人は原因理由をどう考えるか:責任追及、いじめ、仕事、恋愛の社会心理学
<原因理由の心を探る社会心理学の「原因帰属理論」。それは、様々な場面の人間関係と人の心を読み解く道具です。>
■原因と責任を考える意味
私たちは、様々なものを見たり、聞いたり、自分で体験したりしています。そして、目には見えないのですが、私たちはその「原因」を考えます。
物事の「原因」をどう考えるかによって、感情も行動も大きく変わります。社会心理学では「原因帰属」と呼んでいます。
ヤフーのトップページで紹介された記事「報道ステーション富川悠太アナウンサーのコロナ謝罪:人はなぜ不当に責められるのか」の中で書いた「責任追及の心理」は、この原因帰属理論のお話でした。
原因帰属理論は社会心理学の中の大きな理論であり、また認知行動療法にも応用されている理論です。
■「〜部活やめたってよ」の心理
たとえば、太郎君が野球部に入ってすぐにやめました。次にテニス部に入ってすぐにやめました。その次は合唱部に入ってすぐにやめました。
さて、太郎君が部活を止める原因は、どこにあるでしょうか。各部活でしょうか、太郎君でしょうか。私たちは、太郎君に原因がある。太郎君が悪いと感じます。
では、A君が野球部に入ってすぐにやめました。B君も野球部に入ってすぐにやめました。そしてC君も野球部に入ってすぐにやめました。
さて、A君が野球部をやめた原因は? 今度は、野球部に問題があると感じないでしょうか。
■太郎が飲み会に来る理由
太郎君を飲み会に誘いましたが、断られました。また誘いましたが、また断られました。3回目も誘いました。「太郎、今度飲み会があるから、こないか? 今度は女の子も来るぜ」。そう誘ったところ、太郎君は飲み会に参加しました。
さて、太郎君が飲み会に来る理由、原因は何でしょうか。それは、「女の子」だと私たちは思うでしょう。でも、もしかしたら1回目は先約があって、2回目はバイトが入っていて、3回目は時間が空いていただけかもしれません。
人は、結果と共に変わるものが原因と感じます。
■いじめっ子が悪いか、いじめられっ子が悪いか
世の中には、いじめられている子の責任を言う人もいます。でもそれは、その人の心が曲がっているからではありません。子供も、いじめるなと叱れば、「だって、あの子が」といじめている相手の責任を言いたくなります。
それは、その子の心に悪魔が住んでいるからではありません。卑怯者だからでもありません。原因帰属理論から考えると、ごく自然です。ごく自然だからこそ、直しにくいのです。
いじめの中で、いじめっ子が悪いと感じられる時もあれば、いじめっ子が自分を責めることもあります。その理由を解説しましょう。
たとえば、ジャイアン君が映画を見て大笑いしているとしましょう。でも、みんなは笑っていません。別の映画の時も、ジャイアンだけ笑っていて、みんな笑っていません。
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