シティと「偽SB」の進化形。ビッグイヤーを獲得するためのペップのプラン。
試合が終わると、マンチェスター・シティの選手たちがピッチに倒れ込んだ。
今季のチャンピオンズリーグ準々決勝で、マンチェスターシティはバイエルン・ミュンヘンと対戦した。ファーストレグで3−0の勝利を得たシティはセカンドレグでそのアドバンテージを生かし、見事に準決勝進出を決めた。
だが試合は周囲から見えていたような簡単なものではなかった。「疲労困憊だよ」とは試合後のジョゼップ・グアルディオラ監督の言葉である。
「我々はソリッドだった。自分たちのペナルティーエリアのところで、良い守備ができていた。これまでのシーズンと比べて、その点においては改善ができている。PK失敗の前に、バイエルンに何度かチャンスがあった。何が起きてもおかしくなかった。しかし、我々はうまく守った」
■10度目のベスト4
グアルディオラ監督は、指揮官として10度目のチャンピオンズリーグ・ベスト4入りを果たした。カルロ・アンチェロッティ監督(9回)、ジョゼ・モウリーニョ監督(8回)、サー・アレックス・ファーガソン監督(7回)を抑えて、歴代1位の数字だ。
今季のシティには、安定感がある。ただ、シーズン序盤戦では、そのような強さを見せられていなかった。
変化が加えられたのは、システムと選手の配置だ。
■偽SBの進化版
グアルディオラ監督は【4−3−3】を基本布陣にしてきた。
だが今季の途中から3バックを試すようになった。そして、これは「偽SB」の進化版でもあった。
シティは【3−4−3】あるいは【3−4−2−1】の形を採る。その時、中盤がボックス型になる。まず、ここが重要だ。
逆説的になるが、現在、ヨーロッパでは【4−3−3】が主流だ。そのシステムでは、中盤に3枚が逆三角形で配置される。それに対して、シティが中盤にボックスを置ければ、ミドルゾーンで数的優位が保たれる。
グアルディオラの実験はそこで終わらなかった。
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