東京のコロナ感染「急速な感染拡大の危惧」減少傾向から反転
東京都は17日、新型コロナウイルス感染症モニタリング会議を開いた。感染状況に関する専門家の総括評価は、先週に引き続き上から2番目の警戒度である「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」だった。しかし新規陽性者数をはじめ、先週まで減少傾向だった指標が増加に転じたため、専門家は「急速に感染拡大することが強く危惧される」と警戒感を示した。小池百合子知事は今週末のシルバーウイークを前に、体調が悪い人の外出自粛と外出先での感染防止対策の徹底を呼びかけた。 【動画】分科会「4段階」判断の指標を公表 尾身会長、ステージ4は「緊急事態宣言を出す時期」
新規陽性者・接触歴不明者の増加比が100%超え
モニタリング会議では、専門家が「感染状況」と「医療提供体制」の2つを中心に新規陽性者数や陽性率、入院患者数などの7つの指標について週ごとの推移を監視する。今週の総括評価は感染状況、医療提供体制ともに4段階で上から2番目に警戒度の高い「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」「体制強化が必要であると思われる」を維持した。 東京の感染状況について、国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長は「新規陽性者数が高い水準のまま増加に転じている。この増加傾向がさらに続くと急速に感染拡大することが強く危惧される」との見方を示した。
●新規陽性者数「181.3人」
新規陽性者数の7日間平均は先週(9月9日時点)の148.6人から今週(9月16日時点)は181.3人と減少傾向から増加に転じた。増加比も81.1%から122.0%に反転した。新規陽性者数が高い水準のまま、増加比が100%を超えたことは「新規陽性者数が急速に増加していくことを意味している」(大曲氏)。 年齢別では今週(9月8日から9月14日)は、30代が24.1%、40代が19.0%、50代が13.3%というように、20代以下が減り、30代から50代の割合が増加した。 濃厚接触者の感染経路別の割合は、先週と同じく同居する人からの感染が80代以上を除く全年代で一番多かった。10代以下では54.4%から 68.5%にアップ。20代から30代では28.5%、40代から70代では32.5%だった。一方、80代以上では施設での感染が約75%を超え、最も多かった。 会食によって感染した人は、先週の41人から67人に増えた。23区内の飲食店などの営業時間の短縮要請が16日から解除されたことで今後会食の機会が増えることが想定されるため、「少人数であっても人と人が『3密』の場で会話や飲食をすると感染のリスクが高まる」とマスク着用や近い距離で長時間飲食することを避けるなど基本的な感染防止対策が必要だとあらためて呼びかけた。 ※国の分科会が示した「指標と目安」に当てはめると、「新規報告数」は人口10万人あたりで週平均9.1人と「ステージ3」の基準である15人を下回り、ステージ2相当の数値。ただ「新規陽性者数の1週間比較」は1.22で先週の0.81を上回っており「ステージ3」に悪化した。