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シティと「偽SB」の進化形。ビッグイヤーを獲得するためのペップのプラン。

森田泰史スポーツライター
ボールを追うハーランド(写真:ロイター/アフロ)

試合が終わると、マンチェスター・シティの選手たちがピッチに倒れ込んだ。

今季のチャンピオンズリーグ準々決勝で、マンチェスターシティはバイエルン・ミュンヘンと対戦した。ファーストレグで3−0の勝利を得たシティはセカンドレグでそのアドバンテージを生かし、見事に準決勝進出を決めた。

競り合うロドリとムシアラ
競り合うロドリとムシアラ写真:ロイター/アフロ

だが試合は周囲から見えていたような簡単なものではなかった。「疲労困憊だよ」とは試合後のジョゼップ・グアルディオラ監督の言葉である。

「我々はソリッドだった。自分たちのペナルティーエリアのところで、良い守備ができていた。これまでのシーズンと比べて、その点においては改善ができている。PK失敗の前に、バイエルンに何度かチャンスがあった。何が起きてもおかしくなかった。しかし、我々はうまく守った」

■10度目のベスト4

グアルディオラ監督は、指揮官として10度目のチャンピオンズリーグ・ベスト4入りを果たした。カルロ・アンチェロッティ監督(9回)、ジョゼ・モウリーニョ監督(8回)、サー・アレックス・ファーガソン監督(7回)を抑えて、歴代1位の数字だ。

シティのグアルディオラ監督
シティのグアルディオラ監督写真:ロイター/アフロ

今季のシティには、安定感がある。ただ、シーズン序盤戦では、そのような強さを見せられていなかった。

変化が加えられたのは、システムと選手の配置だ。

■偽SBの進化版

グアルディオラ監督は【4−3−3】を基本布陣にしてきた。

だが今季の途中から3バックを試すようになった。そして、これは「偽SB」の進化版でもあった。

シティは【3−4−3】あるいは【3−4−2−1】の形を採る。その時、中盤がボックス型になる。まず、ここが重要だ。

逆説的になるが、現在、ヨーロッパでは【4−3−3】が主流だ。そのシステムでは、中盤に3枚が逆三角形で配置される。それに対して、シティが中盤にボックスを置ければ、ミドルゾーンで数的優位が保たれる。

得点を喜ぶシティの選手たち
得点を喜ぶシティの選手たち写真:ロイター/アフロ

グアルディオラの実験はそこで終わらなかった。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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