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眞栄田郷敦が月9を救うか 『366日』衝撃的なスタートで“名作枠”復活ののろし

武井保之ライター, 編集者
フジテレビ月9ドラマ『366日』公式サイトより

4月期のフジテレビ月9ドラマ『366日』がスタートした。かつての恋愛ドラマ名作枠の復活を思わせる丁寧な恋愛模様を描いていきながら、ラストで大きな展開があった。広瀬アリス&眞栄田郷敦という個性あふれる若き名優タッグが、月9から久々の話題作を生み出しそうだ。

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高校時代と現代の心情を丁寧に描くラブストーリー

本作は、世代を超えて愛されるHYの名曲「366日」をモチーフにしたオリジナルドラマ。かなわぬ恋を歌った切ない歌詞とサビの泣きのメロディに涙させられた楽曲のファンは多いだろう。自身の思い出とリンクしている曲であれば、よりドラマへの期待も高まっていそうだ。

その第1話は、まさにそんな名曲が心に響くようなラブストーリーが進行した。主人公は、東京で暮らす28歳の雪平明日香(広瀬アリス)。高校時代に想いを寄せていたクラスメイトの水野遥斗(眞栄田郷敦)と同窓会での再会後、大阪勤務だった遥斗が東京へ異動になり、2人の運命の歯車が動き出す。

ドラマは、高校時代の明日香の淡く切ない遥斗への思いと、告白できなかったすれ違いを丁寧に描く。同窓会での再会からも、「期待しないようにしている。そうすれば傷つかないから」という明日香と遥斗の誤解とすれ違いは続く。

しかし、「人には期待しないほうがいい。でも自分には期待していい」という遥斗の言葉から、明日香の心が動く。高校時代からずっと続いていたお互いへの気持ちがつながり、12年越しの恋が実る。

モチーフとなった曲の意味を考えさせられたラスト

その過程の描写は、高校時代と現代ともに、時間経過に沿って起こった出来事と2人の揺れ動く心情が丁寧に内容濃く映し出され、まるで2時間の映画を観ているかのような見応えがあった。

骨太な脚本と硬派な映像演出による王道ラブストーリーでの月9ブランドの復活を思わせた。しかし、ラストで一転する。そこまで描かれてきた、12年越しの2人の思いがようやくつながった幸福感が、一瞬にして壊される。見事なインパクトだった。そして同時に、モチーフとなった曲の意味を考えさせられた。

HYの「366日」は叶わぬ恋の歌だ。そのタイトルの意は、1年365日では足りないほど…会いたい、愛している、と解釈されているが、歌詞の「それでもいい それでもいいと思える恋だった」「儚い 私の願い」「もう二度と戻れなくても」といった切なく悲しい言葉からは、相手がすでにこの世にいないことも連想させる。

第1話の完成度は、月9の復活を感じさせた。この先のストーリーがどこに向かうかわからないが、気になって目が離せなくなりそうだ。月9から久々の話題作が生まれそうな予感がある。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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