【ABC特集】創業70年 高架下のかき氷屋さんの“最後の夏” 耐震補強工事で立ち退きへ 夫婦二人三脚で走る日々に密着
山盛りの氷にたっぷりの蜜が
午前10時、開店です。妻の恵子さんと切り盛りする店に、一人の男性がやってきました。汗だくです。 (恵子さん)「自転車ですか?」 (男性)「はい。大阪から(1時間半かけて)」 (恵子さん)「すごいね。ははははは」 (男性)「氷のイチゴください」
48時間以上かけて凍らせた、純氷を削ります。しかも、山盛りです。
(大西さん)「どうぞ」 自家製の蜜がたっぷりかかった氷いちごです。 (男性)「はい、どうも」 40年前、神戸の大学に通っていたそうで、思い出の店を回ろうと、たまたまこの店に自転車でやってきました。 (男性)「うん。おいしい」
「思い出の味」はいつまで経っても忘れない
続いては、50年ぶりにお店にやってきたという女性。 (女性)「いま(結婚して)東京に住んでいるんですけど、実家に帰ってきていて・・・」「当時は、ここ(御影)で『いちろく』という夜店(縁日)が月6回出ていました。それに連れてきてもらった帰りに、ここに寄って、おいしいかき氷を食べて帰るというのが、私のフルコースだった」 「(宇治金時氷を口に含んで)子どもの頃の思い出の味ですよね。うん」 こちらの女性も・・・ 「やっぱりここのが一番おいしい。学生の頃から来てたんですけど、辞めちゃうって聞いて残念です」 長年食べてきた、かき氷。今年の夏が最後です。
49年間を夫婦二人三脚で生きてきた
昭和50年に結婚した大西さん夫妻。お見合いだったそうです。 (記者)「奥さまは、ご主人のどこにほれたんですか?」 (大西さん)「ははは、言いにくいんちゃう、別にないんちゃうか?」 (記者)「えー、そんなことないでしょ」 (大西さん)「嫌々やったら来やん思うけどな」 (恵子さん)「まあ、真面目っていうことで・・・」 (記者)「(恵子さんの)第1印象は?」 (店主)「どう思われた・・・(笑)かわいらしいなと思ったけど」 妻の恵子さんは49年間、啓公さんと一緒にお店で働いてきました。
もうひとつの“夏の名物”
大西商店には、もう一つの“夏の名物”がありました。 (恵子さん)「いらっしゃい」 (女性)「こんにちは。アイスモナカ」 (恵子さん)「モナカ終わったんです」 (大西さん)「もう作れなくなっちゃった」 (女性)「ありゃ残念」 創業以来、地元の人に愛されてきた『アイスモナカ』。今年5月、アイスクリームをつくる機械が壊れて、販売中止に・・・。
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