コロナ禍、株価下落でも「出せば売れる」都心高額マンション。その理由には意外なものも
東京都心部の高額マンションが売れ続けている。
不動産経済研究所が今年2月に発表した「全国 新築分譲マンション市場動向 2021年」でも、そのことが明らかにされていた。
昨年、首都圏では前年比23.5パーセント増の3万3636戸の新築マンションが発売されたが、特に多かったのが東京23区内。23区内だけで1万3290戸が発売され、前年比21.8パーセントの増加だった。しかも、平均価格は8293万円で、前年比7.5パーセントの上昇だ。
これに比べると、東京都下で発売された新築マンションの平均価格は前年比7.3パーセントの下落、神奈川県では同3.1パーセントの下落だった。
つまり、昨年の新築分譲マンションは、23区内でひときわ戸数が増加。値段も上がったのに、よく売れたのである。結果、首都圏全体の新築マンション平均価格がバブル超えした、という状況も生みだした。「バブル期を超える価格水準と言われるが、郊外の新築マンションはそんなに高くない」と首をかしげる状況が生じたのには、そんな理由もあったわけだ。
物件数が増え、価格が上昇した23区内。そのなかでも、特に売れ行きがよい、とされるのが、JR山手線内側の純都心部。不動産関係者の間では、「都心なら、出せば売れる」といわれるほど売れ行きがよい。
じつは、これ、従来にはない動きだ。
というのも、都心の高額物件は株価や景気の動きに敏感に反応し、「株価が下がれば、売れ行きが落ちる」のが普通であったから。今回、終わりがみえないコロナ禍で不況感が広がり、株価も下がっていた。普通なら、新築高額マンションの売れ行きも落ちていいはずなのだが、売れ行きは逆に上がった。
その理由として挙げられるのは、「一方で円安が進み、物価上昇で世界的にインフレが進んでいる」ということだ。
円安で外国人の購入意欲が増した。そして、インフレに強いのは金と不動産なので、インフレの進行に合わせて不動産のなかでも希少価値が高い都心マンションの購入者が増えた、というわけだ。
それら経済的要因とは別に、もうひとつ、「だから、高額マンションの売れ行きが上がったのか」と納得できる理由があった。
コロナ禍で生じた新しい出来事が、都心高額マンションの販売に強い追い風になった……この動きについて解説したい。
コロナ禍が高額マンションに追い風?
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