。より多くの人たちのお役に立てるような心と身体の情報を発信しています。健康な人にとっても病気の予防にも役に立つ効果的な治療法(セラピー)の情報やその実践法についてもわかりやすく解説しています。

心療内科医よっしーの最近の記事