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たった15分坂道を下りれば、そこは渓谷の秘湯!歩かないと行けないからこその満足度「大平温泉 滝見屋」

泉よしか女子目線温泉ライター

温泉ライターの泉よしかです。

歩かないと行かれない山の温泉は、歩けるうちにしか行かれません。コロナ禍を体験してから、いつでも行かれると思わずに、行ける時に行っておこうと考え方が変わりました。

今回ご紹介する「大平温泉 滝見屋」は、歩かないと行かれない系の温泉の中では初心者向けと思われます。なぜなら駐車場から宿までの徒歩時間は下り道約15分ほどと公式サイトに記載されているからです。

ですがその15分は思ったほど簡単ではありませんでした。まずはそのアクセスから紹介したいと思います。

米沢の秘湯「大平温泉」へのアクセス

終点駐車場までの車道も、一部未舗装で狭い悪路。
終点駐車場までの車道も、一部未舗装で狭い悪路。

大平温泉 滝見屋」へのアクセスは、車で米沢八幡原I.Cから約20キロの終点駐車場まで行き、そこから徒歩約15分坂道を下りる、または宿泊者限定の送迎車で米沢駅あるいは麓の滝見屋案内所から終点駐車場まで乗せてもらい、それからやはり徒歩約15分坂道を下りるかのいずれかです。

どちらにせよ、最後は歩かなくては着きません。

終点駐車場、この先は徒歩です。
終点駐車場、この先は徒歩です。

駐車場にで車を降りた時は、徒歩15分でずっと下り坂なら楽勝だと思っていました。しかし、その坂道は想像していたよりかなり急なつづら折り。特に角を曲がるごとに斜度が増していくような錯覚もあり、下りきるころにはもうへとへと。

画像ではこの坂道の厳しさがあまり伝わらないかもしれません。
画像ではこの坂道の厳しさがあまり伝わらないかもしれません。

とはいっても、簡易舗装された道なので、登山靴のような装備はいりません。踵の固定できないサンダルや踵の高い靴は避けるべきですが、履きなれたスニーカーなどで十分歩けます。

ようやく「滝見屋」の赤い屋根が見えてきました。あともう少しです。

最後は最上川に架かる吊り橋を渡れば到着。ここは松尾芭蕉が「五月雨をあつめて早し最上川」と詠んだあの最上川の、源流の畔に建つ秘湯の一軒宿なのです。

「滝見屋」の館内、客室など

駐車場から降りてくる坂道の途中で、私のauの電波は繋がらなくなってしまったので、滞在中はデジタルデトックス状態でした。

滝見屋」にはWi-Fiはありません。ですが、だからこそ今の時代に珍しい電波なしの環境が楽しめるのです。若女将に伺ったお話では、特に若い方がここに来ると、そのことを新鮮に感じる方が意外に多いそう。

秘湯ですが、綺麗なお部屋です。でも窓の外を見ると…

真下が露天風呂で笑ってしまいました。これは開放感がありすぎ!

滝見屋の露天風呂めぐり

電波が通じない秘境の宿に泊まっているのですから、ひたすら温泉を楽しむことにいたしましょう。

滝見屋」のお風呂は、館内に男女別の浴室が一つずつ、屋外に男女別の露天風呂が一つずつ、さらに貸切露天風呂が2つの、計6ヶ所。男女別に考えると、それぞれ4ヶ所ずつ入れます。

ちなみに本当に偶然であり例外的なのですが、筆者が泊まった日は滅多にない宿泊客が全員女性だった日で、そのため男湯を含む全てのお風呂に自由に入れる状況だったため、幸いにも全浴槽を体験することができました。これは(丸ごと貸切プランを除き)狙ってできるわけではない特別な状況です。

男湯露天風呂

4つの露天風呂は全て川沿いにありますが、中でも一番下流にあり広々としているのが男湯露天風呂。先ほど部屋から真下に見えたお風呂です。

噴水のようにお湯を出しているところもワイルド。川の方へ歩み寄れば、渓流を泳いでいるお魚が見えそうなほどのロケーションです。

大平温泉の泉質はカルシウム―硫酸塩温泉。ほぼ透明ですが白い湯の花があり、ほんのりとゆで卵のような温泉らしいにおいがします。

女湯露天風呂

男湯よりは少し小さく、客室から見えないように塀や屋根で囲まれていますが、女湯露天風呂から見る川の流れも男湯と遜色ありません。

貸切風呂1「自然まるごと風呂」

ご夫婦やお友達同士で貸切でお風呂に入りたいという時も心配いりません。貸切風呂は2つもあり、空いていれば自由に使えます。まずチェックインしたら貸切風呂予約表の希望時間に泊まるお部屋名を書き込むと良いでしょう。

こちらは女湯の隣にある貸切風呂1「自然まるごと風呂」。貸切として使うには広すぎるほど。もちろん川もよく見えます。

貸切風呂2「仙境の湯」

そして個人的なオススメは最後の貸切風呂2「仙境の湯」。これまで紹介した3つのお風呂と比べると、ここだけちょっと雰囲気が違うかも。

場所も一番上流側にあり、コンクリの塀を回るようにして向かいます。

左側を流れるのは男湯女湯露天風呂からも間近に見えた最上川の源流、右側からは小さな支流が流れ込んでいます。ちょうどそこに突き出して、川の上に浮かんでいる気分で入れるのが「仙境の湯」。

この時は湯量が絞られていたのでほかのお風呂よりぬるく、その分一番ゆったりと入れましたが、実は一番源泉に近い位置にあるのもこちらの「仙境の湯」。湯量を増やすとすぐに熱くなってしまうのだそうです。

「滝見屋」の夕食・朝食

歩かないと行かれない秘湯という不便な立地ですが、食事も非常に満足がいくものでした。

山菜、川魚など山の幸が中心で非常に洗練されています。お鍋は山菜とキノコたっぷり、お米ははえぬき。

純米吟醸 香梅 鬼辛+20と純米吟醸 雅山流 朝顔
純米吟醸 香梅 鬼辛+20と純米吟醸 雅山流 朝顔

女将セレクトの地酒を合わせて。

朝食
朝食

朝食は塩鮭、おかひじき、温泉卵、サラダなど。最後にコーヒーがいただけます。

滝見屋の名前の由来、火焔の滝はどこから見える?

さて、宿の名前は「滝見屋」ですが、滝はどこにあり、どう見えるのでしょう?

男湯の内湯から火焔の滝が見える

滝見屋の名前の由来になった滝は火焔の滝(かえんのたき、ひのほえのたき、火焔滝ともいう)。実は男湯の内湯から見えるのです。

といっても、窓からドーンと正面に見えるというわけではなく…

男湯内湯から見る火焔の滝
男湯内湯から見る火焔の滝

角度を考えて見上げなくてはなりません。意外と遠い。そして高い位置です。

お風呂以外からも見える火焔の滝

右側の椅子に座って窓から外を見上げると、ちょうど滝が見えます。
右側の椅子に座って窓から外を見上げると、ちょうど滝が見えます。

内湯のデザインは男湯も女湯もほぼ左右対称ですが、女湯内湯からは滝は見えません。それじゃ女性はどこから滝を見られるかというと、浴室近くの小さな読書スペースから見ることができます。

見える角度や大きさは、ほぼ男湯内湯の窓からと変わりません。なお、昔はここまで木が生い茂っておらず、宿の場所からもっと火焔の滝がよく見えたことから「滝見屋」と名付けられたそうです。

火焔の滝をもっとよく見る

川沿いに20分ほど登っていくと、火焔の滝の近くまで行かれるそうですが、装備も技術も自信の無かった私はそれは諦めて、梯子を上って少し高い位置から滝が見えるスポットをお宿の方に案内してもらって行ってみました。

なるほど館内から見るよりも下の方まで滝が見えます。実はかなり大きな滝だったんですね。

紅葉の季節ならさらに色鮮やかな景色が見られそうです。トレッキングの心得のある方は、ぜひ滝の近くまで行ってみてください。

帰りの登り坂は荷物だけ運んでもらう手も

最後に、帰る時は行きに下ってきた急坂を今度は登らなくてはなりません。送迎はお願いしていませんでしたが、荷物だけ麓の「大平温泉 滝見屋案内所」に運んでもらうこともできると伺い、お願いすることにしました。
おかげさまで身軽なスタイルで坂を上ることができました。

大平温泉 滝見屋」は歩かないと行かれない秘湯です。そして4月下旬から11月初旬までの半年間しか営業していない秘境の一軒宿です。不便さを楽しむ非日常のスポットとして最高ですよ。

大平温泉 滝見屋
住所:山形県米沢市李山12127
電話:0238-38-3360
※電話は旅館ではなく滝見屋案内所直通です。アクセスを調べる場合、カーナビには電話番号ではなく住所を入力ください。またGoogleマップは「大平温泉 滝見屋 駐車場」を検索ください
日帰り入浴営業時間:9:30~15:30
日帰り入浴料:大人1000円、小人500円(別料金でお部屋くつろぎプラン、昼食オプションなどもあり)
公式サイトURL:大平温泉 滝見屋(外部リンク)

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女子目線温泉ライター

温泉&旅行情報ライター。有名温泉から穴場の温泉まで、秘湯、旅館、ホテル、共同浴場、スーパー銭湯や絶景温泉など日本全国、思わず行ってみたくなる温泉やオトクな旅行情報を発信します。取材のご依頼は、公式サイト「子連れ温泉ガイド」メールフォームかSNSのメッセンジャーからご連絡ください。 温泉ソムリエマスター/温泉観光実践士/サウナ スパ健康アドバイザー/温泉ビューティー&ダイエットソムリエ

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