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バルサとメッシの「復帰」の可能性。ジュール・リメ杯の獲得に、求められるラストダンス。

森田泰史スポーツライター
バルセロナ時代のメッシ(写真:ロイター/アフロ)

美しい物語は、美しく完結しなければならない。

リオネル・メッシに、バルセロナ復帰の可能性が浮上している。メッシはバルセロナのカンテラーノで、2004年にトップデビュー。以降、2021年夏にクラブを離れるまで、中心選手として活躍を続けた。

そのメッシが、バルセロナに戻ってくる。少なくとも、その可能性がある。そこに、バルセロニスタは希望を見出している。

2021年夏に退団
2021年夏に退団写真:ロイター/アフロ

メッシは昨年行われたカタール・ワールドカップで、アルゼンチン代表を優勝に導いた。彼のキャリアで、唯一欠けていたジュール・リメ杯を獲得。名実ともに「全てを勝ち取った男」になった。

■メッシの影響力

W杯を見て分かるように、メッシはまったく衰えていない。

無論、全盛期のようなキレやスピードは現在のメッシにはない。しかしながら、そのインテリジェントなプレーぶりで、ピッチ上で大きな影響力を持ち続けている。

シュートを打つメッシ
シュートを打つメッシ写真:ロイター/アフロ

現地メディアでは、すでに「With Messi」のバルセロナの構想が練られている。

(https://www.sport.es/es/noticias/barca/encajaria-messi-barca-son-planes-85903470/原文ママ)

バルセロナは【4−4−2】へのシステムチェンジを行うようだ。中盤にフレンキー・デ・ヨング、ガビ、ペドリ・ゴンサレスが並び、トップ下にメッシが入る。前線にウスマン・デンベレとロベルト・レヴァンドフスキを据え、豪華攻撃陣が形成されるというプランである。

このプランが現実的であるかどうかはさておく。ただ、せっかくなので、このフォーメーションでの勝利への道筋のつけ方を考えてみたい。

この時、私のように、普段ラ・リーガを見ている者からして、参考になるチームがある。レアル・ソシエダだ。

ソシエダは【4−4−2】を基本布陣にしている。

前線に自由に動いてしまうタイプの久保建英(失敬!)がおり、トップ下にダビド・シルバがいる。これを久保(→デンベレ)、D・シルバ(→メッシ)といった形で転換していくと、意外に嵌まっていく。

ソシエダの2トップのスルロットと久保
ソシエダの2トップのスルロットと久保写真:ムツ・カワモリ/アフロ

まず、守備のところを考えてみる。

近年、欧州では、「3枚ビルドアップ」が主流になっている。それに対して、「2トップ+トップ下」でプレッシングを行う。

前線からのプレスで、相手に苦し紛れにボールを出させる。中盤で「引っ掛け」て、ショートカウンターを仕掛けるパターンだ。

(全2676文字)

■攻撃の構築

次に、攻撃について考えてみよう。

シャビ・バルサの課題に、攻撃の構築の乏しさがある。引かれた相手を崩せない、というのは、この2シーズン、何度も見た光景だ。

そこで検討したいのが可変システムである。【4−4−2】から【4−3−3】にチェンジする形だ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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