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2021年に大反響だった食の事件トップ5 小林礼奈氏や中尾ミエ氏をおさえて1位となったのは……

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

コロナ禍と関係ない食の記事

昨年は、緊急事態宣言が1月8日に発出され、9月30日に全国で解除されるまで、新型コロナウイルスに翻弄された1年でした。そのため、コロナ関連のニュースが多くを占めており、私もコロナ禍における飲食店の記事をたくさん書いてきました。

2021年に大反響だった飲食店とコロナの記事トップ5 あの密告制度、東京五輪の悪影響……(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

ただ、もちろんコロナとは関係ない食の記事も書いています。新しいレストランや興味深いプロモーションの紹介、新料理長の就任や食のトレンドなどを取り上げました。

さらには、炎上して世間を騒がせた食の事件を考察した記事も書いています。2021年はどのような食の炎上事件が起きたのでしょうか。

当記事では2021年の1年間を通して反響のあった食の事件を振り返ります。

5位/AI電話サービスの是非

最初はAI電話サービスに関する記事。

画期的なAI電話予約が飲食店に迷惑をかけて大炎上? サービスを運営する社長の見解を全文公開(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

ハローが運営する「オートリザーブ(AutoReserve)」は電話予約を代行してくれる便利なサービス。アプリやインターネットから店を選び、日時や人数などを選択すると、AIが電話予約してくれます。驚くべきは、営業時間になったら自動で電話し、つながるまで架電してくれること。

しかし、飲食店から私のもとにこのサービスで迷惑を被っているというメッセージが届きました。その内容とは、AI電話予約サービスは、飲食店と提携や契約を交わしておらず、無断でサイトに掲載していること。そのため、掲載されている情報に誤りがあったり、その場合に修正できなかったり、さらには空席情報や臨時休業を反映できなかったりして、困惑しているというのです。調べてみると、同様の声を上げている飲食店も少なくありませんでした。

確かに、飲食店の立場に立ってみると批判の内容はもっともです。運営側はこのような批判をどのように捉えているのか、ハローの代表取締役社長を務める播口友紀氏から寄せられたコメント全文を掲載しました。

画期的なサービスなので応援していますが、現在でも飲食店からまだ同じような声が上っています。

4位/飲食店での振る舞い

次は有名人が端緒となった事案です。

小林礼奈氏によるラーメン店の炎上事件が鎮火!? 5つの考察と原因になった“ひずみ”(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

タレントの小林礼奈氏がラーメン店で起きたことを6月5日のブログに掲載しました。子供と一緒にラーメン店で食事していたところ、入店待ちの家族から退店が遅いと文句をいわれます。入店から30分くらいが経ち、残りの3分の1を食べているところで、店の従業員から席を立つように催促されたというのです。

Yahoo!ニュースのコメントやTwitterでは、食べている途中で自分を撮影したり、ラーメン店の実名を挙げたりしたことに対して、批判的な意見が見かけられました。

6月9日にラーメン店の社長が公式サイトへ文章を掲載。小林氏が食べている途中であると気づかずに声をかけてしまい大変申し訳なかったと謝罪し、収束に向かいました。

今回は誤解が解けてよかったですが、他に似たような事案では、YouTuberの来店禁止が挙げられます。

有名ラーメン店がYouTuberの来店を禁止! 飲食店での動画撮影は何が問題か?(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

有名ラーメン店でYouTuberの来店を禁止すると明言したことで、賛否両論がありました。記事では飲食店における動画撮影について考察しています。

3位/何も注文しない時の水の提供

3位になったのも有名人による事案。飲食店での水の提供についてです。

中尾ミエ氏が生放送で激怒した「一流ホテルなら注文なしでも水をだせ」は正しいか?(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

2021年5月7日に放送されたTOKYO MX「5時に夢中!」で、金曜レギュラーを務める歌手の中尾ミエ氏が次のように話しました。

放送前日に一流ホテルで食事し、遅れて来たマネージャーが、時間がないから何も食べないといいます。中尾氏がサービススタッフへ、マネージャーには水だけほしいと伝えたところ、何かオーダーしないと水を提供できないといわれました。一流ホテルなのに注文しないと水も飲ませないなんてと、ホテル名まで挙げて怒りをあらわにします。

この発言に対して、一部では擁護する声もありましたが、その多くは批判でした。何も注文しなくても水を提供するべきかどうか、考察したのが当記事でした。

2位/デカ盛り美談への警鐘

次はグルメ番組に関する記事です。

テレビで大人気の「激安デカ盛り美談」が飲食店に迷惑な理由(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

飲食店でデカ盛り、つまり超大盛りのメニューを安価で提供していることがあります。テレビ番組では、激安デカ盛りを飲食店の良心として美談に仕立て上げることが少なくありません。ほとんど赤字となるインパクトのある一品なので、視聴率も高いです。

これに対して飲食店コンサルタントの成田良爾氏は、激安デカ盛りは利益がでないので経営が健全ではなく、飲食業界にとってもよくないので美談にするべきではないと述べています。私も完全に同意なので、記事で理由を詳しく説明しました。

デカ盛りに関連する事案では、大食いチャレンジの事件もあります。

カツ丼1.5キロを完食できず逃走して逮捕! 飲食店が大食いチャレンジをやめるべき理由(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

デカ盛りと同じような文脈で大食いチャレンジも、飲食業界にとってはよくないことであると述べた記事でした。

1位/特注ケーキの無断キャンセル

1位となったのが、年の瀬に公開したこちらの記事。

60人分5万円の特注ケーキが無断キャンセルの悲劇! 何とか救済されるが問題も……(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース

神奈川県川崎市にある洋菓子店(パティスリー)で60人分という特大ショートケーキの注文がありました。ウェディングケーキのような大きさで、写真もプリントされた特注品。値段は48,000円もします。

しかし、引き渡し時刻になっても客は訪れず、連絡もありません。Twitterで 「助けてください」と訴えたところ、投稿から翌日の14時までに9,000リツイート。16等分に切り分けてデコレーションし直し、格安で販売したところ、無事に完売します。

食品ロスが生じず、食材や箱の代金も回収でき、最悪の事態に至らずによかったです。ただ、こういったノーショー(無断キャンセル)やドタキャン(直前キャンセル)はよく起きているので、何が問題であるか考察しました。

数年前からノーショーやドタキャンについてはよく取り上げてきましたが、まだなくなることはありません。利用者によってかなり温度差が異なっており、飲食店によってもだいぶ取り組み方が違っています。

飲食業界にとって大きな問題なので、今後も取り上げていきたい事案です。

引き続き問題の提起が必要

新型コロナウイルスの感染によって、甚大な被害を受けた飲食店の2021年。その裏ではここで紹介してきたような事案も起きていました。コロナは現在進行系の最も憂慮するべき災禍ですが、いずれは終息に向かうことでしょう。

ただ、当記事で紹介してきたものは、飲食業界や関連サービス、さらには消費者やメディアが、意識を変革したり、DX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れたり、業界のことを学んだり、地道に広めたりしていかなければ、決して解決できない難問ばかりです。

2022年も引き続き、飲食店の課題から食のあり方まで問題を提起し、少しでも飲食業界に寄与できる記事を書いていきたいと思います。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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