渡邊氏「思いもしない何が見つかるんじゃないか」JAXA会見6月29日(全文5完)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日午後、記者会見を開いた。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「「はやぶさ2」拡張ミッションに向けてJAXAが会見(2022年6月29日)」に対応しております。 【動画】「はやぶさ2」拡張ミッションに向けてJAXAが会見(2022年6月29日) ◇ ◇
サイエンス側からの声で多いのは?
記者3:フリーランスの大塚と申します。サイエンス側の話なので、吉川先生か渡邊先生になるかと思うんですけれども、今後の、将来の探査、小惑星サンプルリターンについて、サイエンス側からはどういう意見とか声が出ているのかなということをお聞きしたいんですけれども、先ほど津田プロマネからもちょっとありましたけど、工学からしたら当然、同じものを何度もつくってやるよりも、新しい、もうちょっと何か変わったものを、もっと大きなものをつくって新しいことしたいとか、いろいろあるとは思うんですが、サイエンス側としては、今のクラスでも、もっと見たい、興味深いものがたくさんあるからやりたいっていう声が多いのか。それとも、D型とかE型とか、もっと大きいものをつくって遠くのほうに行きたいという声が多いのか。サイエンス側からの声をちょっと、どんなものが多いのかということを教えてください。 渡邊:じゃあ渡邊のほうからお答えします。サイエンティストって欲張りで、この会見で終わったように聞こえてるかもしれませんが、われわれは、「はやぶさ2」が持ち帰った試料をこれからどんどんさらに分析して、リモセンの結果と結び付けて、まだまだやることが山ほどある。それぐらい貴重な試料を持ち帰ってくれたと思ってます。
津田さんににらまれるようなことを言っていた
その上で今後どういうことをやりたいかですが、「はやぶさ2」が行ったのはCIコンドライトといわれる太陽系で最も資源的な隕石と非常に近い、つまりそういった隕石が来た母天体に近いものだったと。だから非常に貴重な資源的天体の1つに行ったんですが、実は太陽系はいろんな特徴を持った資源的な天体がほかにもありまして、そういったものをこれから探査していくっていうのは、サイエンティストにとって非常に重要なこと、つまり太陽系の成り立ちをさらに深く知っていく上でとても大事なことだと思っています。 で、工学に対しては、今の「はやぶさ2」のままでいいから3、やってくれという思いがあるかというと、あんまりそうではなくて。結構、やっぱり胃が痛くなるような、サンプルを取るとき、いろんな緊張があったわけで、われわれとしては結構、もっと無謀なことを言っていて、津田さんなんかには、もっとあそこから取ってくれとか、岩の上から岩を取るのが大事だとか言って、それでなくても、岩をどうやってよけようと一生懸命考えている津田さんにとって、にらまれるようなことを言ったりしてたんですが。 だから、自在に表面の、ここだっていうところから本当に欲しいサンプルを取ってくれると。そういうようなミッションが実現できたらいいと思うので、じゃあ、工学的にそういうことどうしたらいいんだろうという、そういうことを工学の皆さんには投げ掛けてるんで、三桝さんとか津田さんとかはこれからその答えをきっと見いだしてもらって、次の大きなミッションができるんじゃないかと期待しています。 記者3:ということは、サイズとかそういう話では、探査機の大きさとかそういう話ではなく、取り方をもっとここから取りたいとか、取り方をやるためには「はやぶさ2」では駄目だったと。 渡邊:そうです。小惑星、メインベルト、小惑星帯というのがあって、そこには100キロぐらいの天体があるので、もちろんそういうとこにも行きたいし、いろんな方向性があると思うんですね。でも、それは理学のほうが言っても、すぐに実現できるものではないし、特にサンプルリターンっていうのはハードルが高いので。やっぱりそういった中で何をやっていくかっていうのを議論しながら次の目標っていうのが見えてくるといいんじゃないかなと思っています。