平日と週末の生活が違いすぎ…じつは「平日の睡眠不足」を、「週末の朝寝坊で帳消し」にしようとすると、身体が「とんでもないこと」になる
朝に多い → 心筋梗塞・脳梗塞・くも膜下出血・不整脈 月曜日に増える → 狭心症 冬に33%増 → 心臓死 病気が生じやすい“魔”の時間帯が存在することをご存じでしょうか? 脈拍や呼吸、睡眠はもちろん、細胞分裂やたんぱく質の製造まで、人体はさまざまなリズムにしたがって「いつ」「何を」おこなうかを精密に決めています。そのリズムの乱れが、健康を害する引き金になっているのです。 病気が生じやすいタイミングがあるのはなぜか? 薬が効く時間、効かない時間はどう決まるのか? それらを治療に活かす方法は? 時計遺伝子やカレンダー遺伝子の機能としくみから、体内時計を整える食品まで、生体リズムに基づく新しい標準医療=「時間治療」をわかりやすく紹介する『時間治療 病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間』から、そのエッセンスをご紹介します。 今回は、通常の生活を送っているにもかかわらず、時差ボケと同じ状態が現代人に生じている「社会的ジェットラグ」について取り上げます。なんと、20代では6割、30代でも5割以上の人に社会的ジェットラグが生じているそうです。いったい、社会的ジェットラグとは、どのような状態なのでしょうか。 *本記事は、『時間治療 病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
「社会的ジェットラグ」とはなにか
1879年にエジソンが白熱電球を発明したときを境に、世界から“夜”が消えました。電気を利用した高エネルギー消費社会が誕生し、ライフスタイルは大きく変わっていきました。 1940年ごろ、深夜0時は眠っている時刻でしたが、今では5人に1人が起きています。つまり、0時はこの80年の間に、「眠っている時間帯」から「起きている時間帯」へとシフトしたのです。 仕事や生活のエレクトロニクス化による「眠らない社会」は、生体リズムにも大きな影響を与えています。なかでも、明るいディスプレーを見つめ続ける長時間のパソコン操作や、夜遅くまで明るい照明の下での長時間労働は、生体リズムに不調をもたらします。 これが「社会的ジェットラグ」です。