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来年度防衛予算、レールガンや高出力レーザーなど最先端技術「ゲームチェンジャー」の研究費はいくら?

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
防衛装備庁は海自試験艦あすかにレールガンを搭載し、洋上射撃試験を実施(同庁動画)

政府は12月22日、7兆9496億円に及ぶ2024年度防衛予算案を閣議決定した。このうち、従来の戦闘を一変するゲームチェンジャーとして注目を集める「将来レールガン」や「高出力レーザーシステム」、「高出力マイクロ波(HPM)」など最先端技術の研究開発にも継続事業として予算を計上した。

●将来レールガンの研究に236億円

防衛装備庁は、ミサイルなど空からの脅威に対処するため、極超音速で弾丸を連射することができる将来レールガンの研究に236億円を確保した。レールガンは、特に中国や北朝鮮、ロシアが開発する極超音速兵器に対抗する次世代の切り札的な迎撃兵器として開発されている。8月末の概算要求額は238億円だった。

(関連記事:「世界初のレールガン洋上射撃試験」はやはり海自唯一の試験艦「あすか」で実施していた

●高出力レーザーシステムの研究に31億円

防衛装備庁は来年度予算で高出力レーザーシステムの研究に31億円を計上した。高出力レーザーシステムは文字通り、高出力のレーザー光を高速で動く目標標的に照射し、瞬時にダメージを与える装置だ。電源が供給される限り、撃ち続けられる「弾切れ」がないことと、迎撃にかかるのは電気代だけである低コストが大きなメリットとなっている。防衛装備庁は、高出力レーザーをドローンや迫撃砲弾の撃破のほか、将来的にはミサイルを迎撃する装備システムとして研究開発を推し進めている。8月末の概算要求額も31億円だった。

(関連記事:高出力レーザーシステムの課題と今後のロードマップとは? 防衛装備庁が明かす

●高出力マイクロ波の研究に26億円

防衛装備庁は高出力マイクロ波の研究にも26億円を確保した。高出力マイクロ波を照射して、飛来するドローンなどを無力化する技術研究を継続するとともに、部隊での機能実証を目指し、システム連接機能などを付加する予定だ。8月末の概算要求額も26億円だった。

レーザーやマイクロ波のようなエネルギーを目標に照射して破壊する「指向性エネルギー兵器」(DEW)は軍事防衛上、コスト面で大きなメリットがあるとされる。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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