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冬ドラマ見続けるべき5本 『不適切にも』『おっパン』『マエストロ』『アイのない』そして最注目は…

武井保之ライター, 編集者
NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』公式サイトより

 各局の冬ドラマが出揃い、前半戦が終わろうとするなか、この先の展開が気になる、見続けるべき5本をピックアップ。リアルな性暴力問題に踏み込んだ力作『SHUT UP』(テレビ東京系)は放送終了したので除くと、いち押しは宮藤官九郎脚本の『不適切にもほどがある!』(TBS系)。

 続いて『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(東海テレビ・フジテレビ系)、『さよならマエストロ』(TBS系)、『アイのない恋人たち』(ABC・テレビ朝日系)という順になる。

 そして、今期もっとも注目したいのは、NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2だ。自身が性的マイノリティであることに気づき、受け入れるまでを丁寧に描いたシーズン1の続編。楽しい時間を過ごすことを至上の価値にする女性たちのリアルな感情を優しくすくいあげている。

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阿部サダヲ演じる令和にタイムリープした昭和のおじさん像が秀逸

 阿部サダヲが令和にタイムリープした昭和のおじさんを演じる『不適切にもほどがある!』。脚本の宮藤官九郎は、これまでの作品でも現代に昭和ネタをちりばめてきたが、本作は昭和の社会そのものを令和の視点から描き、エンジン全開。あっという間にクドカンワールドに引き込まれる。

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 昭和のまっただなかを生きていたおじさんが、突然いまの令和社会に放り込まれたとき、そこは望んでいたような未来の社会ではなかった。ハイテンションな昭和会話劇の笑えるおもしろさと、令和と昭和の時代を対比した社会のあり方、生き方へのメッセージが心に響く。

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『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は、世間の古い常識・偏見で凝り固まった中年男が、それが通用しない現代の価値観に気づき、自分をアップデートしながら、家族や社会との関わり方を変えていく物語。

 性自認に悩んで引きこもる高校生の息子に向き合おうとするアラフィフの父親は、2回り以上歳下のゲイの友人を作り、彼らの繊細な心の内や、社会の生きづらさを理解していく。社会で声を上げにくい人たちの存在を気づかせ、現代社会における偏見おじさんの姿を客観的に見せてくれる。

『さよならマエストロ』は、ある事件で家族も音楽も失った天才指揮者が、地方のオーケストラを通して情熱を取り戻し、親娘の絆を再生していくヒューマンドラマ。ありがちな設定とストーリーだが、主人公を演じる西島秀俊がどう物語を引っ張っていくか。そのキャラクター性がカギになりそうだ。

 また、昨年7月期の『最高の教師』以来の邂逅となった芦田愛菜と當真あみによる、若手スター女優とライジングスターの苦悩と葛藤のぶつかり合いの芝居にも期待がかかる。

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『アイのない恋人たち』は、遊川和彦氏がオリジナル脚本で描く恋愛偏差値が低いワケあり男女7人が織り成す愛の物語。アプリでの出会いは危ないのか、恋愛は生産性が低いのか。結婚したい男と女と、結婚したくない男、恋愛しなくてもいい男、結婚を諦めた女、結婚に揺れる女たち、それぞれの“男女間の社会問題”を映し出す。

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日常の機微とささやかな幸せを優しくすくいあげる『つくたべ』

 そして、冬ドラマのもう1本のいち押しは、NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2。シーズン1では、料理を作ることと食べることが好きな女性2人の愛らしく心温まる日々が丁寧に繊細に描かれた。そこで主人公は、相手へ抱く感情が恋であり、自身がレズビアンであることに気づいて葛藤するが、心のままの自分でいることを受け入れる。

 その続編となるシーズン2では、新たな2人の女性登場人物が加わり、前シーズンでは触れられなかった、主人公が思いを向ける相手の気持ちや、同じマンションのそれぞれ部屋を行き来して一緒に楽しい食事をしてきた2人の生活がどう変わっていくのかが描かれる。

 性的マイノリティに限らず、誰もが共感するであろう日常の機微を社会的弱者の視点を交えながら優しくすくいあげる本作。そこで描かれる温かい生活とささやかな幸せは、年別世代を超えて支持されている。2人の幸せそうな笑顔を見守っていきたくなる。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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