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秋篠宮家の内情をめぐる『週刊現代』の2週にわたる報道が気になる

篠田博之月刊『創』編集長
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

600万円、800万円という異様な購入額

『週刊現代』が2週にわたって皇室、特に秋篠宮家をめぐる特集記事を掲載している。特に5月11日号の「宮内庁が『超高額薬』を大量に買っている」と題する記事は、その前の週の報道とあわせてみると、気になる内容だ。

『週刊現代』5月11日号(筆者撮影)
『週刊現代』5月11日号(筆者撮影)

 その記事は、宮内庁が2022年からインフリキシマブという高額薬を大量に購入しており、年始に「胃腸の機能的障害」を発表した紀子さまの症状が思われている以上に重いのではないかという内容だ。インフリキシマブは潰瘍性大腸炎などの治療に使われる薬だが、購入歴が尋常でない。同誌によると、2022年11月17日に715万9834円分、23年5月10日に636万5455円分、11月7日に851万7245円分など。金額が桁違いなのだ。

 そしてもうひとつ、同記事は、この4月1日付の人事に着目している。記事はこうだ。

「慶應義塾大学病院の助教だった清原裕貴氏が新たに皇嗣職侍医に就任したのだ。清原氏の専門は消化器内科、それも炎症性腸疾患のスペシャリストである」

 あわせて考えれば、紀子さまがやや重篤な容態である可能性は否定できないというわけだ。

 恐らく『週刊現代』は前週の秋篠宮家をめぐる取材を続ける過程で、情報を入手し、薬の購入歴など資料を取り寄せたのだろう。冒頭で気になると書いたのは、この情報をあわせて考えると、前週の特集記事も少し別の意味を持ってくるからだ。

前週に「紀子さま『包囲網』大作戦」を報道

『週刊現代』4月27日・5月4日号の記事は「紀子さま『包囲網』大作戦」と題するものだった。この2月に元警視総監の吉田尚正氏が皇嗣職大夫に就任、4月に宮内庁総務課報道専門官の工藤茂宣氏が皇嗣職宮務官に就任したという宮内庁人事について書き、その意味するところを推測したものだ。工藤氏は宮内庁でも「報道のエキスパート」として知られる人物。また吉田氏が就任した皇嗣職大夫は秋篠宮家の事務・広報全般を統括するポスト。つまり、秋篠宮家をめぐって広報強化の人事が行われたというわけだ。工藤氏の人事については『女性自身』4月30日号も、K氏とイニシャルだが報じていた。

 昨年、秋篠宮家をめぐっては「佳子さま別居騒動」があり、宮内庁長官と皇嗣職大夫の見解が食い違うなど、混乱があった。そうした経緯を受けての広報強化という見方だが、『週刊現代』の見立ては、見出しにある通り。今後、会見や報道対応は吉田・工藤両人によって行われる。これは、これまで秋篠宮家を仕切っていた紀子さまを「決定プロセスから外した」ものだという見方だ。

 ただ、その翌週の記事を読んでみれば、それは「紀子さま『包囲網』」というよりは、紀子さまの体調悪化によってなされた措置ではないかという見方になる。前週の記事にも書いてあったが、眞子さん結婚騒動以来の一連の秋篠宮家バッシングの中で、気丈にふるまってきた紀子さまにストレスがかかって「胃腸の機能的障害」が起こされたと考えるのが妥当だ。紀子さまの体調を考えて、広報のエキスパートを投入するなど、秋篠宮家のサポート体制が作られたというのが、この春の人事だったのではないだろうか。

 この何年か、皇室の広報強化が提唱され、宮内庁が昨年4月の報道室新設やこの4月のSNS取り組みなど、次々と手を打っているのは明らかだ。それにしても吉田皇嗣職大夫が元警視総監というように、警察畑の人脈で広報部門が固められていることなど、一連の人事をめぐっては気になることも多い。当面は、4月スタートのインスタグラムの運用に全力を注いでいるのだろうが、皇室の広報体制について宮内庁がどう考えているのか。ぜひどこかのタイミングで明らかにしてほしいと思う。

 ともあれ『週刊現代』は2週にわたる報道で、秋篠宮家をめぐる内情を明らかにした。同誌以外の報道も含めて、もう少し宮内庁が何を考えているのか、その一端が明らかになることを期待したい。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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