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通算盗塁の球団記録を塗り替えるのは誰? 最短距離にいるのは東京ヤクルトの青木と山田だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
山田哲人/左はイアン・キンズラー MARCH 21, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2018年を最後に、荒木雅博松井稼頭央聖澤諒の3人が引退し、通算盗塁の球団記録を持つ現役選手は、一人もいなくなった。同じく、シーズン盗塁の球団記録を保持する現役選手も姿を消した。

 現役選手のなかで、通算盗塁の球団記録に最も近いのは、東京ヤクルトスワローズの青木宣親山田哲人だ。どちらも168盗塁。東京ヤクルトの球団記録、飯田哲也の230盗塁まで、あと62盗塁に迫っている。

筆者作成
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 2人のうち、青木は届きそうにない。メジャーリーグから東京ヤクルトへ復帰後は、2シーズンで計4盗塁だ。それに対し、山田は過去2シーズンとも33盗塁ずつ。このペースでいけば、来シーズン中に飯田を上回る。

 ただ、こちらも確実ではない。今シーズン、山田は国内FA権を取得する見込みだ。来シーズンは、違う球団でプレーしているかもしれない。ポスティング・システムを利用し、メジャーリーグへ行くことも――この場合は1年延期となったオリンピックに出場できなくなるが――考えられる。

 そうなると、数年後に東京ヤクルトへ戻ってきたとしても、青木と同じように、その時には走れる選手ではなくなっている可能性が高い。松井もそうだった。埼玉西武ライオンズの球団記録である307盗塁中、306盗塁は1995~2003年の西武時代。15年ぶりに球団へ復帰した2018年は、出場も30試合と少なく、盗塁を決めたのは1度だった。

 東京ヤクルト以外では、東北楽天と埼玉西武、北海道日本ハムファイターズの3球団に、球団記録まであと120盗塁未満の現役選手がいる。現時点で、それぞれの選手が球団記録を更新するかどうかを予想すると、東北楽天の渡辺直人は×、埼玉西武の金子侑司は○、北海道日本ハムの西川遥輝は△だろう。

 渡辺は青木と同様だ。埼玉西武にいた2017年を含め、過去3シーズンとも盗塁がない。西川は山田と同じく、今シーズン、国内FA権を取得する。一方、金子は今オフに4年契約を交わした。ここから毎年28盗塁を積み上げていくと、契約満了となる2023年のシーズン終了時点の通算盗塁は、松井の球団記録に並ぶ。金子のシーズン平均は27.9盗塁。過去5年は平均32.4盗塁、過去3年は平均32.7盗塁だ。

 なお、他の球団記録については、こちら。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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