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エンジェルスにいた先発投手は、4人ともすでに来シーズンの球団が決まっている

宇根夏樹ベースボール・ライター
ディラン・バンディ Aug 17, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ロサンゼルス・エンジェルスで二桁の先発登板を記録した投手は、9人を数えた。そのうち、大谷翔平をはじめとする5人は、現在もエンジェルスに在籍している。一方、あとの4人は、揃ってFA市場に出た。アンドルー・ヒーニーホゼ・キンターナは、夏に他球団へ移籍し、そこからFAに。ディラン・バンディアレックス・カッブは、エンジェルスからFAになった。

 彼らはいずれも、すでに新たな球団から契約を得ている。カッブはサンフランシスコ・ジャイアンツと2年2000万ドル、ヒーニーはロサンゼルス・ドジャースと1年850万ドル、バンディはミネソタ・ツインズと1年500万ドル、キンターナはピッツバーグ・パイレーツと1年200万ドルの契約を交わした。

筆者作成
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 今シーズンと来シーズンの年俸を比べると、カッブは1500万ドル→900万ドル、ヒーニーは675万ドル→850万ドル、バンディは832万5000ドル→400万ドル、キンターナは800万ドル→200万ドルだ(1年契約であっても、総額の表記はオプションの解約金などを含んでいるため、必ずしも年俸とは一致しない)。ヒーニーだけはアップだが、他の3人はダウンする。

 とはいえ、どれも、選手から見てそう悪い契約ではない気がする。34歳で故障も少なくないカッブは、1年契約しか得られなくてもおかしくなかったし、来年1月に33歳となるキンターナは、今シーズンの出来からすると、マイナーリーグ契約もあり得た。

 バンディの場合、金額は微妙なところだが、まだ20代なので、2022年のオフか2023年のオフに再びFAとなっても――後者は2022年のオフに1100万ドルの球団オプションを行使された場合――その前に結果を残していれば、年平均1000万ドル以上の複数年契約を手にすることができるはずだ。2020年は11先発で65.2イニングを投げ、奪三振率9.87と与四球率2.33、防御率3.29を記録している。

 今オフは、ローテーション入りの可能性を優先したのではないだろうか。ツインズは、夏にホゼ・ベリオスJ.A.ハップを放出。前田健太はトミー・ジョン手術を受け、マイケル・ピネイダはFAになった。現時点におけるローテーションの候補は、バンディを除くと、実績の乏しい投手ばかりだ。ロックアウト後に先発投手が加わっても、バンディが弾き出されることはまずない。

 発表されているスケジュールに変更がなく、彼らがシーズン中に移籍しなければ、ヒーニーとバンディは、エンジェルスを相手に投げるかもしれない。ドジャースは6月14日~15日と7月15日~16日、ツインズは8月12日~14日と9月23日~25日に、エンジェルスと対戦する。

 なお、ヒーニー、キンターナ、カッブについては、それぞれ、こちらで書いた。

「エンジェルスとヤンキースで6点近い防御率の左腕が、今年の年俸より高い1年850万ドルの契約を得る」

「エンジェルスでは10先発で防御率8点台の投手を、この球団はローテーションに迎え入れる。その意図は!?」

「4人の先発投手がFAになったが、早くもローテーションの4枠は埋まりそう」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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