これが不足すると「老化+肥満」のWパンチ…日本人の8割が足りていない「超重要な栄養素」
「三大栄養素」と言われる糖質、脂質、たんぱく質のうち、一番大切なものは何か。医師の平島徹朗さんと秋山祖久さんの共著『たんぱく質と腸の新常識 絶対に漏らしてはいけない新しい腸活とたんぱく質の正しい摂り方』(Gakken)より、一部を紹介する――。 【図表をみる】たんぱく質不足か調べるセルフチェックシート ■日本人のたんぱく質摂取量は戦後レベル 「たんぱく質、ちゃんと摂っていますか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか? 「肉も魚も食べてるから大丈夫」「お肉大好き! むしろ食べすぎてるんじゃないかと心配になる」そう答える人が多いようです。しかし、実際にたんぱく質が十分摂れている人は、とても少ないのです。 厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査などの結果から、1日あたりのたんぱく質摂取量の平均値の推移(図表1)を見てみると、戦後から上昇を続け、1995年にピークを迎えました。 そのときのたんぱく質摂取量の平均値は約80g。2000年ごろまで80g前後で推移しましたが、その後急激に減少し、2019年には約70gとなっています。 たんぱく質の摂取量が約70gとは、1950~1960年代と同程度です。戦後間もないころと同じくらいとは驚きますよね。 ■生活習慣病の予防には「目標量」が必要 厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には次のように定義されています。 ---------- 推奨量→母集団に属するほとんどの者(97~98%)が充足している量 目標量→生活習慣病の発症予防を目的として(中略)現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量 ---------- つまり、推奨量を満たしているのは当たり前であり、本来は目標量を目指して摂取するようにしなければいけません。
■健康意識が高い人でも8割が不足している では、私たちはたんぱく質の目標量を摂れているのでしょうか? 図表2のグラフを見る限り、答えはNO! たんぱく質の推奨量は、男性は20~65歳が65g、65歳以上が60g、女性は20歳以上が50gなので、推奨量こそクリアしていますが、目標量に対しては多くの世代でたんぱく質不足になっています。 もちろん、これは摂取量の話。「食事で摂り入れたたんぱく質がちゃんと吸収されているのか?」というのはまた別の話です。 私たちのクリニックでは、血液検査によってその人の栄養状態を調べる栄養解析(自費診療)を行っているのですが、たんぱく質量を調べたところ、不足している人がとても多いことがわかりました。 定期的に来院され、内視鏡検査を受けて健康管理をしようと思うほど健康意識が高い人たちが多くいるにもかかわらず、8割がたんぱく質不足という結果が出たのです。そう考えると、日本人のほとんどがたんぱく質不足! 決して大げさではなく、そう感じます。 つまり、“摂っているつもりが摂れていない”。それが、多くの人がまだ気づいていないたんぱく質の現実なのです。 ■三大栄養素の中でも「一番大切」 「たんぱく質は筋肉づくりやダイエットのために必要。でも、それ以上のことはよく知らない」という人が多いのではないでしょうか。 たんぱく質は英語でプロテイン。ギリシャ語の「最も大切」「第一の」という意味の言葉が語源とされています。医学も栄養学も発展していない時代から、人間は体験的にたんぱく質の大切さを感じていたのでしょう。私たちも「糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素のうち、一番大切なのは?」と聞かれたら、迷うことなく「たんぱく質」と答えます。 たんぱく質が一番大切な理由を、ぜひ知っておいてください。なぜなら、「知らずに食べるか、知って食べるか」の違いはとても大きいからです。知ることで納得できる→自主的に実践できる→自分に合う方法を考えられる→継続できる→体の変化を実感できる、という好循環が生まれるはずです。