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意味の分からぬ選挙が綱渡りの政権運営を生む

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(122)

極月某日

「自民圧勝」とか「安倍長期政権」とかメディアの見出しを見て、フーテンはその「偏向」ぶりに呆れる。「自民圧勝」も「安倍長期政権」も解散・総選挙を仕掛けた安倍総理の願望だろうが、メディアが権力者の願望を現実と照らし合わせることなく垂れ流せば、ナチスの時代と変わらない。

「自民圧勝」が誤りである事は数字を見れば明らかである。自民党は無所属候補1人を追加公認し291議席を獲得したが、公示前に有していた295議席を4議席減らした。数を減らして「圧勝」はないだろう。

事前の選挙予測でメディアは軒並み「自民党300議席を超える勢い」と報じた。その予測に引きずられ「圧勝」と表現しているのかもしれないが、そもそも「300を超す」とした予測が間違っていた。メディアは予測と結果で二度過ちを犯している。

自民党が今回の選挙結果を「勝利」と呼ぶとすれば、政権を奪還した2012年の選挙より、小選挙区と比例区で5%程度得票率を伸ばした事がある。しかし議席数は減らした。それが今回の選挙結果の現実である。

また「安倍長期政権が現実になった」との解説も多く見られる。しかしそれは政治を知らない素人の見方である。そもそも自公合わせて3分の2の勢力を有していた与党が、何のためか分からぬ選挙の結果、選挙前と同じ勢力を得たという話でしかない。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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