【独自取材】危険運転致死で逮捕も不起訴 再捜査で一転して起訴 「娘の死の真相を」検察の判断に翻弄された遺族の1114日の闘いの記録【ABC特集】
3年前、和歌山市で起きた多重事故に巻き込まれ亡くなった竹田汐里さん(当時22歳)。事故を起こした女が危険運転致死の疑いで逮捕されますが、検察の判断は不起訴。納得できない結果に、「娘はなぜ死ななければならなかったのか」という思いの中、遺族は動きました。 検察審査会への審査の申し立てを経て、検察は再捜査をすることになります。娘の死の真相解明を求め続ける遺族の1114日の闘いを追いました。 【徹底取材】多重事故を起こした女が不起訴に・・・「娘の死の真相を」検察に翻弄された遺族の1114日【ウラドリ】
いつも笑顔が絶えなかった娘 事故で奪われた両親の苦しみ
和歌山市に住む竹田 典子(たけだ のりこ)さん(58)。娘の汐里(しおり)さんを事故で亡くしてから、食事を仏前に供えるのが日課となっています。 (母・典子さん)「成人式のときの写真になります。天真爛漫という言葉が似合うような子でした。いつもニコニコしていて」 いつも明るく、友達も多かった汐里さん。料理を作るのが好きで飲食店のアルバイトをしていました。その店に向かう途中で…
事故が起きたのは、2021年7月15日。汐里さんが原付バイクで和歌山市の紀の川大橋を渡っていた時でした。 多重事故に巻き込まれ、汐里さんのバイクは対向車と衝突。頭を強く打ち、病院で死亡が確認されました。 他に3人が重軽傷を負いました。
(父・正義さん)「病室での対面、顔中傷だらけ。まだ体温は温かったです。その姿はまぶたに焼き付いて消えません」 (母・典子さん)「しばらくの間ずっと…紀の川大橋の近くの河川敷に行って、泣き叫ぶ日々が続きました」
汐里さんは短大卒業後にメーカーに就職しますが、腎臓の病気で1年余り入退院を繰り返しました。 その後、症状が良くなり、アルバイトを始めた矢先の事故でした。 交際相手もでき、その年には父・正義(まさよし)さんの会社で働くことが決まっていました。
右折待ちの車列に追突…運転の50代の女は逮捕も…
警察などによりますと事故の直前、50代の女が運転する乗用車が蛇行しながら走る様子が、複数のドライブレコーダーに映っていました。 そして猛スピードのまま、右折待ちの車に追突。はずみで対向車線にはみだし、汐里さんが乗る原付バイクに突っ込みました。 激しい衝突で計7台が絡む多重事故となりました。 和歌山県警は50代の女を危険運転致死の疑いで逮捕。持病のてんかんの発作で意識を失う恐れがある状態で車を運転し事故を起こした疑いです。 警察によると、女は逮捕時「事故は起こしたが、てんかんになったわけではない。心臓がキュッとなって下を向いたときに衝突した」と容疑を否認していたということです。