東京の感染拡大 目立つ「会食」感染経路に見られる変化
東京都は30日、都内の新型コロナウイルス感染の再拡大を受け、酒類を提供する飲食店やカラオケ店の営業時間について、8月3日から31日までの間、午前5時から午後10時までに短縮するよう要請することを決めた。それに先立つモニタリング会議では、専門家から「減少の兆しが見えない状況」「医療従事者の緊張が続いている」などの声が聞かれたほか、感染経路にも変化がみられたという。 【動画】東京都が新型コロナ対策本部会議 酒類提供の飲食店の営業短縮を要請へ
モニタリング会議の総合判断は据え置き
都のモニタリング会議では「感染状況」と「医療提供体制」の2つを軸に、新規陽性者数や入院患者数といった7項目について概ね1週間ごとの推移を分析している。 都内では1日あたりで過去最多となる367人の感染者が報告され、連日3ケタの感染者が続いている状況だが、総合判断としては、感染状況が4段階のうちで一番警戒レベルの高い「感染が拡大していると思われる」、医療提供体制は上から2番目の「体制強化が必要であると思われる」にそれぞれ据え置かれた。
感染状況は「減少の兆しが見えない状況」
感染状況については、国立国際医療研究センターの大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長が「全世代に感染が広がっている。新規陽性者数と接触歴等不明者数の増加が続いている」と指摘した。
(1)新規陽性者数
今週(29日公表時点)の新規陽性者数の7日間平均は258.1人で、前週(21日公表時点)の232.4人と比べて約110%の増加率となった。4日で1000人を超えるペースで増加しており「今のところ減少の兆しが見られない状況」(大曲氏)。政府が4月に出した「緊急事態宣言」下での最大値である167人(4月14日)を大幅に超えている。 大曲氏は「すべての年齢層に感染が広がっている。その中でも顕著だったのが、40代と50代の占める割合で23.1%。前週に比べ増加し、60代以上にも感染が拡大している」と危機感を示した。 感染経路も多様に。これまでは接待を伴う飲食店関連の比率が高かったが、それだけではなく、施設内に加え、同居家族、職場、会食、イベントなどによる感染が目立つようになってきているという。 濃厚接触者のうちで会食が感染経路である人の割合は、7月21日が7.7%だったのに対し、28日は22.2%と3倍近く増えた。大曲氏は「会食・飲食の特徴はマスクを外すということ。マスクを外して会話すると飛沫が飛ぶ。人と人の間が非常に近く、密に接する状況で会話を伴って飲食すると感染リスクは高まる」とした上で、「最近は飲み会や宴会で、複数の人たちで飲食する機会が増えているためだと考えられている。こうした環境をどうやって避けていくかが、新規陽性者の減少につながる」と訴えた。 同居する家族からの感染も、22日から28日までの7日間平均は11.8%と増加傾向で、接待を伴う飲食店の9.7%を上回っている。「家庭内の対策も重要だ」と述べた。 また、現在の流行には「無症状、症状が乏しい人が発端者になって集団感染につながっている事例がある」と指摘。介護施設や医療施設など重症化リスクの高い人たちが集まる場所でも同様の事例がみられるといい、「症状が軽い人でもしっかり検査できるよう検査体制の拡充が必要」との考えを示した。