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【NHLアウォード】44年目で初めてMVPが誕生したチーム! でも今季の主役はやっぱり「あのチーム」

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHLアウォード(Courtesy:@usahockey)

 今季の各賞の発表と表彰を行うNHLアウォードが、昨夜(現地時間)ラスベガスのハードロックホテル&カジノで開催されました。

▼今季のMVPは!?

 最も注目されたハート トロフィー(レギュラーシーズンMVP)に選ばれたのは、ニュージャージー デビルス の テイラー・ホール(26歳・FW)

 エドモントン オイラーズから移籍して2季目となるホールは、自己最多の93ポイント(39ゴール54アシスト)をマークして、6季ぶりのプレーオフ進出の原動力に! 

 とはいえ、個人タイトルを勝ち取ったわけではないため「文句なしのMVP!」とは言い難く、メディアが1位~5位まで選出し、順位ごとの得票数に応じてポイントを累計して決める”ハート トロフィー レース”は大混戦。

 

 しかし、ホールを1位に推す票が、2番目に多いポイントを得たネイサン・マッキノン(22歳・コロラド アバランチFW)よりも12票多かったこともあり、ハート トロフィーを受賞。

 これまでに3度もスタンレーカップを勝ち取ったニュージャージーの選手では、史上初めてのハート トロフィー受賞となりました。

▼ベストDFはスウェーデン人! ベストGKはフィンランド人!

 その他の主な賞では、ノリス トロフィー(最優秀DF)には、滞氷時(氷上でプレーをしている時)の得失点差が「プラス30」を記録したビクトル・ヘドマン(27歳・タンパベイ ライトニング)が選出。

 ヘドマンは、ニクラス・リドストローム(元デトロイト レッドウィングス)、エリック・カールソン(オタワ セネターズ)に続き、スウェーデン人では史上3人目のノリス トロフィー獲得となりましたです。

 一方、ベジナ トロフィー(最優秀GK)は、ナッシュビル プレデターズが、プレジデンツ トロフィー(レギュラーシーズン最高成績チーム)を初めて獲得した立役者の ペカ・リネ(35歳)が受賞。

 こちらはトゥッカ・ラスク(31歳・ボストン ブルーインズ)以来、4季ぶりにフィンランド人GKが選ばれ、守りの要となるポジションは、どちらも北欧出身の選手が選ばれました。

▼1997年に生まれた二人のFW

 昨季のアウォードではハート トロフィーを手にして ”主役” だったコナー・マクデイビッド(FW・21歳・エドモントン オイラーズ)は、テッド・リンジー アウォード(NHL選手会が選ぶMVP)を受賞。

 また、レギュラーシーズン全82試合に出場して、試合数を上回る85ポイント(22ゴール63アシスト)をマークしたマシュー・バーザル(FW・21歳・ニューヨーク アイランダーズ)は、カルダー トロフィー(最優秀新人賞)に選ばれました。

 なかでもバーザルには、メディアが投じた有効得票「164票」のうち、1位に推す票が「160票」も投じられ、文句なしの新人王に!(1位から5位までの投票をポイント化して、合計ポイントが最も多かった選手が受賞者となります)

 デビューの年こそ異なりますが、ともに「1997年」に生まれたマクデイビッドとバーザルには、これからリーグをけん引する活躍が期待されます。

▼ベガスに始まってベガスで終わる

 会場を最も沸かせたのが、スポーツマンシップやプレー以外も含めた紳士的な振る舞いなどを評価する「レディビング トロフィー」の発表。というのも、地元のベガス ゴールデンナイツでプレーする ウィリアム・カールソン(FW・25歳)が受賞したからです!

 レディビング トロフィーは、昨季までレギュラーシーズンでのペナルティが少なかった選手が受賞し続けてきました。

 しかし、今季は1試合だけ欠場したとはいえ、レギュラーシーズンを通じて、ペナルティが「1つ(反則退場時間2分)」だけだったライアン・オライリー(バッファロー セイバーズFW・27歳)ではなく、カールソンの手に!

 カールソンのみならず、最優秀GM(ジェネラルマネージャー)に輝いたジョージ・マクフィー(59歳)をはじめ、ジャック・アダムス アウォード(最優秀ヘッドコーチ)には ジェラルド・ギャラント(54歳)。

 さらに、マーク・メシエ リーダーシップ アウォード(リーダーシップが際立った選手)はデリク・エングランド(DF・36歳)が受賞!

 新生・ベガスゴールデンナイツ誕生!に始まった今季のNHLは、スタンレーカップ ファイナルでこそ敗れてしまったものの、アウォードでもベガスのメンバーが主役となり、「ベガスに始まってベガスで終わる」シーズンとなったようです。

▼ベガスよりも注目を集めたチーム!!

 ところが、ベガスにも増して、多くの注目を集めたチームがありました。 

 そのチームとは、、、ハンボルト ブロンコスです!

 既に当サイトでも紹介してきましたが、4月6日(現地時間)に起こった衝突事故により選手たちを乗せたバスが被害に遭い、女性トレーナーを含む16人が死亡。

 しかし、ハンボルトは、新たな選手を加えて今秋から始まる予定の来季のリーグ戦にも、参戦する意向を表明。

 その意向を受け、NHLとNHL選手会などが、ハンボルトの選手と、亡くなったダーシ―・ハーガン コーチ夫人のクリスティーナをラスベガスに招待したのです。

▼スタンレーカップを勝ち取った選手も支援に!

 ハンボルトへの支援は、これだけに終わらず、今季のチャンピオンに輝いた ワシントン キャピタルズの チャンドラー・スティーブンソン(24歳・FW)は、「優勝メンバーは24時間スタンレーカップを独占できる」というNHLの特権を、ハンボルトの人たちのために利用すると公言。

 8月24日に故郷のサスカトゥーン(カナダ・サスカチュワン州)から、東に100キロあまり離れたハンボルトへ出向き、市民の人たちにスタンレーカップを目の当たりにしてもらうイベントを実施するプランを明かしました!

スタンレーカップをハンボルトへ! チャンドラー・スティーブンソン(Courtesy:@sportingnewsca)
スタンレーカップをハンボルトへ! チャンドラー・スティーブンソン(Courtesy:@sportingnewsca)

 事故から2か月半が経ちますが、NHLを筆頭に北米ホッケー界からハンボルトへの力強いサポートは、今も尚、続いています。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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