食べ物を捨てる会社は人も捨てる 食べ物を粗末にできるとはそれに関わった人全てを粗末にできるということ

(写真:アフロ)

食べ物を扱う企業を評価する際に、食品ロス量の大小と経営の上手さとは全く関係ないと思われるかもしれない。「大量に生産して、余れば捨てる方が経済合理性がある」と言う人もいるくらいだ。

だが、食べ物を大量に捨て続ける企業は、おそらく、そこで働く人も容赦なく使い捨てる。

弁護士ドットコムが報じ、Yahoo!ニュースも取り上げた下記の記事と、その後の世論も、それを表している。

セブンオーナー「過労死寸前」で時短営業…「契約解除」「1700万支払い」迫られる

環境省発表資料で最も食品廃棄物発生量の多いセブン-イレブン・ジャパン

企業にとって、食品ロスや食品廃棄物は「恥部」なので、あまり触れて欲しくない。潔くその数字を公開している企業も限られる。

環境省が発表した食品廃棄物の発生量によれば、コンビニエンスストアの中で最も食品廃棄物の発生量が多いのが、セブン-イレブン・ジャパンだ。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアはどのくらいの量食品を捨てているのか 環境省発表資料から見る

本部や加盟店主(オーナー)への独自取材でも「月60万円の廃棄がいい経営」

筆者は2017年からコンビニエンスストア本部や全国の加盟店主(オーナー)に取材を続けてきた。

「廃棄削減は国の仕事でセブンじゃない」という社員の言葉も聞いた。

加盟店主(オーナー)の研修では「月に60万円(の食料)を捨てるのがいい経営」と指示を受ける、という話は、複数のオーナーから伺った。

一方、食べ物を捨てない企業にも取材を重ねるうちに、食べ物を大事にする会社は、人も大事にしていることに気づかされた。たとえば、京都の佰(ひゃく)食屋や、広島のブーランジェリー・ドリアン青森県弘前市の「もりやま園」栃木県那須塩原市のパン・アキモトなどだ。

「人を大事にする」の具体的な内容の一つは、働く時間をコントロールし、働き過ぎないようにしていること。効率的な労働を行い、労働者自身の自由な時間をきちんと確保していること。労働者の休暇をきっちり取るようにしていること。それにより、労働者の心身の健康をキープしていること。社会的弱者である高齢者や障害者、育児や介護に従事する人、ひとり親、外国籍の人なども、人として尊重し、差別することなく雇用して育てていること。

食べ物は、人の努力の結集で出来ている。食べ物に敬意を払い、少しでも捨てない努力をする会社は、おおよそ、人に対しても敬意を払うことができている。

見切りするより捨てた方が「本部が」儲かる仕組みに対し、メディアも議員も強者に対して及び腰

スーパーや一部の百貨店では毎日行われている「見切り(値引き)販売」。賞味期限や消費期限が近づいた食品を、捨てるのではなく値引きして販売し、売り切ることだ。

コンビニでは、かつて、それが禁じられていた。2009年6月の公正取引委員会による排除措置命令を機に、見切り販売を禁じることはできなくなった。

だが、それから10年経ってなお、本部からの契約解除を恐れて見切り販売をしない店舗が全国55,000店舗以上のうち、1%しかない(映画『コンビニの秘密』)というのは、何を表しているのだろうか。

税理士によるコンビニ11店舗分の損益計算書の分析を見ても、見切り販売の有無により年間400万円以上の差が出ることが判明している。

見切りするより捨てた方が「コンビニ本部が」儲かる「コンビニ会計」について、大多数のメディアも議員もそのほかの関係者も、「みんなやってるから」という理由でスルーしている。

辰巳孝太郎議員は、「コンビニ会計」はじめ、今回のセブン-イレブン・ジャパンの問題について追及している議員の一人だ。

無意識に悪事に加担しているわれわれ消費者の恐ろしさ

最も怖いのは、われわれ消費者が、企業が食べ物や労働者を使い捨てする悪事に無意識のうちに加担していることだ。

便利さの裏側には、誰かの我慢や健康被害があるのに、それにも気付かずに。

コンビニやスーパーで売れ残った食べ物は、産業廃棄物ではなく、「事業系一般廃棄物」として、事業者もコスト負担をするが、われわれが市区町村に納税した税金も使って、家庭ごみと一緒に焼却処分されることがほとんどだ。

多くの人は、事業者が出す食べ物ごみは100%事業者負担だと勘違いしている。勘違いしているこの現状こそ、大量に食品を捨てる企業にとっては好都合だ。

「食べ物を捨てる会社は人も容赦なく使い捨てる」

2008年から10年以上、食品メーカー社員やフードバンク広報、取材者として食品ロス問題に関わってきた筆者の確信に近い思いは

「食べ物を捨てる会社は人も捨てる」

だ。

食べ物は、生産者から運ばれ、製造・加工され、流通されて店まで運ばれ、消費者のもとに届く。

食べ物は、それが出来上がるまでに至るまでの、たくさんの人たちの結集だ。

それを容赦なく粗末にし続けられるということは、食べ物に関わる人たち全てを粗末にし続けて平気ということだ。

これから就職する人は、アルバイトなど、生の声が得られる情報筋から十分にその現状を入手し、見て、考えて、判断して欲しい(食べ物を粗末にするバイトテロが起こるような会社は、注意が必要かもしれない)。

そして、われわれ消費者も、食べ物を捨てない会社こそ、無駄に税金を使わないし、良心的な価格で購入できるという、自分たちにメリットがあることを十分認識し、毎日の買い物を通して応援していきたい。

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、誕生日を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリソーシャルコミュニケーション部門最優秀賞へと導いた。『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得』『賞味期限のウソ』。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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