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早いほど入浴料が高い!ヒンヤリぬるいお風呂ほど人気!磐梯熱海駅前の共同湯「霊泉」元湯のその理由とは

泉よしか女子目線温泉ライター

温泉ライターの泉よしかです。

福島県の磐梯熱海温泉に、「霊泉」元湯という共同浴場があります。

地元の人が足しげく通い、夕方からは特に賑わうこちらは、何故か入浴料金が受付時間によって異なり、しかも朝が一番高く、午後2時、午後4時と2段階に渡ってだんだん安くなります。

また熱い湯舟とヒンヤリするほどぬるい湯舟があり、ぬるい方が圧倒的に人気。

そんな「霊泉」元湯を訪ねてみました。

磐梯熱海温泉と萩姫の伝説

磐梯熱海駅前のようす
磐梯熱海駅前のようす

福島県の磐梯熱海温泉の開湯はおよそ800年以上昔。

後醍醐天皇の側近であった万里小路 藤房の一人娘、萩姫が病に倒れ、侍女の雪枝に元に不動明王のお告げがあったと伝わります。内容は、東北へ向けて500本目の川岸に霊泉があるというもの。萩姫はお告げに従い磐梯熱海温泉を訪れ、みごと霊泉で回復しました。

そして今も磐梯熱海駅前には、「霊泉」の名を持つ共同湯があります。今回ご紹介するのはこちらの「霊泉」元湯です。

磐梯熱海駅から徒歩1~2分、えっまさか廃墟?

通りに面した旧湯元元湯旅館
通りに面した旧湯元元湯旅館

地図を確認しながら駅前広場から通りを左に進むと、すぐ左手にボロボロの建物。玄関のひさしに「元湯」の文字。もしかしてこれが「霊泉」元湯!?

えっ、まさかと思ってしげしげと眺めていると、向かいの建物の前に立っていた地元の人が「違う違う」とジェスチャーします。見るからに観光客である私が「霊泉」元湯を探していることが分かったのでしょう。その建物ではなく、角を曲がって細い路地に入るよう教えてくれました。

路地の左側がさきほど廃墟かと思った建物。右が共同湯「霊泉」元湯。
路地の左側がさきほど廃墟かと思った建物。右が共同湯「霊泉」元湯。

はたして角を曲がると路地の先、右手奥に「浴場入口」の文字。こちらが探していた共同湯の方の「霊泉」元湯でした。

「霊泉」元湯は大正7年に地元住民19名が創立した「熱海温泉合資会社」が運営しています。私が廃墟かとびっくりした建物は昔の湯元元湯旅館で、当時は宿泊もできましたが、今は日帰りの共同湯のみの営業となっています。

朝風呂が一番高く、だんだん入浴料が下がっていく

さて、「霊泉」元湯の入浴料は時間によって異なります。

  • 午前6時から 大人600円
  • 午後2時から 大人400円
  • 午後4時から 大人300円

なんと3パターンもあり、しかも朝ほど金額が高く、夕方の倍も掛かります。

スーパー銭湯などでは朝風呂のみ割引料金になったり、夜の閉館前に割引料金になったり、あるいは深夜割増料金が掛かるところもありますが、徐々に金額が下がるこのパターンはかなり珍しい。

受付でなぜ1日のうちでだんだん入浴料が安くなっていくのか聞いてみると、
「そりゃ朝ほどお湯が綺麗だからだよ」とのこと!

なるほど、清掃して張り立てのお湯に入れるからこそ価格が高いんですね。

ちなみに日常的に使う人ほど安い時間帯に来ることが多いので、当然夕方4時からが一番混みます。私もこの時間帯に入りに行ったのですが、地元の人たちでとてもにぎわっていました。

朝6時から午後2時まではお湯が綺麗なだけでなく、割高なぶん空いている可能性も高い。このことにメリットを感じるなら倍の入浴料も惜しくないかもしれません。

何もかもがレトロで古い映画のセットのよう

この「入口←」の文字も昭和感があって良い!
この「入口←」の文字も昭和感があって良い!

さて受付で入浴料を支払ったら、さっそく浴室へ。

まるでレトロな映画のセットの中にいるようで、何もかも絵になります。

レトロだけど現役!そこがまたたまりません。

熱いお風呂とぬるいお風呂

浴室の画像は全て、翌朝の営業時間前にお願いして撮影させていただいています
浴室の画像は全て、翌朝の営業時間前にお願いして撮影させていただいています

お風呂は男湯も女湯も内風呂のみ。それぞれに温度の違う温泉が入っています。

左が熱い浴槽、右がぬるい浴槽
左が熱い浴槽、右がぬるい浴槽

お風呂の写真は翌朝の営業時間前に撮影させてもらったので無人ですが、実際に入浴した時には地元の人でいっぱいでした。お子さん連れから年配の人まで年齢層もさまざま。

ざっと体を洗って中央の大きい浴槽に足を入れたら、あれっ、冷たい!?

冷たいというのは言い過ぎですが、体感温度で30度前後というようなぬるさに最初はびっくりしてしまいました。しかし、このぬるい浴槽の方が人気なのです。みんな寒くないのかしらと不思議に思うほど。

次に壁側のもう一つの浴槽に入ってみると、こちらはかなり熱め。ぬるい方から移動してくるとジンジンとしびれるような熱さに感じます。

ぬるい浴槽の湯口の一つ
ぬるい浴槽の湯口の一つ

温度差にびっくりしている私に地元の人たちが、「霊泉」元湯は源泉3本を使っているからね、ぬるい方にゆっくり入って寒くなったら熱い方に入るんだよと教えてくれます。特にぬるい方が自家源泉で、昔から名湯と伝わっているのだとか。どうりでぬるい方が人気があるわけです。

ぬるい浴槽の手前から、飲泉可能な一番ぬるい湯口、温度計に繋がっていたけれどもう壊れている金属棒、泡いっぱいの二番目の湯口、一番奥は熱い浴槽と繋がっている湯口
ぬるい浴槽の手前から、飲泉可能な一番ぬるい湯口、温度計に繋がっていたけれどもう壊れている金属棒、泡いっぱいの二番目の湯口、一番奥は熱い浴槽と繋がっている湯口

実は「霊泉」元湯では、すぐ隣から汲み上げている元湯源泉、少し離れた湯泉神社の源泉、そして磐梯熱海の他の旅館などでも使われている市営の熱い共通源泉の3本を使っています。

壁側の小さい浴槽は熱い市営源泉のみ、中央のぬるい浴槽は3本が全部入っています。さらに大きい浴槽は3本の源泉をそれぞれ異なる湯口から注いでいるので、別々に触れて違いを楽しむこともできるのですね。

カランからも元湯源泉
カランからも元湯源泉

ちなみにぬるい浴槽でも入る位置によってかなりお湯の温度が違いました。最初に入った位置はヒンヤリするほどぬるかったのでびっくりしましたが、熱い浴槽と繋がっているパイプの側に入ると、かなり温かめです。

そしてもちろん源泉掛け流し。贅沢にザバザバと浴槽の縁を乗り越えて気持ちよくお湯があふれていきます。ふだん遣いのお風呂として最高ですね。

男湯はタイルの色が違う
男湯はタイルの色が違う

私が利用したのは女湯の方ですが、男湯も浴室の作りは同じです。女湯とは左右対称で、タイルの色などが異なります。

いつまでも続いてほしい磐梯熱海温泉の名湯

共同湯「霊泉」元湯のすぐ隣で汲み上げられている元湯源泉
共同湯「霊泉」元湯のすぐ隣で汲み上げられている元湯源泉

受付の方や、あれこれと世話を焼いてくれた地元の方たちがとても温かい共同浴場でした。駅前なので公共交通機関でのアクセスも容易。時間が止まったようなこの温泉でぬるい名湯をじっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。

磐梯熱海温泉 共同湯「霊泉」元湯
住所:福島県郡山市熱海町熱海4−22
電話:024-984-2690
営業時間:6:00~20:00(受付終了19:30)
入浴料(子供は大人の半額):
6:00~大人600円、14:00~大人400円、16:00~20:00大人300円
大広間利用の場合8:00~16:00 大人:1,100円
公式サイトURL:磐梯熱海温泉 共同湯「霊泉」元湯(外部リンク)

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女子目線温泉ライター

温泉&旅行情報ライター。有名温泉から穴場の温泉まで、秘湯、旅館、ホテル、共同浴場、スーパー銭湯や絶景温泉など日本全国、思わず行ってみたくなる温泉やオトクな旅行情報を発信します。取材のご依頼は、公式サイト「子連れ温泉ガイド」メールフォームかSNSのメッセンジャーからご連絡ください。 温泉ソムリエマスター/温泉観光実践士/サウナ スパ健康アドバイザー/温泉ビューティー&ダイエットソムリエ

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