死にかけの恒星を周回する「未来の地球」発見、80億年後の太陽系の姿か
地球の最期には、何が起こるのだろうか。今回新たに発見された、太陽系から約4000光年先の恒星を公転する、地球に似た太陽系外惑星を調べれば、地球の運命が明らかになるかもしれない。 【画像】地球サイズの太陽系外惑星から見た白色惑星にならず赤色巨星になった主星の想像図 地球と同程度の質量を持つこの岩石惑星は、いて座の方向にある白色矮星の周りを公転している。白色矮星は、核融合の燃料を使い果たした後、外層を宇宙空間に放出した恒星の高密度の残骸だ。 この惑星の存在は、地球が膨張する灼熱の太陽に飲み込まれるのから逃れ、人類が外太陽系(小惑星帯より外側の領域)に避難できるかもしれないことを意味している。人類の避難先は、おそらく木星のエウロパ、カリスト、ガニメデや土星のエンケラドスなどの衛星になるだろう。 ■白色矮星とは 太陽が恒星として必然的に行き着く最終段階が、白色矮星だ。だが、太陽はこの段階に到達するまでに、はるかに激変的な過程をたどることになる。核融合燃料がなくなり始めると、赤色巨星となって太陽系の中心から膨張し、その後に収縮して白色矮星になる。 赤色巨星がどの程度まで膨張するかによって、どの惑星が飲み込まれて破壊されるかが決まる。水星と金星は飲み込まれてしまう可能性が高いが、地球はどうだろうか。 ■地球に似た惑星に何が起きたか? 専門誌Nature Astronomyに論文が掲載された今回の研究で、米カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、ハワイ州にあるケック望遠鏡を用いて、恒星系「KMT-2020-BLG-0414」を観測し、地球サイズの惑星が主星の白色矮星を公転しているのを発見した。軌道半径は、太陽地球間の距離の約2倍だ。さらに、公転軌道上に褐色矮星もあることがわかった。木星の約17倍の質量をもつ巨大惑星だ。 KMT-2020-BLG-0414の地球型惑星は当初、軌道半径が地球と同じくらいだったが、主星の赤色巨星段階を切り抜けた可能性が高い。太陽が膨張して赤色巨星化するのに伴い、太陽の質量が徐々に減少することで惑星がより遠くの軌道へと移動していき、その結果として地球が破壊を免れるとする仮説に、今回のケースは信憑性を与えている。 カリフォルニア大バークレー校の准教授兼天文学部長を務めるジェシカ・ルーは「この(赤色巨星)段階を経て生命が地球上で生存できるかどうかは不明だ。だが、間違いなく最も重要なのは、地球は太陽が赤色巨星になっても飲み込まれないことだ」と指摘している。