渡邊氏「思いもしない何が見つかるんじゃないか」JAXA会見6月29日(全文5完)
やりたいことのアイデアがあれば
記者3:そういう話なんですが、津田先生のほう、ちょっとなんか、その話を受けて、どういうことがやりたいとか何かちょっとアイデア的なものがもし何かありましたら、個人的にで構わないので。 津田:渡邊先生からいつも、これ、メインベルトでできないのかって言われてて。だって、ここまでできたんだ。おまえたちならできるだろうっていうふうに簡単に言うんですよね。だから、ちょっとどうしてできないかっていうようなご説明、何度もしても、いやいやいやってけしかけてくれる。この、でも、関係が非常に良かったなと思っていて、最後まで、分かってはくれないのかもしれないですけど、一緒に仕事をしてくれるっていうか。お互い、し合うっていうような、が良かったなと思っています。 そういうふうに非常に厳しい要求をどんどん突き付けてくれる、あるいは突き付け合う関係っていうのが、技術とか科学の切磋琢磨にはとても重要で、だから、あえて渡邊先生とかはもうわれわれ工学メンバーにそういうことをいつも吹っ掛けてるっていう感じがいたします。だから、この関係はぜひ。せっかく「はやぶさ2」でつくったいい、サイエンティストとエンジニアの関係だと思うんで、これがうまく、もっと盛り上がる方向にいければいいなっていうふうには思っています。無理なものは無理ってちゃんと言います。 記者3:ありがとうございます。期待しています。 司会:ありがとうございました。では最後の質問となります。右側のブロックのチノパンの方ですね。あ、草下さん。
CIコンドライトをどう役立てるのか
Science Portal:自分は外れたと思ったんですけど、ありがとうございます。JST、Science Portalの記者で、草下と申します。今日はご説明ありがとうございます。私は理学成果のコメントをまとまっていただきたいなと思っていて。先ほど渡邊先生から、まとまったご説明とコメントも含めて頂戴しましたが、もう少しちょっと踏み込んでいただきたいのは、例えばCIコンドライト、今まで地上で見つかってきたどのCIコンドライトよりももっと資源的なものが人類はゲットできたんだということで、それをどうサイエンスが役立てうるかとか、その意義、もう少し、どう使うのかとか、どう役立てていくのかっていう、そこまで踏み込んだコメントをいただきたいんですが、お願いします。 渡邊:ありがとうございます。CIコンドライトっていうのは今までの太陽系科学のすごく基盤になってきた隕石で、そこに入っている元素とか同位体っていうことが、われわれの惑星をつくるもとになった材料がどういうものであって、どういうふうに分布していたっていうような、いろんな仮説の土台になってきたわけですね。で、今回まさにそれと似たものが持ち帰られてきたと。 さらに、今、発表された論文の中でも幾つか違いが見えて、その違いはおそらくCIコンドライトのほうが地上に落ちてきてから汚染を受けたり風化を受けたり、そういったのはなかなか証明が難しいんで、そういうことがあるんじゃないかというのは従来からいわれてきたんだけど、今回初めて宇宙から直接持ってきたものと比較することによって、そういった部分も見えてきた。そうすると、われわれは本当に宇宙にあった最も資源的な太陽系の材料物質っていうものがどういうものであったかっていう、その貴重な試料を手にしているわけです。 で、まだわれわれが持っているトータルの質量の10%にも満たない辺りしか分析されてないんですね。だからこれから残りの部分を使って徹底的に太陽系の資源物質っていうのがどうであるか、それをまずはきちんと示すっていうことが、これは世界の惑星科学に対する日本の責務だと思っています。そのことはこれからもさらに研究していかなければならないので、今のところまだ発表されたのはそのごく一部なので、これからさらにそこの価値っていうものが分かる。