Yahoo!ニュース

単打、二塁打、三塁打、本塁打の球団記録。東京ヤクルトと阪神はすべて違う選手、オリックスは3種類が同じ

宇根夏樹ベースボール・ライター
福本豊 1977(写真:岡沢克郎/アフロ)

 福本豊は、1969年から1988年まで阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)でプレーし、1065盗塁(と299盗塁刺)と115三塁打の日本プロ野球記録を打ち立てた。

 他にも、福本はオリックスの球団記録をいくつも持っている。2543安打もそうだが、その内訳を見ても、1771単打、449二塁打、115三塁打、208本塁打のヒット4種類のうち、球団記録でないのは本塁打だけだ。オリックスでは、338本塁打の長池徳士が最も多い。福本と長池は、チームメイトとして10年以上を過ごした。

 4種類のヒット中、3種類の球団記録を持つ選手は、福本以外にいない。例えば、福岡ソフトバンクホークスは、2人が2種類ずつ。単打と本塁打は野村克也、二塁打と三塁打は広瀬叔功が最多だ。読売ジャイアンツと横浜DeNAベイスターズでも、川上哲治王貞治石井琢朗松原誠が、ヒット4種類の球団記録をそれぞれ分け合っている。こちらは、川上と石井が単打と三塁打、王と松原は二塁打と本塁打だ。

筆者作成
筆者作成

 また、東京ヤクルトスワローズと阪神タイガースでは、ヒット4種類の球団記録を持つ選手が、いずれも違う。東京ヤクルトの最多は、単打が宮本慎也、二塁打が古田敦也、三塁打が若松勉、本塁打は池山隆寛。阪神は、鳥谷敬(現・千葉ロッテマリーンズ)、藤田平金田正泰掛布雅之だ。

 ちなみに、鳥谷の348二塁打は、阪神では藤田の355二塁打に次ぐ。その差は7本。2004年の一軍デビューから2018年まで、鳥谷のシーズン二塁打は15年続けて二桁に達していたが、昨シーズンは出場74試合で3本にとどまった。

 かつての川上や若松のように、ヒット4種類の球団記録を独占する選手は、もう現れないかもしれない。

 埼玉西武ライオンズで単打と二塁打の球団記録を持つ栗山巧は、三塁打が29本、本塁打は101本だ。三塁打の球団記録は秋山翔吾(現シンシナティ・レッズ)の58本なので、栗山はその半数。中村剛也の415本塁打とは300本以上の差がある上、栗山だけでなく中村も、埼玉西武に在籍する現役選手だ。一方、中村の二塁打は栗山と48本差、単打は608本差。この両方で栗山を上回ったとしても――その可能性は高くないが――三塁打は秋山に追いつけそうにない。中村の三塁打は13本。秋山の4分の1にも満たない。

 東北楽天ゴールデンイーグルスの銀次も、栗山と同様だ。三塁打は鉄平より28本少なく、191本塁打の山崎武司(崎の右上は大ではなく立)と並ぶには、あと163本のホームランを必要とする。

 ただ、東北楽天の球史は、まだ20年未満。ヒット4種類(とその合計である安打)の球団記録は、どの本数も12球団のなかで最も少ない。現役選手のうち、福留孝介(阪神)が中日ドラゴンズと阪神の2球団で積み上げた、1173単打、394二塁打、50三塁打、280本塁打は、いずれも東北楽天の球団記録よりも多い。しかも、中日と阪神の間に、福留は5年間のメジャーリーグ時代を挟んでいる。

 極めて稀有とはいえ、福留のような選手が東北楽天に現れ、そして、移籍することなくプレーし続ければ、ヒット4種類の球団記録を独占してもおかしくはない。

 それぞれの球団記録については、こちら。

[野手編]

シーズン本塁打の球団記録。半世紀以上前に、野村と王が打ち立てた記録は今もなお最多

ヒットの球団記録。昨年、埼玉西武の通算記録を塗り替えた、栗山巧に続く選手は現れるのか

二塁打の球団記録。本塁打も二塁打も球団最多は、読売の王とあと1人…

通算盗塁の球団記録を塗り替えるのは誰? 最短距離にいるのは東京ヤクルトの青木と山田だが…

[投手編]

通算勝利の球団記録は、東北楽天を除く11球団がアンタッチャブル!?

勝利と奪三振の球団記録は「どちらも同じ投手」と「それぞれ違う投手」が6球団ずつ

通算セーブの「球団記録」を持つ現役投手は4人いるが、その記録をさらに伸ばすのは…

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事