豚骨ラーメンに牡蠣? 前代未聞の「六本木コラボラーメン」とは?
六本木のラーメン店2軒がコラボレーション
今、六本木にある2軒のラーメン店による「六本木コラボラーメン」が話題になっている。豚骨ラーメンの人気店『博多一風堂 六本木店』(東京都港区六本木4-9-11)と、貝出汁ラーメンの間借りラーメン店『拉麺 はま家』(東京都港区六本木4-9-8)。両店の距離は歩いて一分程の「ライバル店」同士による、異色のコラボレーションだ。
今回のコラボレーションのテーマは「豚骨」と「牡蠣」。それぞれの店が得意とする素材を組み合わせた2杯のラーメンを両店の店主が協力して作り上げた。「牡蠣とあさりオイルの牡蠣豚骨そば」(12月6日〜10日まで『拉麺 はま家』にて提供)と「牡蠣豚骨拉麺」(13日〜17日まで『博多一風堂 六本木店』にて提供)の2杯だ。いずれも1日30食限定で、一杯1,200円で提供される。
クリーミーな豚骨と深みある牡蠣の見事な調和
現在は『拉麺 はま家』で「牡蠣とあさりオイルの牡蠣豚骨そば」を提供中。ベースとなっているのは『博多一風堂』自慢のシルキーな豚骨スープ。そこに『はま家』が得意とする牡蠣やアサリの旨味を凝縮したタレと香味油が合わせられている。
まずは豚骨をそのまま味わい、次にオイルやソースを混ぜて味わい、後半はジェノベーゼソースが絡められた「和え玉」を投入して味わう。一杯のラーメンで何度も味が変わる楽しさもあるが、驚くべきは豚骨と牡蠣の相性の良さだ。異なる旨味が喧嘩することなく、見事に調和して一杯のラーメンとして成立している。
13日からは第2弾のラーメンが登場
また、13日から『博多一風堂 六本木店』で提供される「牡蠣豚骨拉麺」は、一転して透明な清湯豚骨スープがベース。麺も平打ちの太麺を使い、同じ豚骨と牡蠣という素材を使いながらも、全く異なる表情のラーメンを作り上げた。
「足し算が必ずしも美味しくなるとは限らないため、甘・酸・苦・塩、旨味のバランスに気を付けました。私はラーメンは一品料理と考えているので、見た目や香り、食感と季節感も意識して仕上げました」(拉麺 はま家 店主 伏見俊治さん)
「やはり、はま家さんの武器である牡蠣やハマグリなどの出汁やペーストを、どうやって一風堂の豚骨に合わせていくかが苦労しました。今回2杯のラーメンを作ったので、同じ素材の組み合わせながら全く違う2杯になるように差別化をはかりました」(博多一風堂 六本木店 店主 池田龍太郎さん)
六本木をラーメンで盛り上げていきたい
同じ六本木で営むラーメン店、言わば「ライバル」同士のコラボレーションはどのような経緯で生まれたのか。今回のコラボレーションは『拉麺 はま家』の伏見さんが『博多一風堂 六本木店』の池田さんに呼びかけたことから実現した。
伏見さんは宮城県で居酒屋などを経営しているが、仙台で3年間営んでいた『拉麺 はま家』を4月に閉めて、5月に六本木交差点に程近い場所にある中華居酒屋「餃包」を間借りする形で東京都内に進出を果たした。
「六本木という場所に来て『ラーメン』で何かできないかと考えたんです。これからの時代は物ではなく体験を売らないと、お客様の来店動機や再来店に繋がらないと考えています。コラボによってお客様への新たな刺激の体験や、お互いのお客様へ新規開拓の機会になればと思い、『一風堂』さんは大手様ですが直談判でお話を持ちかけたところ、池田さんから『出来ますよ』とすぐに快諾を頂いて驚きました」(伏見さん)
相談を持ちかけられた池田さんは、長年『博多一風堂』で店長やマネージャーなどを歴任したベテラン職人。社内の暖簾分け制度を利用して退社独立し「暖簾分け店主」として『博多一風堂 六本木店』の運営を任されている。
「こんな時期だからこそ、何かアクションを起こすことで店舗を再認知して頂けますし、止まらずに動いている事でお客様が来て下さるきっかけになると考えていましたので、お話を頂いた時は『是非やりたい」と思ったのが第一印象です。『一風堂 六本木店』は暖簾分け店なのですが、一風堂の中で直営の既存店とどうやって差別化していくかを考えていく中で、個店ベースの取り組みには以前から興味がありました。今回は六本木に来たばかりの『はま家』さんからのご提案でしたが、僕がもし逆の立場で地元ではない地域へ出店したとしたら、同じようにその土地のコミュニティーに入っていって攻める事をすると思います。お互いの考えが合致した感じがしますね」(池田さん)
「ラーメンで六本木の街を盛り上げていきたいです。まずは私たち2店舗からのスタートですが、今後は他のラーメン店さんにもお声掛けをして、この輪が広がっていくと楽しいと思っています」と語る伏見さんと池田さん。これからの六本木のラーメンシーンに注目だ。
※写真は筆者によるものです(注釈があるものを除く)。
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