元新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」など取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランスとして夏・秋は中東、冬・春は日本と半々の生活。現地から見た中東情勢を執筆。著書に新刊「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)「中東の現場を歩く」(合同出版)「イスラムを生きる人びと」(岩波書店)「現地発エジプト革命」(岩波ブックレット)「イラク零年」(朝日新聞)◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com
記事一覧
- ドキュメンタリー映画「ガザ 素顔の日常」 私たちが知らない人々の日常から見えてくる封鎖と戦争の衝撃
パレスチナ自治区ガザを扱ったドキュメンタリー映画『ガザ 素顔の日常』が公開される。ガザを舞台に人々の日常を重ねていき、これまでニュース映像では出てこなかったガザの人々の素顔を描き出す。
- 米シンクタンクの中東世論調査:中東で米国の影響力低下、ロシアのウクライナ侵攻で中東諸国に米国離れ
米国のシンクタンクの中東諸国での世論調査で、中東で米国の影響力が低下し、逆にロシアが強めていることが分かった。米バイデン政権のロシア封じ込めが中東で思惑通り進んでおらず、それが世論として現れた形だ。
- イラク首相の暗殺未遂事件の背景:ドローン攻撃は親イランのシーア派民兵の仕業か?新たな抗争激化の可能性
バグダッドで起きたカディミ首相の住宅へのドローン攻撃の背景には首相と、イランの支援を受けるシーア派民兵の対立激化があると見られる。事件はイラクの新たな分裂と混乱が激化する分岐点になりかねない。
- NYT紙が報じたイラン人核科学者の暗殺作戦の詳細:モサドが機関銃ロボットの狙撃を衛星経由で遠隔操作
米紙ニューヨーク・タイムズがイランの核科学者の暗殺事件を、イスラエルのモサドがAI搭載の高性能なロボット兵器を使って遠隔操作で実行したと作戦の詳細を特報した。2月に報じた別の報道と合わせて読み解く。
- ネタニヤフ退陣の陰でイスラエル極右、ベネット新首相の野心と危険性:ヨルダン川西岸60%併合の持論
イスラエルのナフタリ・ベネット新首相は将来パレスチナ国家が樹立される予定のヨルダン川西岸の「60%併合」を唱えてきた極右指導者。中東和平にとっては、最も危険な人物がイスラエルの指導者になった。
- イスラエルのガザ攻撃の背景と今後の展望:ハマスの狙いは何か? パレスチナ危機は中東危機の前触れか?
イスラエルでの衝突、イスラウェル軍のガザ攻撃…いきなり噴き出したイスラエル・パレスチナの武力対立の背景、ハマスの意図、アラブ諸国とイスラエルと国交正常化との関係など事件の背景と今後の展望を読み解いた。
- 10年前の3月18日、カイロで発信された震災後の日本へ激励のエール/日本人が見ていない「アラブの春」
10年前の3月18日、東日本大震災から1週間後のカイロのサッカーの国際試合で、エジプトからに大震災後の日本に向けて発信された激励のエールがあがった。そこには日本人が見なかった「アラブの春」があった。
- ローマ教皇が表敬訪問したイラクのシーア派権威シスターニ師の実力(後編)/ 米、イラン、ISから国守る
イラクのシーア派最高権威のシスターニ師はフランシスコ教皇と会談し、イラクのキリスト教徒の保護を明言した。90歳の老人に本当にそんな影響力があるのか。イラク戦争後にシスターニ師が果たした役割をたどった。
- ローマ教皇が表敬訪問したイラクのシーア派権威シスターニ師の実力(前編)/ 会談で教皇が得たものは?
フランシスコ教皇は世界が注目したイラク訪問で、シーア派最高権威、シスターニ師の自宅を表敬訪問した。会談によって教皇が得たものは何か。シスターニ師事務所が出した声明の中に、答えがあった。
- 桜木武史著『シリアの戦争で、友だちが死んだ』 戦場ジャーナリストがシリア内戦の取材体験を綴った児童書
ジャーナリスト、桜木武史氏の新著『シリアの戦争で、友だちが死んだ』が児童書出版大手のポプラ社から出版された。漫画家武田一義氏の漫画とコラボという中東のノンフィクションとしてはこれまでにない試みである。
- サウジのムハンマド皇太子のジャーナリスト殺害「承認」。米情報機関報告書全文。抑えた内容は幕引き狙い?
米国情報機関はサウジのムハンマド皇太子が2018年のジャーナリスト殺害を「承認した」とする報告書を公表した。かなり抑えた内容で、バイデン大統領は問題への対応姿勢を示しつつ。幕引きを図っている印象だ。
- バイデン大統領のサウジの〝ムハンマド皇太子外し〟はどこまで進むのか?
米国バイデン大統領は就任後初めてサウジアラビアのサルマン国王と電話会談した。今後、ジャーナリスト殺害事件に関与したとされるサウジの実質的支配者のムハンマド皇太子に対する米国の対応が焦点となる。
- パレスチナ人監督が描く世界の「パレスチナ化」 エリア・スレイマンのカンヌ受賞作『天国にちがいない』
パレスチナ人のエリア・スレイマン監督の最新映画『天国にちがいない』の東京の劇場公開が始まった。“ブラック・コメディ”と称される作風。今回はパリやニューヨークを舞台に「世界のパレスチナ化」を描く。
- イラン映画『ジャスト6.5』 世界最大の麻薬捜査最前線の裏側:息詰まる刑事と売人の対決
イランの警察麻薬取締班と、麻薬密売人の対決を描いた社会派映画『ジャスト6.5 闘いの証』が東京都内で公開中。世界最大のアヘン生産アフガニスタンに接し、麻薬汚染が広がるイランで麻薬捜査最前線の裏側。
- イスラエル首相とサウジ皇太子の極秘会談:バイデン次期大統領へ、牽制のメッセージ
ネタニヤフ首相が11月22日にサウジを極秘訪問し、ムハンマド皇太子と国交正常化について協議したことが明らかになった。極秘会談のはずが、両国とも匿名の政府筋が確認し、半ば公然の事実となった。
- バイデン次期大統領の課題:中東和平再開とイラン核合意復帰の行方は?
米大統領選挙で当選確実となったバイデン次期大統領にとっては危機が進行する中東への対応が求められる。特にトランプ政権が混乱を生み出したパレスチナ問題とイラン核問題は重要な課題である。
- <イスラエル・UAE国交正常化合意>を読む(2) ”アラブ世界最強”の指導者の選択の背景は?
イスラエルとUAEの国交正常化合意は、UAEの支配者で「アラブ世界で最強の指導者」と評されるムハンマド皇太子が自国の生き残りのために選択した戦略である。イラン脅威に対抗するためというのは単純すぎる。
- <イスラエル-UAE国交正常化合意>を読む(1) いきなり浮上してきた和平合意の背景を探る
トランプ大統領が仲介したイスラエルとUAEの国交正常化合意には、どのような意味や意義があり、中東和平や中東の安全保障にどのように影響するのか。第1回はいきなり浮上した合意の背景を探る。
- トランプ大統領が取り持つイスラエルとUAEの「和平」合意。次はサウジが焦点か?
トランプ大統領は13日、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の「関係正常化」合意を発表した。11月の大統領選に向けて外交成果を強調する狙い。UAEに続けて、焦点はサウジアラビアの動きだ。
- トランプ大統領の中東和平構想の検証 新たな中東危機に火をつけるか
トランプ大統領が発表した中東和平構想は和平強硬派のネタニヤフ首相の主張を一方的に反映したもので、パレスチナのアッバス議長は拒否を表明した。新たな中東危機の火種となりかねない和平構想を検証する。
- 中東は戦争に向かうのか? 米国によるイラン・スレイマニ司令官殺害が意味するもの
米国がイラン革命防衛隊のクドス部隊のスレイマニ司令官を殺害したことで中東は新たな戦争に向かいかねない危機に直面している。この間の動きを見れば、米国には暗殺計画が先にあったのではないかと勘繰りたくなる。
- レバノンのデモ 現地報告:中東で始まった政治エリートに対する民衆の反乱
レバノンで政府の辞任を求める大規模なデモが続いている。私はベイルートに取材に来てデモに遭遇した。キリスト教徒もイスラム教徒も宗教の枠を超えて、国民不在の政治を非難する。アラブ世界でも同様の動きがある。
- イエメン内戦急転 サウジ支援の政権軍がUAE支援の南部勢力の攻撃開始、米国はフーシ派と直接対話へ?
イエメン内戦はサウジアラビアが支援する暫定政権と、アラブ首長国連邦(UAE)を支援する南部勢力が南部のアデンで戦闘状態になった。イランが支援するフーシ派と戦ってきた両勢力の抗争はなぜ、起きたか。
- 対イラン「有志連合」構想への参加論議 日本に欠けている「戦争」への危機感 日本に求められる役割は?
米国とイランの軍事的緊張の高まりについて世界では「米・イラン戦争」を懸念する論調が表に。日本の報道ではまだ危機感は感じられないが、米国が掲げる有志連合への参加でも、戦争を念頭においた議論が必要となる。
- カンヌ受賞作日本公開 レバノン映画『存在のない子供たち』 女性監督インタビュー 社会の底辺の人々描く
ストリートチルドレン、難民など社会の底辺に生きる人々を描き、昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したレバノン映画『存在のない子供たち』が20日から公開される。ナディーン・ラバキー監督に話を聞いた。