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2022年度が終わり、予備費はどうなるか。4年連続で予備費を巨額にする深いワケ

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2020年度以降、巨額になった予備費(出典:筆者作成)

3月31日で、2022年度(会計年度)が終わる。そして、2022年度予算に計上された予備費も、これをもって執行が停止され、使い残した分は効力を失う。

2020年度に、新型コロナウイルス感染症に直面して以降、予備費が巨額になった。その経緯は、拙稿「予算案の国会審議始まる。予備費という名の『財政規律』」でも記したところである。

コロナ前は、本稿冒頭の図にあるように、1兆円にも達せず、3500~5000億円程度(図では赤色)だった。それと比べると、コロナ禍での予備費は「桁違い」である。

まず、新型コロナウイルス感染症対策予備費(冒頭の図では水色。2022年度補正予算以降、新型コロナウイルス感染症対策予備費は、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費と名称を変更するとともに使途を拡大)は、2020年度に9兆6500億円、2021年度に5兆円、2022年度に9兆8600億円計上された。2023年度当初予算でも4兆円計上されている(金額は、補正後予算ベース。以下同様)。

2022年度の補正予算からは、ロシアのウクライナ侵攻の影響を踏まえ、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費(冒頭の図では緑色)が設けられ、2022年度には1兆円計上された。2023年度当初予算でも1兆円計上されている。

予備費は、予め国会で議決を経るものの、その使途は内閣が事後的に決めることができる。とはいえ、できるだけ予め使途を定めてから国会の議決を経るようにはしているから、予備費の金額は多くならないように計上するものだ。

それでも、前述の通り4年度連続で兆円単位の予備費を計上しているのは、なぜなのか。

2020年度は、コロナ禍初年度で予見が難しいという事情はあったが、当時の安倍晋三内閣が(補正予算を審議・可決するために必要な)臨時国会を開きたくなかったことから、補正予算を組まなくても必要な経費を支出できるように(忖度)した、とされる。

しかし、現在は岸田文雄内閣である。岸田内閣として、臨時国会を開会したくない特別な理由は見当たらない。

わざわざ前もって予備費を巨額にしなくても、予算が足りなくなったら、その都度臨時国会を開いて、補正予算を組んでそれを諮ればよい話である。もちろん、5回も6回も開くほどにする必要はないが、ある程度まとまったところで補正予算を組んで不足を補うということは許されている。

ところが、今までのところ、そうはなっていない。なぜ予備費を巨額にして、臨時国会を開いて補正予算を審議・可決するということをしないのか。それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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