PayPayが「投信積立」でポイント還元を開始。経済圏にも好影響か
9月4日、PayPayが投資信託の積み立て時にポイントを還元するプログラムを発表し、同日より開始しました。
PayPayの強みを活かしたサービスとして、経済圏にも好影響を与える可能性はあるものの、新NISAへの対応には注意が必要です。
PayPayも投信積立でポイント還元
PayPayといえばコード決済が知られていますが、関連サービスとして多数のミニアプリが存在しており、2022年8月にはPayPay証券と連携した「PayPay資産運用」が加わりました。
そして今回始まる「PayPay資産運用つみたて還元プログラム」は、PayPayの残高やポイントで投資信託を積み立てると0.5%のPayPayポイントが還元される「定常特典」となっています。
終了日が決まっていない恒久的な特典のことを、PayPayでは定常特典と呼んでいるとのこと。他の定常特典としては「PayPayステップ」があります。
1か月あたりに付与される上限は250ポイントなので、毎月5万円までの積み立てが対象になる計算です。PayPay資産運用による投資信託のみが対象で、株式やETFは対象外です。
PayPay資産運用で取引できる投資信託の種類はまだ多くないものの、投信積立で人気の「全世界株式」や「S&P 500」、「国内株式」などは網羅しており、一般的な需要は満たせそうです。
また、PayPay資産運用の米国株や米国ETFは相対取引のサービスで、価格には手数料に相当するスプレッドが価格に含まれています。しかし投資信託の販売手数料は無料となっています。
付与されたPayPayポイントは、設定により再投資することもできるため、投資で得たお金をさらに投資して資産を増やしていく、という体験もできそうです。
積み立てた投資信託をすぐに売却した場合でもポイントは付与されるとのことから、ポイントを目当てに投資を始めてみる人にも向いています。
なお、より本格的な証券取引が可能な「PayPay証券アプリ」にも投信積立の機能はありますが、このプログラムはPayPay株式会社が主催するもので、ポイント還元はPayPay資産運用のみが対象となっています。
追記:
記事公開後、実際に積み立てをしてみたところ、たしかに0.5%分のポイントが付与予定として表示されました。
PayPay経済圏にも好影響か
還元プログラムの細かな仕様を掘り下げてみると、PayPayの狙いがどこにあるかも見えてきます。
PayPayはアプリの目立つ場所に資産運用のアイコンを置くことで、約5800万人のユーザーに資産形成を促そうとしています。
ただ、投信積立で人気が高まるクレジットカード決済にPayPay証券やPayPay資産運用は対応していません。
ポイント還元では他社に見劣りしていましたが、このプログラムが始まったことで、楽天証券やSBI証券が提供するカード投信積立と同等のポイントを得られることになります。
PayPayの残高を積み立てに使う点にも注目です。もし残高が不足していると積み立てに失敗するため、残高は余裕を持って維持する必要があります。
たとえば月に5万円の投信信託を積み立て、通常の支払いに数万円を使う予定がある場合、PayPay残高は10万円程度を維持したいところです。
残高が多くなればPayPay経済圏での利用が増えると期待できます。また、将来的に普及する可能性がある「給与デジタル払い」との相性も良さそうです。
新NISA対応はどうなる?
気になるのは新NISAへの対応です。PayPay証券とPayPay資産運用は2024年1月からの新NISA対応に向けて準備中となっており、従来のNISA制度には対応していません。
PayPay資産運用はPayPay証券の口座を利用するため、「特定口座(源泉徴収あり)」での取引になります。
PayPay証券によれば、特定口座で買い付けた投資信託を新NISA口座に移すことはできず、もし移したい場合はいったん売却して新NISA口座で買い直す必要があるとのことです。
最近では三井住友カードとSBI証券が投信積立で最大10%還元のキャンペーンを発表、松井証券は「投信残高ポイント」をリニューアルするなど、新NISAに向けた発表が相次いでいます。
新NISAの開始に向けて今後も発表が続くと予想される中で、後発となるPayPayには他社を上回る還元策にも期待したいところです。